別れが平気な人
人との別れが苦手である。
ちょっと出かける人に「行ってらっしゃい」と言うのにも少し悲しみを感じている。
「もう会えないかも」などと具体的に考えているわけではなく、ただ寂しいというのでもない。単純にすぐに離れがたくなってしまう体質なんだろう。
でも、この体質が特に珍しいわけじゃないということも知っている。
子供の頃、お日様が西の空に沈んでいって、もう野球のボールが見えなくなっても、自分から家に帰る奴はいなかった。そんな感じが近い。明日嫌でも会えるのに。当時は10割全員そんな奴だった。
この体質を一言で言うと、センチメンタルということになってしまうのかもしれない。
若い頃に知り合った10年先輩の俳優に「お前はセンチメンタリストだろ。だからダメなんだよ」と言われたことがあった。役者とかタレントとかっていう人種はどうも思ったことをズバズバ言う人が多い。このことに関しては別の日に書く。
言われた時には彼の意図にそぐわず傷つくことはなかったが、自分がセンチメンタリストだということと、ロマンチストではなかったことがじわじわと自分を苦しめた。
センチメンタリストは悲観的、内省的、情緒的。
ロマンチストは楽観的、情熱的、前向き。僕の中ではこう分析している。
「悲観は感情に流されるだけだが、感情をコントロールできる人間が楽観的になれる」という誰かの言葉があるが、全くその通りで、センチメンタリストは感情に流されやすいのだ。
今朝、しばらく別れることになる人を空港まで送ってきたのだが、その人は僕の感傷にまったく付き合うことなく明るい顔をして去って行ったのだ。
ただそのことを書きたかっただけで、こんな文章を要することになった。
「これだからセンチメンタリストは・・・」という俳優の声が聞こえてきそうだ。
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