NGO神戸外国人救援ネット
※2021年2月発行「Charming Times No.20」の「Network」より抜粋
觜本郁
NGO神戸外国人救援ネットは、1995年1月17日の阪神・淡路大震災をきっかけに結成された阪神大震災地元NGO救援連絡会議の中の外国人支援の部会として発足したのが始まりで、神戸で在日外国人の人権問題に取り組んでいたNGOや個人が集まって活動を開始しました。
震災直後は、ホットラインでの相談活動や被災外国人の様々な支援策利用のサポートを展開しました。
阪神・淡路大震災では、多くの外国人が被災し、必要な情報が十分行きわたらない中、様々な困難が襲い掛かることになりました。様々な支援策が行われましたが、在留資格の有無や種類によって、緊急的な支援も受けられないという事態も生じました。具体的には、オーバーステイ外国人への義援金、震災で負傷した人の医療費、弔慰金などでした。
様々な活動を通じて、義援金は在留資格に関わらず支給されるようになり、医療費は災害救助法での保障を求めていたが実現せず、広くカンパを集めて多額の医療費の支払いを求められている外国人を支援しようと活動していく中で、阪神・淡路大震災復興基金による「外国人県民救急医療費損失特別補助事業」が行われることになり、一応の解決は図られました。
しかし、震災で亡くなられた外国人で在留資格はない状態であった方には、被災して亡くなられた方へ支給される災害弔慰金(500万円または250万円)が支給されることはありませんでした。
NGO神戸外国人救援ネットは、震災後の緊急的な支援活動のためのネットワークとして立ち上げをしましたが、1996年4月に日常的に継続した支援活動を行っていくために独立したネットワーク組織として発足させ、現在に至っています。
震災が明らかにしたのは、外国人の人権を保障しない日本社会の実態でした。その構造は基本的に今も変わっていないのではないかと相談・支援活動を通じて感じています。
現在は、多言語でのホットラインなどでの相談とその後支援・フォローアップを行っています。在留資格、医療、福祉、DV、教育、家族関係などの相談に加え、最近は難民申請者からの相談も増加してきています。
また、2019年からは、政府の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を受けての兵庫県のワンストップ相談センターも受託しています。
外国人支援のNGOの相談は、日本で暮らす外国人が困難に直面した時の最後のセーフティネットとして機能しています。
私たちもその一翼を担って、外国人の人権と生活を保障し、多様な人々が共に暮らせる社会の実現を目指して、さらに活動を続けていきたいと考えています。
【連絡先】
NGO神戸外国人救援ネット
ホームページ:https://gqnet.jp/