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作曲家からみたソルフェジオ周波数についての考察

ネットを徘徊してたら、体に良いと言われる「ソルフェジオ周波数」という曲というか理論というか噂を発見しました。巷で「528hzの音楽がDNAを修復する」というやつ。結構前からあったんですねぇ知らなかった。
これについて作曲家の立場から書いていこうと思いますが、先に結論だけ書いておきますと、

周波数にこだわらず、ポジティブな気分でリラックス出来るインスト曲なら何でも良いです。

どういう事?って方も、何のこっちゃ?って方も続きをどうぞ:)

ソルフェジオ周波数とは

ネットでこの言葉で検索すると色々出てきますが、端的にいうと体に良い影響を及ぼす周波数というのが9つあって(7つの説もあり)、その周波数の事を「ソルフェジオ周波数」と呼ぶ様です。ここでそれらを書くのも面倒なのでググってくださいw。
これはある一冊の本で提唱されており、(科学的根拠があるのかは分からないが)それぞれの周波数の音楽を聴く事によってチャクラを通して体が良い影響を受けるという事になっていますが、個人的にこの周波数が本当に体に良いのかどうか分かりません。
しかし何かしらの影響があるかもしれないなぁとも思わなくもないです。あったらいいな、面白いね。くらい。

人気の528hzとは

その中で最もメジャーなのが528hzなんだそうです。この528hzの音を浴びると、破壊されたDNAが修復されるとのこと。本当なら凄いことですね:)

さてこの528hzは一体何かと言いますと、一般的な音楽で言う所の「ド」に非常に近い音です。正確には平均律でいうとC4のちょっと上、+15セントくらいで一般的にはもうC4と言ってもいいくらい。また純正律ではジャストC4です。これはほとんど全ての曲で使われている、皆がよく聴く高さのドです。
というか、この辺りの音域を使って楽曲は作られています。だから528hzは入っていて当然、よほど意図的に外さない限り外すことが出来ない周波数だったりします。

一部でビートルズの"Tomorrow never knows"が528hzのコードで出来ている!という話になってますが(528hzのコードというのも妙な言葉ですが)、まぁCメジャーでドローン(通奏低音)の曲なので上記の通り当たり前っちゃあ当たり前の反応になりますね。。w
ビートルズが狙っていたかも分かりません。偶然の範囲内かな、と。
(あと細かいようですが調律は平均律だと思うので528hzジャストじゃないと思います。。シタールの共鳴音が幅を利かすのでドの一部の共鳴音が528hzで鳴ってる可能性はありますが)

ではそれも含めて一般的な曲ではどうか見ていきましょう。

ソルフェジオ周波数は一般的な楽曲に含まれているか?

...上で答え書いちゃってますが、もう少し詳しく書きます。。。w

まず曲というのは色々な楽器を使って演奏しますよね。その楽器の音は「楽音」と呼ばれていて、曲を演奏するために調整された音です。で、その楽音には色々な音色がありますね。この音色を決める一つの要素が「倍音」です。

ピアノのかなり低いドの音(C1やC0)を目一杯大きな音で鳴らし、その音をよーく聴くとドの他に色々な音が鳴っている事に気づきます。ドの他に小さくソやミが聴こえるんですね。自宅にピアノがあるかたはやってみてください:)

つまり、ピアノ1音を弾くだけでも幾つかの音=周波数が発生します。それを纏めて1音と認識する事で楽音が形成されるんですね。

更に和音を重ね他の楽器も鳴る、それぞれに変調などのエフェクトがかかっているとなると、それはもう色んな周波数の音が発せられるんですわ。それぞれが基音と倍音と変調された音を含めて鳴るので、数え切れない周波数が発生することは想像に難くありません。

音響機器で周波数ごとに見れるマルチメーターというのがあります。細かいメーターが沢山並んでいて、音が鳴るとそれに合わせて出たり引っ込んだりして周波数ごとのボリュームを視覚的に見ることが出来ます。
色んな音楽や、音楽でなくても波の音などでも構いませんが、それらの音をメーターで見てみるとホント色々な周波数が出ているのがわかります。

例えばこれはEarth, Wind & Fireの"Getaway"のイントロの一部ですが、こうなります。

下に小さく数字が表示されていますが、これが周波数を表す数です。青いメーターが周波数のボリュームの大きさです。ソルフェジオ周波数の528hzは500と1k(1000hzを表します)を4分割して500に近い側あたりになります。他のソルフェジオ周波数(下は174hz、上は963hz)も含まれている様ですね。

これはさざ波の音を見たもの。

さざ波なので全体的にボリュームが小さく低音は出ていませんが、ソルフェジオ周波数は全て含まれている様です。もっと大きい波の音だと低音も入りボリュームも大きくなります。

。。。という訳で、YouTubeに528hzのヒーリング音楽なんてのが一杯あるんですが、これらも例に漏れず色々な周波数が含まれています。「悪魔の周波数」と言われる440hzもね。。。(ΦωΦ)
てことで、別に周波数に拘らなくても、ビートルズのTomorrow never knowsに関わらず一般的な楽曲、自然音にはソルフェジオ周波数は大抵含まれてるので、無理してソルフェジオ周波数専用の曲を聴く必要はまず無いように思います。勿論好みの曲があったなら聴いても全然かまいません:)

周波数よりも大事な要素がある

一般的な音楽やさざ波などの自然の音の中にも、普通にソルフェジオ周波数が含まれている事が分かって頂いたところで、次に周波数以上に大事な要素について解説していきます。

この手のヒーリング・ミュージックで一番大事なのは「リラックスする事」だと思うのですが、上記の説明の通り、大抵の音にはソルフェジオ周波数が含まれています。

ここで問題なのは、ソルフェジオ周波数は悲しい曲や不安を煽る曲など「リラックス出来ない音楽にも含まれている」ということなんです。

音楽は感情を増幅させます。映像作品にBGMがあるのはそのシーンを盛り上げるためですが、それは観客の感情をより煽るためというふうに置き換える事もできます。

つまり、人は楽しい曲を聴くと楽しくなり、勇ましい曲は勇ましくなり、そして悲しい曲は悲しくなります

例えば葬送行進曲。聴くだけで暗い気持ちになりますよね。この葬送行進曲を528hzに調整して演奏する事は出来ちゃうんですよ。
しかし、それを聴いたところでDNAには良いかもしれませんが、気持ち=マインドは下がってしまいそうですよね。

また他にも歌入りで悲しい歌詞の曲だと、音楽の要素よりも言葉が強いため、そちらに引かれて悲しくなってしまう事もあるでしょう。そうなるとDNAの修復どころじゃありません。。。
さらに歌詞は具体的すぎるので、ポジティブな歌詞でも思考やマインドが固定されてリラックスには向かない気がします。

また個人的に聴いた感じだと、YouTubeにあるヒーリング・ミュージックは落ち着くには落ち着くんでしょうが、「心の中を探検している、何かを探している」ような印象の曲が多いです。
もっとこう、、優しい感じの曲とか、閃いたとか悟ったなど、感動的な音楽の方がいいと思うんですよねー。

で、これがベストって訳じゃないんですが、自分が知ってる中でオススメできそうなのはこの曲です。こんな感じでちょっとスピリチュアルで明るい感じが受けると思うんですが、いかがでしょうか?




ただ、この下の曲のように、脳科学の実験によってある程度実証された、ストレスや不安を取り除く曲というのもあります。
これも個人的にリラックスできるか、と言われるとうーん。。。となっちゃいます。効果はあるんでしょうけど。

なので、自分で聴いてみてポジティブになれて気持ちよくリラックスできて、なおかつ歌の入っていない(または外国語で何言ってるか分からない)曲を見つけたほうが、より幸せになるかも知れません。そこにはソルフェジオ周波数はほぼ(528hzはほぼ確実に)入ってるでしょうし。

そういう訳で、冒頭の結論「周波数にこだわらず、ポジティブな気分でリラックス出来るインスト曲なら何でも良い」に辿り着きました。

しかし!それでも!私はソルフェジオ周波数を信じる!他の周波数は毒!って方もいると思います。

その方には音叉や発振器、最近のDAWのプラグインでオシレーターが付属するものがあるので、それらを買ってきて、その音をサイン波(倍音の無い、純粋な周波数の音)で鳴らすことで、それぞれの純粋な周波数の音を聴くことができますので、トライしてみてはいかがでしょうか:)

と、冷たくあしらうのも申し訳ないので、、、という訳でもないんですが、実は作曲家として「ソルフェジオ周波数だけで曲を創るのはちょっと面白いかも」という興味本位で一曲作りました。

この曲はただ単にそれぞれの周波数を鳴らして終わるのではなく、ある程度曲として成立するように作られています。

さらに、なるだけ純粋なソルフェジオ周波数を鳴らすため、この曲を作る上での制約をつけました。

・ソルフェジオ周波数の9つの音だけ使用する
・倍音を排除するため、サイン波のみの音色とする
・ただし聴きやすい様に、最低限のリバーブだけはかける

となっています。動画は5分30秒くらいの曲を5回繰り返しています。

効果の程は。。。はっきり言って分かりません。もし体に良い影響が出ましたら幸いです。
また気分が悪くなったら即刻聴くのをやめてくださいね。そこは申し訳ないけど自己責任でよろしくお願いします。

という訳で、こちらです。

この曲を作ってわかったんですが、意図的かはたまた偶然なのか、ソルフェジオ周波数はメジャーの協和音も(厳密にはそれっぽく聴こえる程度ですが)、短三度下のマイナーの協和音も出来、7th、9thも含まれているんですねぇ。もっと変なことになるかなと思ってたんですが、意外とまとまりました。でもかなり外れてる音もあって、それらをどう纏めるかが作ってる上で面白かったです。

また気が向いたら第二弾を創る。。。かもしれませんw。



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