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ざつだん(数学の美しさとは)

ここまで私のnoteをご覧いただいたあなたにはバレていると思うのですが

私は算数および数学が苦手です。

将来、算数(数学)を使わない仕事をするから良いんだ!と思っていたけど、

世の中には算数(数学)が溢れている。

単純なことで言うと、

買い物に行けば当然、数の大小がわからないと支払いが出来ない。

また、セール品の値段の計算も割引の計算が出来ないと、

お金が足りるかの判断ができない。


私はもともと販売員をしていたので、

お客さんに値段を聞かれた際に電卓を叩くのだけど、

計算ができないと電卓を使うこともできない。

必要に駆られて勉強をして、その時ようやく『割引ってこういうことか!』となった。

私は高卒で働いたので、実に10数年越しに理解出来たことになる。



買い物以外だと、料理する時の濃度の計算なんかも算数ですね。

調味料を○倍に薄めるとか。

ちなみに私は未だに計算方法がわかりません。



笑ったあなた、本当に解けますか?


じゃあここで問題です。

100gの水に25gの塩を加えました。食塩水の濃度は何%でしょうか?




25%と答えたあなた、残念ながら私と同レベルです。

一緒に勉強していきましょう。恥じることはありません、大丈夫、怖くない。(自己暗示)

ちなみに正解は20%だそうですが納得はしていない。



そんなことで、算数(数学)は至るところで必要なんですよ。遺憾ながら


ただ、親の仇くらいに算数(数学)が嫌いな私ですが、

理数系の人が言う『数字や数式の美しさ』の一端、のカケラに触れた作品があります。



それが、小川洋子さんの『博士の愛した数式』

ちなみに新書でも買って、今回note買うのに単行本も買いました。


この本に出会ったのは学生時代でした。

本屋大賞に選ばれた年だから2004年のことですね。


私は小説を買うとき、初めての著者の作品は

必ず立ち読みをパラパラとしてから買うようにしてます。

著者や作品との相性が、自分の中で合うかどうかの下見の感じ。

この作品は、初めて読んだ時も今も、優しい空気に包まれている作品だと思っています。


このお話は、

記憶が80分しか持たない『博士』と、そのお世話役の家政婦の『私』、その息子『ルート』の物語です。

博士は数学に精通していて、算数の宿題に頭を悩ませるルートに優しく教えてあげたり、

人の靴のサイズを尋ねては数字の蘊蓄を語ってくれるような、

でも嫌味なわけでもなく、それが博士のコミュニュケーションの最たるものとして描かれています。

博士のコミュニュケーションの一部を本文から紹介します。

『君の靴のサイズはいくつかね』
新しい家政婦だと告げた私に博士が一番に尋ねたのは、名前ではなく靴のサイズだった。(中略)
『24です』
『ほお、実に潔い数字だ。4の階乗だ』
『博士の愛した数式』より

これは初めて博士と『私』が会った時の、一番最初の会話です。

さらに博士は『私』に電話番号を聞き、『576の1455』という答えに

『1億までに存在する素数の個数に等しい』という話をします。

その他にも郵便番号や自転車の登録ナンバー、名前の字画ーーーなどのバリエーションがあると記されています。



優しい語り口で進んでいく物語ですが、

私がおおっと思ったのはその後、


220と284の関係性について、博士が説く場面。

(前略)220の約数の和は284。284の約数の和は220。友愛数だ。滅多に存在しない組合せだよ。フェルマーだってデカルトだって、一組ずつしか見つけられなかった。神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字なんだ。美しいと思わないかい?(後略)
『博士の愛した数式』より


は?美しすぎるだろ。


こんな数字のペアがあることに衝撃を受けたし、

それが『友愛』という言葉で言い表されていることも素敵だと思った。

数字や数式が美しいという感覚を初めて理解した瞬間だった。



それからもやっぱり算数や数学は苦手だけれど、

数字同士の繋がりなどには関心があります。


作品中にも出てきますが、

その数字のもつ、その数字以外の約数を全部足すと元の数字になる『完全数』(たとえば6は、約数が1と2と3で、足すと6になる)や

素数なんかも面白いですね。20までの素数くらいしかすぐわかんないけど。



なんちゃらの定理とか、そんなのは全然わからないけど

こういう数字を考えるのは自分でも出来そうじゃないですか?

車のナンバープレートを四則演算して10にするとか、素因数分解してみるとか、そういう感覚に近いかも。


数字はもっと身近なものなんだということに気づかせてくれた作品です。


数学が嫌いな人にこそ読んでほしい。



それで少しでも数字について好きになったら

この動画を見てほしい。


たぶん、『博士の愛した数式』の『私』の気持ちがわかると思います。

人ってこんなに熱っぽく、数字について語れるんだっていう動画です。

そして、自分でも何か見つけ出せそうな気にしてくれます。



たとえば誕生日だったり、自分の住んでるマンションの部屋番号、携帯の下4桁。

身近な数字を分解していくと、面白い発見があるかもしれませんね。


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