【P5R】二次創作における主杏とモルガナと。

 タイトルがP5Rになっているのは、自分が無印をプレイしてないからなのだ。それはどうでもいいのだが、高巻杏とモルガナの関係性はアンデルセンの人魚姫のようなものだと思っている。


 自分はときおりP5Rの主人公とPTである高巻杏のカップリング小説(小説と呼べる代物なのかは置いておくが)を書いている。P5をプレイしたものは分かってはいると思うのだが、同じくPTのモルガナ(パレス内では二等身の猫の姿、普段は黒猫の姿で主人公のそばにいる)が高巻杏を好いている。

 モルガナは物語の進行において、大事な進行役であり主人公の片割れのような役割だと私は認識している。ノーネーム主人公であり選択肢のみでの会話しかない主人公に変わって仲間との会話を繋いでくれるのだ。

 主人公にとって、とても大切な相棒であるモルガナは高巻杏を好いている。それは可愛い女の子を、「可愛いな」と見惚れるレベルではなくて杏殿と付き合いたい! みたいにはっきりとした感情を見せている。憧れなんてものじゃない、あれはどうとっても恋だ、恋。つまりモルガナが抱いているのは恋愛感情なのだ。

 モルガナは高巻杏を恋愛的な意味で好いている。高巻杏もまた同じようにモルガナを異性(?)として好いていれば、ハッピーエンドなのだが、どう見ても杏はモルガナに対して恋愛的な意味の好きは抱いていない。それはそうだ。ペルソナシリーズは女の子たちと友情も育むこともできるし、恋愛関係にも進むことができる。そういうゲームシステムなのだ。だからストーリー内でモルガナに恋を抱いている描写はない。

 それにモルガナは猫じゃないが、猫なのだ。主人公の相棒なのだが、猫なのだ。よくある異種恋愛における人間の姿に変化する、美女と野獣みたいなことはない。猫に対して普通恋心は抱かない。猫に恋心を抱くのが悪いわけでないが……やはりどこからどう見てもモルガナは猫なのだ。

 自分はモルガナが大好きだ。相棒だ。良き友人だ。親友だ。魂の片割れだ。他のカップリングだったならば、モルガナを動かせるのだ。恋に悩む主人公を励ましたり、癒したり、落ち込んでいる主人公の顔を舐めてざりざりした感触に笑って、泣いて……だけど主杏だけは無理だ。だってモルガナは高巻杏のことが好きなのだ。恋だ。多分愛ではない。杏が幸せなら身を引くほどの大人にはできない。ストーリー上でただでさえモルガナは他のメンバーをいさめたりするのだ。精神年齢高めなのだ。

 幸せな主杏を書いているとき、付き合い始めて初々しい二人を書くとき、自分の心の片隅でモルガナのことを想っている。と、同時に彼の切ない想いを想像して切なくなる。せめて、猫じゃなかったら……人の姿を取れるのならば……と思うが、それはもうモルガナではないと思う。美女と野獣ではなくて、人魚姫のようなモルガナだからすごく好きなのだ。

 だから主杏を書いているときは少しの罪悪感に襲われる。

 だかきっと長い尻尾をぴんと立てて「アイツと杏殿が嬉しそうだから」と大人の振りをしているのだろうなあと思っている。


追記

 書き終わって投稿するとあとからあとから言葉が出てくるものだ。主杏における、と書いてあるが他キャラと高巻杏のカップリングの場合、多分モルガナを登場させることにさほど抵抗はない。

 例えば竜杏だったら、「杏殿をめぐって勝負しろ」なんてことを言うかもしれないし、最後には「杏殿を泣かせるなよ」なんて強がるのかもしれない。祐杏だったら「コイツ顔はいいんだがな」とかしぶしぶ納得しつつ、微妙な顔で見ていそう。

 だけど主杏だけどうしてもモルガナは出てこない。自分はそれが寂しかったりする。主人公とモルガナの関係性、他作品で例えるなら夏目友人帳の夏目貴志とニャンコ先生みたいな、寄り添うような、やさしい絆だからかなと思っているからだろうか。

 もしくはモルガナは主人公の片割れだから。もう一人の主人公だからなのかな、と。

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