卒業



娘の卒業式を終えて
去りがたい大学のキャンパスを
眺めていると、
思い出したことがある。

「あなたは卒業してもまた大学に戻って来たくなる人です」

忘れていると思っていても、
記憶には残っているんだね。

もう、40年近くも前のこと。
厳しい先生だった。
どのタイミングで言われたかは
忘れてしまったけれど、
その先生の大教室の講義で指名されて発表した頃かもしれない。
みんなは避けていた授業だったけど、わたしは好きだったな。
論文を書く授業。
タイトルは「元号」

昭和の終わりの頃。
わたしの中の時間と外の時間はうまくかみ合わなくて、学びたい気持ちはとり残されたまま卒業を迎え、一つの時代を持ち越してしまった。

平成という時代にわたしは四人の子育てを満喫した。捧げた‥…と一度は書いてみたが、悔いはないくらい、本当はやりたいことだった。

フロムの「愛すること」を傍らに、「自由からの逃走」も読んでいた学生時代、わたし達は時代の最先端を生きていると書いたことがあった。
それは「今」も変わらない。

これからはまっすぐに自由に
自分になることを楽しんでいいんだね。

末っ子が社会人となる
新元号の発表の日に
新しい時代の風にときめきを
感じている。

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