【DX3rd】"Code::Renutus"雑記07 - 御神楽支部に残る記録

ぼんやり浮かんだのでSS風味
いつも通り採用不採用でケンカしないでね案件のやつです

↓ここからはネタバレ
































■■にはPC3のコードネームを入れてお楽しみください


(…今から20年ほど前の記録)

ある日、俺は突然奇妙な能力に目覚めてしまった。
何かの小説か漫画の中での出来事としか思ってなかったのに、こうして実在すると思い知って困惑ばかりが浮かぶ。
周囲の様子を伺うに、自分だけがそうなってしまった可能性も捨てきれず、この能力を一体どう使っていいやら、それとも使わず隠すべきかもわからない。
とはいえ知らんぷりはできないのだろう。
この力は時折、俺の心へ直接訴えかけてくるように思う。

奇妙なことはもう一つあって、街中で勝手に動く人形を見た。
拾ってよく調べてみると、誰かが作った人形ってよりは、土で適当な形を作ってとりあえず動いているといった雰囲気だ。
漫画で言う、付喪神とかいうものだろうか?
あとこの人形には自我と、特殊な能力があるらしい。
俺がこの力を得たのがコイツのせいなら…と一瞬思ったが、様子からして何も知らなさそうだったので、一旦保護して人目から隠しておく。
誰かに見つかって騒ぎになってもアレだし。


(…20年前ほど。前の記録から数か月後だろうか)

どうやら俺たちだけではなく、世界中で異能力者が次々と生まれているらしい。
そしてその何倍もの数の怪物が発生しているという。
オーヴァード、ジャーム。偉い学者は俺たちにそう名付けた。
じゃあ、この土の人形ぽいこいつもオーヴァードってことか。
力の感じがソラリス?とかいうカテゴリっぽいし。

この数ヶ月で土の人形は俺のことを観察し、何かと真似をするようになった。
明らか人とは見た目も生理的機能も違うが、犬猫と違って特有の仕草もあまり無く、思考回路は人と遜色ないように見える。
人間の子供を育てる感覚に近いかもしれない。いや、俺は子供なんていないけども。
言葉も認識するようなので、"クスノキ"の名前をつけた。
時々種をくっつけて芽を体に生やしていたり、蜜を出して怪我の痛みを和らげてくれたりするから、消炎剤に使われる植物の名前を選んだ。
しばらく、これがお前の名前だと教え込むことになりそうだ。

取り急ぎはもっとオーヴァードとジャームの情報がほしい。
クスノキと一緒に、怪物退治をしながら情報を探し回ってみることにする。


(…記録年代不明。推定10年以上前)

ジャームやテロ組織の被害から人々を守っているUGNという組織の出先機関が、御神楽市に設立されるらしい。
不思議な反応があるらしい山の研究と、おそらく…クスノキの監視と研究が目的だ。
協力を要請されたので、代わりに俺達の身の安全を保証するよう約束させた。
情報がほしいこっちには願ったりかなったりだが、そのためにクスノキに好き勝手されたなんて言ったら、あまりに虫が好かんので。

あれから、クスノキはだいぶ日本語を話せるようになった。
ところどころズレた事を言うのは人間じゃないから仕方ないとして…問題なのは、これから大勢の人の前に彼を晒すことだ。
見た目が土人形なのに人の言葉を話すから、出会ったときに大抵驚かれる。
話せば理解して交流してくれる人ももちろんいたが、見た目のせいで警戒や敵意を向けられることも少なくなかった。

せめて人間の見た目ならなあ…と彼に零したら、
「人間ぽい姿になればいいのか?」と土で俺を模した姿に変身した。
…うん、意欲は認めよう。でもUGNに入る前にちょっと訓練が要るな。
しかし人間になると言って俺になろうとするのは何というか…変な気持ちだ。
子は親に似るってこういうことか?


(…記録年代不明。およそ9~8年前ほどの記録)

UGN御神楽支部が出来てから、もう10年近くになるらしい。
すっかり古参となってしまったが、いつかジャームに成り果てるオーヴァードの末路を思うと、誇るべきことなんだろう。

クスノキも、そこらの人間より支部のことを熟知したメンバーになっていた。
人間に化けることも上手くなって、ちょっとした設備なら自分の手で動かせるくらい、人間の身体にも慣れたようだ。
まあしょっちゅう真似る相手の姿を変えるので、探すのも外へ誤魔化すのも何かと一苦労だが。
(ちなみにスタッフの中では、「クスノキの変身のレパートリーに入れたら親密度MAX」という噂があるらしい。たま●っちか何かか?)

クスノキは危害さえ与えなければ、研究や仕事にも意欲的に協力する。
理由を尋ねると、「ミカグラの人間と仲良くなれるから」らしい。
彼は人間から暮らしとか感情の話を聞くことが大好きで、そのために人と仲良くなろうとする、人懐っこい生命だ。
仕事の中では特に、戦闘訓練の相手が気に入ってるようだ。
気づけばレネゲイドコントロールも、俺より相当うまくなってしまった。くそっ、ちょっと妬けるな。
ともあれ、クスノキがメンバーとして支部に受け入れられてるのは、俺としても喜ばしいことだ。

補遺:
俺がクスノキを見つけてから付けていた観察日記を、UGNが資料として提出するよう求めているらしい。
霧谷大先生いわく、クスノキのような自我を両方持っている新種レネゲイド生命体は、世界中でも非常に稀で…
10年近く彼の動向を記したこの日記には、とんでもない研究価値があるのだとか。
私的なことも多く書いてあるのは流石に恥ずかしいので、提出前に校閲しようかと思ったが
「主観的な所感やマイナスの情報を消されては勿体ないので、プライバシーの範疇でなるべく原文ママでくれ(要約)」ということらしい。
いや参ったな…。


(…今から6年前ほどの記録)

御神楽市に正体不明のオーヴァードによる襲撃あり。
御神楽市の一般市民を含む百名余の負傷者、三十人余の死亡者を確認。
御神楽支部で迎撃にあたったオーヴァードの大半は、死亡または行方不明が確認された。
■■が唯一の生き残りと思われる。

御神楽市内で、元御神楽支部エージェントと思しきジャームの死体を数体確認した。
その体表に大量の土砂が付着しており、御神楽支部にて保護しているレネゲイド生命体のものと推定。
事情聴取をしたところ、「何度呼んでも話が通じなくなったから」と話しており、彼自らジャーム化した職員と交戦したものと思われる。
この生命体自身にも動揺と憔悴が見られるが、事情聴取を行った職員への敵意や翻意などは確認されず。
死亡した職員の姿を真似ていることや、日本語を流暢に話すことなどから、御神楽支部で人間に馴化した生命体のようだ。
そのため処分等は行わず、経過観察を行いながら、他の生き残った職員同様、UGN内で今後の身の振り方を協議する。

 ….

「アンタも人間ならわかるだろ。人間は悲しかったり苦しかったりすると、目から水滴が滲み出てくるらしい。しかもそうしようとしてじゃなくて、体が勝手にそうなるんだと聞いた」
「ああ、そうだな」
「あのさ、俺は人間じゃないからそういう体の構造じゃないけど…。……その『泣きたくなる気持ち』ってのは、分かった気がするよ」
「人でない君からそうまで言われるとは…余程のことがあったんだな」
「……2日前まで言葉を交わしてたミカグラの人間たちが、カイブツになって、こっちの言葉を聞こうともしなくなった。何度呼んでもダメで、もう二度と話せないって分かった瞬間は……本当にキツかった」
「…ジャーム化した彼らのことか」
「ああ。……俺は、絶対ああはなりたくないって思ったよ」

…6年前の音声記録より





クスノキの立ち絵素材として添付した色黒青年の姿は、クスノキを最初に保護した男=この手記の最後以外を書いた男のガワらしいです。
そしてジャームとなった彼を葬ったのも、またクスノキ自身でした。

そしてこれ書いてやっと気づいたんですが、モルブズってガチでクスノキの『親の仇』なんですね…
そりゃあんなにFHとインフィニティコードに威嚇するわけだ。

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