映画『きみの色』評/心的な動揺が不可視化された現代を描く問題作
(山田尚子監督/2024年/日本/100分/カラー/アメリカンビスタ)
長崎のミッションスクールに通う高校生トツ子、中退して古書店で働く少女きみ、医学部進学のため長崎の塾に通いつつ内緒で音楽活動をしている離島の高校生ルイの3人によるバンドの物語。
きみにとってもルイにとっても、最大の関心は、周囲の期待をいかに裏切らずに生きていくかということに向けられている。自我を内面に閉じ込めて、いかに体裁を整えるかにエネルギーを使い、疲弊している。このあたりは、現代の思春期世代のリ