「流星に祈る」(コミカライズ版)に収録されている MEZZO”──紫青の霹靂── についての感想文


『まず初めに。』
2021年3月22日。意を決して……というわけでもないが、フォロワーさんと話していて謎のノリでアプリを入れた。
アイナナはフォロワーさんがやっていて、アイドルもののアプリゲーム。キャラデザが種村有菜さん。それくらいしか知らなくて、アイドルものにドはまりしたことはないので、MMDのカメラ構図の勉強にもなるかもしれない合わなかったらアンインストールくらいの軽い気持ちで始めた。(グループラインをしながら)
 同日17:12
「じゃあ、さっそくオーディションをして、4人落としてくれる?」の社長の台詞に、「は????」 だった。
 ぴたりとBGMが止み、話の見るため、iPadをタップをする恐怖を覚えた。そして速攻でフォロワーさんに泣きついた。
「タイトル詐欺じゃないですか!!!」
「不穏すぎます」
「私が何をしたって言うんだ……!!」
「展開が嫌すぎます(泣き顔絵文字)」
 途中途中フォロワーさんに宥められる。
「あ、この子好きだなって思ってた黒髪くんに責められる気持ちわかりますか…!!!
 めちゃめちゃ切ないです……!」
「ひどい…」
「俺は悪くねえ」
 宥めるフォロワーさん。
「社長が言えって言ったんだ…」


「これはプレイヤーの傷をえぐるゲームなんですかね…???」


 恐らくすでにここから、取り込まれていたのだと思う。
 次の日の、23日にダグラス来日で癒されて、「平和なアイナナ心にいい」と謎のコメントを残していた。

 振り返って気が付いたのだが、流星に祈る(コミカライズ版)購入をしたのは2021年3月22日のことであった……(本当に怖い話)



 流星に祈るの(コミカライズ版)感想について。
 前置きとして、どうやら自分はMEZZO”がデビューした後くらいまではゲームのシナリオを読み終えていて、そこからコミカライズ版を読んだと思われる。(勢いよく接種したためうろ覚え)


 MEZZO”──紫青の霹靂── 前編
 種村さんの漫画自体久しぶりで、一ページ目から懐かしさと新しさ、ゲームとは違う雰囲気に引き込まれた。読んだ当初はまだ環が少し苦手なキャラクターで、逆に壮五はもともと好みだったのもあり、どうしても壮五寄りで読んでいたと思われる。ゲームでもぎすぎすしていたので、わかってはいたものの漫画でも彼らの仲はぎすぎすで、でも種村さんが描かれる表情はかわいらしくて、言い合う姿にも微笑ましさがある。泣きながら、壮五のベッドに入る環は幼く見えて、逆に怒る壮五はゲームにない激しさがあった。ゲーム立ち絵自体もものすごく好きなので、双方を比べるものではなくどちらにも魅力があるというものだ。
 MVの撮影で触れ合うほどの近さにあるのに、二人の距離は遠い。決して嫌いではないが、苦手である。ただそれをどう伝えていいか分からないからただただ切ない。苦手でも、みんなのためにやろうとする二人の心意気は同じだ。
壮五「みんなのために頑張ろう」
環「おう」
 嫌なことはやりたくない、性格の環がみんなの顔を思い浮かべ、返事をしたシーンはじんとくるものがあった。
 撮影時の相手の顔がすぐそこにある、例えばあと少しで唇が触れ合えるほどの近さに、照れと恥ずかしさと、何とも言えないくすぐったさを互いに感じ合う場面は、かわいいとしか思えなかった。萌える! とかじゃなくて、ただふふっ、と思わず笑ってしまうような、かわいさだった。
大丈夫かこのMV……と二人の声に私もそう思うよ……と心の中で頷いた。
(このときIDOLiSH7の楽曲、歌詞やメロディは自分の浸透していなかったので)
 現在見ると、二人の歌が聞こえてくるし、切ない歌詞にしっくりとはまるMVだと思う。
 MVを見たみんなの表情がかわいらしい。
三月「なんて言うか」
陸「なんて言うか?」
大和「お疲れさーん」
(表現しがたい感動がある)
(三月の言葉を無邪気に聞き返すようだ)
(ちょっと二人をからかっている感じ)
 今見返すと三人の言葉はこうかな? と思う。
SNSのアイコンやユーザー名もIDOLiSH7をそこそこ理解できるようになった今、ものすごいわかる!! という気持ちだ。

 

MEZZO”──紫青の霹靂── 後編  

 環が壮五の印象を、メンバーと比べて語る場面が好きだ。
「俺はくっつくの嫌いじゃない 
 嫌いじゃないけどなんか 
 そーちゃんにはさわれない」(環のモノローグ)
 ゲームだとここまではっきり分からない心情で、そーちゃんのこと嫌いじゃない、でも理由はわからないけどさわれない、さみしいとかそういった感想はないが、環の言葉ひとつひとつにさみしさを感じるような気がする。
 他のみんなには接触できるのに、(あの一織に対しても)一番近くにあるべき壮五とはさわれない「ばちんてなるから」(環モノローグ)
書いてて今気が付いたのだけど、静電気ばちんてなるから、って相手にも痛みが伝わってしまうから、気軽には触れないってことなのかな、と(静電気がどれくらい痛いか、触ろうと思えば触れるなどの思考は置いていて)自分だけが感じる痛みじゃないから、気軽に触ったり、試すことができない。この言葉にあるのは見えずらい環のやさしさなのだろうかと思った。
 この場面の壮五と陸が近くにいて、環はソファでそれを見ている。それはすこし寂しいものを私は感じてしまった。
 電車での移動時に、MEZZO”のことを噂するファンと雑誌のインタビュー記事と眠る環を見て、嘘ばっかりと睨む壮五。壮五の周りには環みたいな、やりたい放題のインベーダー(自由)は存在していなかったのだと思う。音楽を選んだ大好きだった叔父はもう他界しており、だからこそ環という人間に戸惑い、どことなく苦手意識がある。だけど、環の優しさを理解していて、自分と組んでいるからこそ環に嘘をつかせていることを苦しく思う。互いが互いを気にかけているのに、言葉が足りていないから噛み合っていない。歩み寄りたくないわけじゃないけど、上手く足が動かないそんなもどかしさを感じる。寝ている時はものすごい近くにあるのに、と思ってしまった。

 幼少期、施設での環のシーン。
 グリンピースを残して、叱られている場面。「それは環くんが食べなきゃいけないものなの」と施設の人が諭しているのに対して、環は「俺が食べられないグリンピースは食べられる奴が食べたらいい。俺が食べられるものは誰かが落としたガムだって食べてやる」(環モノローグ)と思っている。この場面見たとき、ゲームプレイ中は環というキャラクターは勉強が出来ないタイプに見えていたのだが、ものすごい賢い子だと思った。適材適所、という考えを導き出していることに。(この場面の椅子の高さからなんとなくまだ未就学児だと思っているので)
 彼の周りにいた人間が上手く『それは環くんが食べなきゃいけないもの』の本当の理由を説明できていれば、本質を理解していたのだろうな、と思うので、この場面で最終的に感情で押さえつけてしまっていることに心が痛んでしまう。
「優しくしてくれるなら俺だって優しくしてやるのに」のこころの言葉が、本来はとても優しい性格なのに、勘違いされてしまって、それを痛ましく思った。

 叱る壮五と叱られ慣れている環のシーン。
 収録に三十分遅れて、それを叱る壮五。これは怒られて当然だとは思うのだが…環は聞く耳を持たない。怒る人は最後まで環に付き合ってくれなかったからだ。環と、環にかかわる人たちの間の信頼関係が築かれていくまでに、みな環からさよならしていって、それに慣れすぎてしまったのだと思う。だから唯一の家族である妹の理だけが環のすべてだったのだろう。IDOLiSH7も理の探すための手段のひとつで。
「お説教も一緒。黙っていればそのうち終わる」 とこれは環のモノローグ。ゲームだったら分からない環の心の機微が表情や仕草でしっかりと現れている。だからこそ、見ていて苦しくなるものがある。

 ──そーちゃんはオレが嫌いなんだ
「寂しくさせんな」
 と環の心情に、環が壮五を無意識に求めているのが伝わってくる。

 寂しさから、思わず出てしまった、メンバーに対するひどい言葉に自分が傷ついて、出ていった壮五に、みんなに、どうしようと困っていたら、みんなが背中を押すシーン。
 外に出る前に思い出して戻ってきて「ごめんなさい」と謝ってる場面からずっとじーんとしている。環は嫌なことはやりたくない性格で、アイドル活動は理の探すための手段のひとつで、でも少しずつそれが変わっていっている。「そんなのデビューできなかったみんなが悪いんだろ」で自分が傷ついてしまう、ことが見ていて嬉しい。
 二人のお話ではあるものの、自分にとっては四葉環を深く知るお話だった。
 ゲームをプレイしていたときは壮五寄りで、少し苦手だった環の、苦手意識が少し緩和された物語。今見返しても、きっとまた新しい発見がある素敵な物語だと文字に起こして思った。


 以下雑な、感想。
 MEZZO”の一発即発の場面。寮内でも雷が落ちた瞬間、陸が一織にひっついていて、微笑ましかった。このときは三部終了後くらいの、仲良しさはなくて、結構言い合っている仲だと思っていたので、陸が一織の背に隠れたのは笑ってしまった。(陸の、一織に対する好感度が変わったのかわからなかったので……今なら”わかる”)
「そんなのデビューできなかったみんなが悪いんだろ」のくだりで、一織の表情見えなかった理由。これはミューフェスの失敗を誰よりも重く受け止めているからなのだと、最近になって気がついた(サイドストーリーとか読むとさらに理解できる構図)

引用元
(『アイドリッシュセブン 流星に祈る 1』種村有菜/都志見文太/バンダイナムコオンライン)

真白(2021/10/27)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?