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伊丹空港、千里川土手

※2022年9月発行「Charming Times No.22」の「ちょう個人的!すっきやねん大阪」より抜粋


松原光与

知っている人は知っている⁈ 初めて行ったとき、あまりの迫力に思わずよろけてしゃがみこんでしまった。
平野と小川が続くのどかな風景の中に爆音が響き、頭上をかすめてどでかいそいつは滑走路に滑り込んで行った。

大阪府豊中市と同池田市、兵庫県伊丹市にまたがる大阪国際空港。関西では伊丹空港と呼びますが、今は国際線の出入りがないのになぜ国際空港なの?と思います。
でもそこはさすが大阪!地元の人達の陳情により「国際」の名を残したそうで、いつかはまた国際線の乗り入れがあるかもしれないという期待も含まれているそうです。
紛らわしいですが、その大阪らしいおおらかな考えが好きでもあります。

その南端に接する住所もない千里川土手。遠い空に粒のような光が見えたと思ったら、みるみる大きくなり、キュィーンという金属音とともに、あっという間に飛行機が近づいて来た。
ここはその巨大な機体のお腹部分を真下から見られるスポットなのです。

手を伸ばすと届きそうな距離感です。
最初の静けさとは対照的なのもあって、音や風圧、巨大な影に圧倒され、通り過ぎた後に爽快感がやってきます。
何回か訪れたうち一度だけ、親切に案内してくれるおじさんに出くわしました。「次大型機来るよ」とか、「あそこにアニメ機3台並んでるよ」とか「ラッシュ時間は何時頃だよ」とか「昔はあそこまで車で入れたんだよ」とかみんなに案内してくれました。
次の飛行機が来るまで、草いきれの中で、おじさんの話を聞き、周りの見ず知らずの人たちと、自然に会話が生まれ笑い声が響きました。

ここに来て帰るころにはいつも、たまっていた日ごろの疲れが吹っ飛んでスッキリした気持ちになれるのでした。
飛行機好きな人、カメラ好きな人、子ども連れの人、私のように非日常を味わいに来る人など人それぞれだけど、みんなで同じ空を見上げて、帰るころにはまた明日から頑張ろうって気分になれるのです。私にとって飛行機は非日常。
コロナのせいで海外はまだ遠いけれど、ここに来て「この飛行機はどこから来てどこに飛んでいくのかしら」とか、「次はどこを旅行しようかしら」と想像を膨らませるだけでとっても幸せな気分になれるのです。
思い起こせば最初の海外旅行はここから飛んだのでした。
もう数十年前のことです。
今でもその時と同じ気分になれるのです。ここはただの土手だけど、すごくリフレッシュできる、大阪でとっておきの大好きな場所のひとつなのです。


※2022年9月発行「Charming Times No.22」の「ちょう個人的!すっきやねん大阪」より抜粋
※Charming Times No.22全体は下記のリンクより読んでいただけます。
https://www.charmjapan.com/charmingtimes/charming-times-no-22/