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舌がしまえない

一週間して。

再び病院に行きます。

検査結果を見て先生が言います。

「うん、やっぱり立派な腫瘍だったね。」


わかっていても、なんかの奇跡で前の医者の誤診だったらなぁという一縷の期待が外れて、やっぱり涙が出ました。もう泣いてもしょうがないとはわかっているのに。

だからと言って、先生はまったく慌てる様子も困った様子もなく、

「とにかく、やれることをやっていきましょう。」

そういって、また注射が打たれます。

この注射を打つときに、あることをやってくれ続けたのですが、ちょっと特殊な治療なので細部は控えます。

原理としてはこちらと似てるのかな?と思います。




一週間しか経ってないので、何かが劇的に効いてる感じはないけど、少なくともなんとか現状維持はしてくれて。下痢はありがたいことにだいぶ治まってくれたようでした。

ただ、かなり口の中から悪臭がするようになります。

常時すごい臭いのよだれが止まらず、当たって痛むのかいつも舌が出しっぱなしで。

そして、ものすごく口の中がただれた状態なので、毎回のご飯の時間が戦いの時間となりました。

こっちは、なんとしても食べさせようとするんだけど、はなにすれば、たぶん一口入れただけで激痛が走るんでしょう。口に入れた途端に左右に顔を振ってご飯を吐き出したり。家中すごい臭いになっていました。

逃げるはなを追いかけてご飯を食べさせながら、これでいいのかと自問することは何度もありました。



こんだけ嫌がることを強いているんだもん。


はなにきっと、ものすごく嫌われてるだろうなぁ。



一人で、誰からも離れた窓辺でじっと耐えているはなを見て、そう思いました。


それでもなんとか。

なんとか生きてる間は、ちゃんと食べさせたい。



どうしてあの時、ヨワヨワな精神のワタシがそれだけは決められたのか。

自分でもよくわからないのですが、そこだけはブレませんでした。


人間もそう。

生き物は食べることでしか生き続けることが出来ない。

食べられなくなったら、それは死んだのと一緒。


脳卒中で、最期の一カ月寝たきりだった父の姿は、まるで生きながら屍になった人のようでした。


そんな経験もあってなのかなぁ。。。だとしたら、それは感謝だなぁ。

今。書きながら、ふとそんなことを思い出しました。

いろんな経験が繋がっているんだなぁ。。。



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