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無責任な積読

 未だに電子書籍には手を出さず、紙の本しか読まないが、借りるよりも買うほうが好きという厄介な性格でもあり、どうせ読めはしないだろう量の本がたくさん積み上がっている。

 基本、仕事以外で人と会うことのない寂しい暮らしをしている。人と会わないと、感情が動く瞬間は、自分で設定しないとそう簡単にやってこない。そういう穏やかな生活がお気に入りという方もいるだろうが、私は退屈が苦手な人間なので、家の中にこもっていられず外出するのが常である。

 しかし外出先の選択肢が幅広くあるわけではない。たかだか書店、映画館程度のものである。

 書店で売り場を見ているときの「面白そう」という感覚は結構、微分的である。家についたら最後、買ったことすら忘れて興味を失っている本がたくさんある。

 だから読めもしない本を手にとることは暮らしにおいてはカンフル剤みたいなものだが、まだ若いからなのか、結構このカンフル剤、効くのである。つい買ってしまう。

 私にとって趣味というものは、それが好きである理由を説明できないものである。新聞収集にせよ読書にせよ映画鑑賞にせよ、本当にそれを心から欲してやっているかと言われれば疑問だ。

 なぜ読めもしない本を買うのか、なぜ期待していない映画を見に行くのか。「それは仕方ないことだから」としか言いようのないときがある。そう、趣味とは無責任なのだ。

 無責任の象徴たる積読本を見ながら、きょうも無責任に放置し、書店に行ってせっせと無責任に新しい本を買うのが私の休日である。こつこつやる奴ァごくろうさん、ハイごくろうさん。

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