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映画レビュー

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見た映画の感想です。ミニシアター系が中心です。
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2024年9月の記事一覧

濱口竜介監督『何食わぬ顔』の、肌に触れるまでのサスペンス

 大阪・十三の第七藝術劇場で開催中の濱口竜介特集「映画と、からだと、あと何か」の中で、濱口が東大映画研時代に撮った8ミリ映画『何食わぬ顔 (long version)』(2002)が上映されていた。筆者の鑑賞は3回目である。  動いているものを見る喜び、人の顔を見る喜び、人が人に視線を向けているのを見る喜び等々、映画を見ることで得られる喜びのうち重要ないくつかが8ミリの粗い画面に凝縮されていて、得も言われぬ感動がある。  中でも最初の鑑賞から強く印象に残っているのが、劇中

映画『きみの色』評/心的な動揺が不可視化された現代を描く問題作

(山田尚子監督/2024年/日本/100分/カラー/アメリカンビスタ)  長崎のミッションスクールに通う高校生トツ子、中退して古書店で働く少女きみ、医学部進学のため長崎の塾に通いつつ内緒で音楽活動をしている離島の高校生ルイの3人によるバンドの物語。  きみにとってもルイにとっても、最大の関心は、周囲の期待をいかに裏切らずに生きていくかということに向けられている。自我を内面に閉じ込めて、いかに体裁を整えるかにエネルギーを使い、疲弊している。このあたりは、現代の思春期世代のリ