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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

「弾けすぎて期待値の上がりすぎる予告編の映画は大体ハズす」


こんなジンクスを持っている私は本作への期待は薄めだった。


しかし、予告編は確かに弾けていたし期待値が上がったことには間違いはないわけである。そのお礼として劇場に足を運ぶことは心に決めていた。


それ以外にも観に行く理由はある。


「テンリングス」で久しぶりに見て「もっと見たいなぁ」と思ったミシェル・ヨーが主演という事。

これはスタートレックでのミシェル・ヨー

「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」での活躍からまったくスクリーンでの彼を見掛けることができなくなったジョナサン・キーがキーとなる人物で登場している事。

キーとなるキー(2度言った!)

そして、A24制作であること。

スクリーンに出てくると無抵抗にワクワクするタイトル


すると、海外から映画賞各賞をかなりもぎ取っているという情報が入ってきたし。


でも、内容に関しては懐疑的なまま劇場に足を運ぶことにした。


懐疑的な1番の理由はダニエル監督の前作「スイスアーミーマン」にまったく乗り切れなかったからだった。


映画の定義のひとつに「大の大人が莫大なお金を投じて頭に浮かんだ妄想を具体化映像化するもの」というものがあって、その妄想の方向性と映像化の嗜好の趣味が合うものが「好きな映画」になるのだと思う。


「スイスアーミーマン」の核となるアイデアは非常に好ましく、観る前の期待値は爆上がりしたものだったが、実際に観てみると映像化の趣向やテンポや何もかもがまったくハマらなかった。


主演の

ダノ

ポール・ダノとダニエル・ラドクリフが大好きだったにも関わらず!だ。


ラド

このことは上記のミシェル・ヨーやジョナサン・キーが出ているとしても期待が覆ることの示唆となり得ている。


前情報の「マルチバースを行き来する事になったしがないコインランドリー経営のおばさん」というかなり面白くなり得る題材を趣味の合わない視覚化と乗り切れないテンポで映像化されることへの疑いを払拭させる方が難しいのだ。



ゴタゴタ言ってないで(言ったが)劇場へ足を運ぶ。


東京出張中のたまたま空いた時間の谷間と新宿バルト9(音響が良い)での本作の上映時間がちょうど重なり、チケットを取った。

画像は「ナタリー」より


最近観る映画はオススメの場合は「何を喋ってもネタバレになる。なので劇場に絶対に観に行ってください」というのが多いが、本作はその類の映画ではない。


ストーリーは何もないと言ってもいいくらいのものだ。


一言で言えば「春節のパーティと納税日が重なってしまった日の母娘の喧嘩とその終結。そしてその背景に関する壮大な妄想」の視覚化と言い切っていいと思う。(個人の感想です)


要するに俳優各人の演技は素晴らしいし、映像のアイキャンディっぷりもフレッシュで愛が溢れている。以上。


そんな感じなのだ。


結果としては「劇場で見るしかないよ。あとからネトフリとかディズニーチャンネルとかアマプラでPC画面で見ても全然面白くないと思うよ」と他の映画と同じ様なレコメンドにはなってしまう。


「スイス・アーミー・マン」でも感じたテンポの悪さからくる居心地の悪さや乗り切れないギャグのゴリ押し感もあるにはあったが、許容範囲だったと言おう。でも無い方が良かったが。


ちなみに付け加えると、劇中で4度泣いた。理由はわからない。

この「わからない理由」で泣くというのが映画(やその他の作品)を鑑賞するダイナミズムだと思う。もちろん泣いたから良い映画というわけでもないんだけど。


あとから思い出して追記するかも。


あ、娘役がとても良かったんですよ。初めて見る役者さんで。
見てる間じゅう「プリティだなぁ。誰かに似てるなぁ」と思ってたんだけど、もしかするとマキタスポーツかも知れない。思わなかった?

ステファニー・スーさん。ごめんなさい。でもファンになった。


追記:1
予告編でほとんど面白い映像は出し切ってしまっている印象がある。
でもそれがぜんぜん「損したな」という感じにつながらないのがすごいと思う。
予告編の映像以外でのフレッシュな映像はジョイ=ジョブ・トゥパキが登場する殺戮シーン(上の画像)かも。ただここにも乗り切れないギャグは盛り込まれているんだが。苦笑。


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