着る物に対する考え

服というものは買って着る、または誰かに作ってもらうという頭で来た。少なくとも自分で服に手を加えるとすればせいぜい取れたボタンを縫い付ける程度のことだった。あくまで機能として修復するだけであった。裏を返せば、私は服のことをあまり見てこなかった。気に留めなかった。

デンマークでは限られた服を洗濯しながら形が崩れないように大事に着た。またバリエーションがあまりないので、組み合わせを考えながら着た。この経験で私は以前に比べて服をよく見るようになり、沢山の発見があった。どのように縫い付けてあるのか、どのようにたためば良いか、どのように乾くか。気持ちよく着るためのメンテナンスに気を配るなど。それらは新鮮な発見だった。

帰国してまず感じたのは、明日着る服を考えるのが楽しくなったことだ。さらに何か工夫をしてみたいとも思うようになった。別に特別なことはない。人と会うからシャープな印象にしようとか、風が強いからくびまわりの暖かそうなのにしようとか、全然特別ではない。天気予報と仕事の内容によってその光景を想像しながら服を選ぶというだけのことだ。これまではそんなことにもあまり注意を払ってこなかったのだ。
最近は、着るのをためらっていたダブダブのセーターを引っ張り出して来ている。ただこれは手を洗ったり作業をするときに袖口が落ちてきて甚だ具合が悪い。そこでネットでアームバンドの作り方を見つけ、端切れを使って作ってみた。自分で工夫(というほどでもないが)したことでかのセーターは無事普段遣いとしてデビューでき、自分は課題解決できたという達成感を味わえた。汚れた襟を切り落としただけのシャツに替え襟をつけてみた。こちらは第一ボタンが閉まらなくなるという結果になった。理由は形状の失敗だと理解でき、次の機会には修整しようと思う。こんな風に自分のペースで進むことが大事な気がする。最近はミシンを使うのも楽しみになりつつある。
着るものはもっと自分のものになってゆくのだろうか。今後が楽しみだ。

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