東京オリンピックがのこしたもの

東京オリンピックが終わった。
当選して待ってたチケットが無効になったり、有給取ったり引っ込めたり、新幹線のチケット買いに行ったと思ったら払い戻ししたり、無観客になり拗ねる子どもをなだめたり、おまけにオリンピック終わって一週間だけど組織委員会からの払い戻しの連絡はなく私個人としてはとても疲れたオリンピックだった。

私達親子は子どもがハンドボールをしている縁もあって日本代表を応援していた。ちなみにオリンピックのチケットもハンドボール。予定では日本代表男子の試合が見られる筈だった。

ハンドボール日本代表は男子女子共にオリンピックでの一勝をあげたが、予選リーグ敗退という結果だった。
私は日本代表の方は皆頑張ったし、オリンピックレベルのチームが強いこともわかるし、この結果は順当なものなんだろうなと思う。

そして勝利の笑顔が嬉しかった反面、苦しい試合展開、涙の選手達を見て胸が苦しい時間が多かったのも事実だ。

しかしハンドボールをしている我が息子は違った。
結構、日本代表のプレーに対して「ここはこう戦った方が」とか言っていた。もちろん小学生が好き勝手言ってるというのは親子共に認識している。すみません、何もわかってないし何もできないくせにすみません。

そしてオリンピックが終わった後息子は

「僕はいつか日本代表になる。ハンドボールで金メダルをとる。」

と言った。
いや、本当すみません。お前の息子にできるわけねえじゃんって思われるのはその通り。


一生懸命だけが取り柄で、取り立ててすごい体格でもなくすごい運動能力もなくすごいひらめきがある子じゃない。
日本代表どころか、高校で続けているのかという5年後すら見えない。私は息子がハンドボールを辞めると言ったら多分止めない。彼の人生だから。


でも私が一つだけ思うのは。
一人でもたくさんの子どもが息子と同じ思いを持って競技生活を続けたら。
絶対に日本のハンドボールは金メダルに近づく。
うちの息子はなれなくても、たくさんの子どもの中に金メダルを取れる力のある子がいるかもしれない。

今日本中で何人の子ども達が「いつかハンドボール日本代表になって金メダルを」と思っているのか、それは私にはわからない。

けどそう願う子が増えたら、この競技はもっと強くなる。


最近ハンドボールをする息子の姿を見て、息子の友達がハンドボールを新たに始めた。
友達のお父さんが、うちの息子をみて仲間への声かけ一生懸命取り組む姿をみて、とても感動したと言ってくれた。

でもそれは息子の生まれつきの人間性ではなく、ハンドボールを通じて出会った人が育ててくれたもの。

新しく始めた友達もきっとすぐに上手くなり肩を並べた仲間になりライバルにもなると思う。
彼がハンドボール日本代表を金メダルに導く選手になる可能性もある。

ランディン選手でも、日本代表でも、その辺の小学生でも。

「こんな人になりたい」
という憧れは未来を変える力がある。
未来は急には変わらない。川の流れみたいにちょっとずつ変わっていくもの。
ハンドボールで生かせなくても違う世界で生かせるかもしれない。

オリンピックで戦った日本代表の皆さんは日本中のハンドボール少女ハンドボール少年達に「世界」を見せてくれた。

そして「いつか金メダルを」
という思いを芽生えさせてくれた。そう思ったのはうちの息子だけじゃないはず。
でも他の子でそう言ってる子は知らないので断言はできないけど。(そしてうちの子も外では言わない気がする)

久しぶりのオリンピックでの一勝は未来のハンドボールの流れを変える何かだったと私は信じたい。

ハンドボール日本代表、彗星JAPAN、おりひめJAPANの皆さん本当にありがとうございました。
最大限の敬意と感謝をこめて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?