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【カードゲーム】時間はリソース

紙のカードゲームの大会において、大会の進行を円滑に進めるために1試合あたりの時間制限が設けられています。
制限時間を超過した対戦はどちらのプレイヤーも敗北したものとして扱われ、どんなに有利な状況であっても負けたものとして扱われるだけでなくオポネントの観点からも不利を背負うことになります。

※オポネント
対戦相手の強さを表す指標
主に予選ラウンド終了時の勝率が同じプレイヤーに優劣をつけるために比較される
時間切れによる両者敗北が発生すると自分だけでなく対戦相手も負けになるため、同じ勝率のプレイヤーと比較してオポネントは低くなる

時間切れは可能な限り避けるべきことであるのは多くの人が同意するところかと思います。
一方で、時間切れを起こさないために具体的にどうすれば良いなどの話はあまりされていないように感じます。
(下記記事は時間切れについて真摯に向き合っている数少ない記事です。ヴァイスシュヴァルツの知識が多少必要ですが、非常に良い内容のためご一読いただければと思います。)

https://yuyu-tei.jp/show/ws/content/22451

競技シーンで時間ギリギリまで対戦している卓を見て思うことが多いため、今回は「時間は共有リソースである」という視点から個人的に気をつけた方が良いと感じたことを書き連ねていきます。

本記事は主にデュエマを例に挙げますが、デュエマを知らなくても読める内容にしています。

長考の価値がある盤面か

極端な例として、先攻3ターン目で以下の状況を考えてみる。

鮮烈に蘇るあの頃の記憶

十中八九「氷河レオポルディーネ公/エマージェンシー・タイフーン」をマナに置いて「絶望神サガ」を召喚することまでは確定しているだろう。
このタイミングで「機術師ディール/本日のラッキーナンバー」や「勝熱と弾丸と自由の決断」がシールドに落ちている可能性や「絶望神サガ」の1ドローを引いた先で何が起こり得るかの考慮に1分間頭を悩ませることは明らかに時間の無駄と断言できる。

ここまで極端な例は無いにせよ、自分がこのターンにする行動がほとんど確定しているが相手の返しの動きによって次のターンの動きが大きく変わる、といったシーンは数多く存在する。
そのようなシーンでは、今時間を使って相手の動きの分岐を全て考慮するより、返しの相手の動きを見た次のターンに目の前の状況にどう対処するかを熟考する方が考える量も時間も少なく済むだろう。

一見すると、最初に浮かんだプレイ方針通りに動かず別の方針を模索するのは勝ちに近づく行為であるように感じるだろう。
しかし、別の方針を模索するという行為は時間というリソースを消費する行為であり、本当に時間を割かなければならない局面になった際に十分な思考ができないまま誤った判断を下してしまう可能性がある。
時間はリソースであるという前提のもと、リソースを割くタイミングを適切に見極める必要がある。

身の丈に合ったデッキ選択

例えば制限時間20分のデュエル・マスターズの大会において、ゲームターンが10ターン程度のデッキでは1ターンに費やせる時間は平均1分となる。
実際に20秒程度をカードのプレイに費やすと考えれば、思考に費やせる時間は平均40秒程度だろう。
これに対して、ゲームターンが5ターン程度のデッキであれば1ターンに費やす時間を2分程度にしてもある程度許容される。
20秒程度をプレイに費やしたとしても、毎ターン平均100秒も考える時間がある。

勿論この見積もりは極端ではあるが、平均ゲームターンが短いデッキを使えば思考の遅いプレイヤーであっても余裕が生まれる。
1つのアクションのたびに10秒考えるようなプレイヤーが青黒魔道具やサーナイトex、本門PIXARを使えば制限時間が1時間だろうが間に合わないのは火を見るより明らかだろう。

時間さえかければ高い勝率を出せるデッキを使えば、制限時間のない大会では優勝できるかもしれない。
しかし、現実には殆どの大会において制限時間は設けられている。
時間切れによる両敗を頻発させるよりも、そこそこの勝率しかないが短いプレイ時間でゲームを終わらせられるデッキを使う方が競技シーンでは良い成績を残せる可能性が高いだろう。

所作を手早く、宣言は丁寧に

カードゲームは運の絡むゲームであるため、スリルを楽しむためにカードを複数枚捲る行為を1枚ずつ確認したくなる気持ちは十分に理解できる。
しかし時間は対戦相手と共有のものであり、あなたが1枚ずつゆっくり確認している間、対戦相手は無駄に時間を奪われている。
ゆっくり確認しようが手際よく確認しようが捲れるカードは一切変わらない。
時間切れを起こさないように宣言は明確に、枚数は相手に見えるように、取り出すのはまとめて手短に行うべきである。

「カードを3枚引く」や「山札の上からカードを7枚見る」などの枚数を選べず相手にカードを見せない効果は1枚ずつ見るのではなく、指定枚数を机の上に置いてお互いに枚数確認してからまとめて見るようにする。
「山札の上から3枚を表向きにする」などといった枚数を選べず相手にカードを見せる効果も1枚ずつ捲るのではなく、指定枚数を山札から取ってまとめて表向きにする。

挙げればキリがないが、一つ一つの所作を手短に行うことの積み重ねでプレイにかかる総時間は短くできる。
この後にもう1ターンあれば勝てたと後悔したく無いならば、局面に全く影響を与えない時間は可能な限り短くするべきである。

おわりに

今回は時間はリソースであるという観点から、時間の短縮をするために意識すべきことを書き連ねました。
執筆している私本人も完全に実践できているというと嘘になりますが、できるところから少しずつ改善していければ良いと思います。

記事内ではカードゲームの楽しみの一部を否定しているとも捉えられるような表現を用いましたが、競技目的の対戦での心構えとして頭の片隅に置いてもらえればと思います。
引いたカードで一喜一憂するようなドラマチックな対戦をしたいのであれば、その感情を共有できる友達を作りましょう。

ゲーム内のリソース管理については解説している動画や記事は多いものの、時間について言及しているものは少ないかと思います。
最初から述べている通り時間は「対戦相手と共有の」リソースです。
自分が気をつけることは勿論のこと、対戦相手も時間に真摯に向きあう必要があります。
少しでも時間について意識する人が増えてほしいという思いからこの記事を執筆しました。
烏滸がましいですが、少しでも多くの人に読んでいただけるように拡散をしていただけると助かります。

おわり

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