ワスレグサ
庭のノカンゾウが蕾をつけています。
ノカンゾウの属名はワスレグサ。
目が覚めるようなオレンジの花は、忘れていた何かを思い出させてくれそうなのに、意外な名前です。
合歓蠲忿、萱草忘憂
ネムノキは怒りを除き、萱草は憂いを忘れさせる。
「萱草」は、もともと中国では、カヤやスゲなど細長い葉を持つ草を指すそうですが、『養生論』の知識が日本に伝わり、わすれぐさ、と読まれるようになりました。
ただ、日本で萱草をわすれぐさと呼んだ用例は比較的新しいため、日本が中国の伝承をそのまま受け継いだわけではなく、もともと日本にあった伝承と混ざり合った可能性もあるようです。
今昔物語に、カンゾウを「忘れ草」、シオンを「忘れじ草」とする説話があり、最後にこんな文章で締めくくられるそうです。
私は元来、悩みを引きずる性格ですが、そんな難儀な性分とつきあうことを覚えました。
辛い時には、意識的に悩みから目を背けて、日常を回す。
浅い言動で、相手に不快を思いをさせてしまった時は、一度だけ謝る。
何度でも謝りたいけれど、互いの気持ちがこじれるだけ。
だからその後は、時間が過ぎるのをひたすら待つ。
気持ちがすれ違い、友人とギクシャクしてしまった時。
それでも相手のことが好き。
そのことだけに意識を向けて、互いの気持ちがおさまるまで、静かにしている。
誰の言動を不快に感じている時。
すぐに行動に出ない。一呼吸。
誰かのことがたまらなく好きになった時。
どんなに好きになっても、感情には波があり、いつまでも同じ温度で好きでいられるわけではない。
だから、大好きだと思っているうちに会いにいく。
波が通り過ぎてしまう前に、その人との関係を強固なものにするため。ただし、それができるのは恋愛以外。
いつまでも忘れないシオンと、悲しみを忘れられるカンゾウ。
私の家の庭に、実際にあるのは、ノカンゾウです。
どちらかを選べ、と言われたら迷うけれど、私が自分の性格とつき合っていくには、ノカンゾウの方が必要かも。
皆さんは、どちらかを選べと言われたら、どちらを選びますか。
参照元
おまけの話
思ひ草と呼ばれる植物もあるそうです。
昔から人々は、植物の姿に自らの思いを見出していたのでしょう。
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