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ハマユウの花

子供の頃、家の庭にハマユウの鉢植えがありました。
種を義父からもらって植えた、という話と共に、母から繰り返し名前を聞かされていたので、小さいころからなじみのある花でした。

もう実家にハマユウはありませんが、近所で花咲いている花をみかけ、noteで少し前に読んだ記事のことを思い出しました。

ハマユウのユウは、神事で榊に付ける木綿(ゆふ)からきている。
葉の姿からハマオモト(浜万年青)ともいわれる。
3センチほどの白い種が浮いて海を旅し、発芽し根を下ろす植物だ。
種から芽を出したままもらって植えたハマユウ、今では花が咲きほこっている。

島日記 三日月と金星と浜木綿と

ハマユウは漢字で書くと「浜木綿」。
植木鉢に植えられている白い花としか思っていなかった私に、朧月夜さんの記事は、ハマユウに対して素敵なイメージを拡げてくれるもので、自分でも調べてみることにしました。

まず神事に用いられる、という部分から。

木綿(ゆう)
楮(こうぞ)の皮を剥(は)いで、その繊維を蒸し、水にさらしたうえ、細かく糸状に裂いたもの。美しい白色をしており、「白木綿(しらゆう)」ともいう。神事において、幣帛(へいはく)として捧(ささ)げ、榊(さかき)や斎瓮(いわいべ)(神祭用酒饌(しゅせん)陶器)に掛けたり、襷(たすき)(木綿襷)とした。四手(しで)も本来は木綿を使い(木綿四手)、「木綿畳(だたみ)」はこれを編み畳んだもので、神事に用いられた。

コトバンク「木綿(ゆう)」

ハマユウの「ユウ」は、白い花弁が神事で用いられる木綿(ゆう)のように白く垂れることからきている名前。花言葉「汚れがない」も、神事に使われることに由来します。

木綿をユウと読む。そのわけは。

木綿子(ゆうこ)という女性の名前がありますが、木綿を「ユウ」と読むことについて調べてみたところ、木綿はもともとコットンを指す言葉ではありませんでした。

綿花から作られる木綿が、国内で広く栽培されるようになるのは15世紀末。それまでは、海外からの高価な輸入品で、支配階級のための贅沢な衣料にのみ用いられていました。
綿花から作られる木綿、つまりコットンが広まる以前の時代、「木綿」は、楮など、綿花以外の植物繊維で織られた布を指し、「ユウ」と読まれていました。

続いて、ハマユウの「ハマ」のほう。
ハマユウの種子はコルク質に包まれています。水分を通さずに軽いため、海を漂いながら未知の砂浜に漂着し、海岸沿いの砂地で自生します。

ハマユウの花言葉には「汚れがない」の他に、「どこか遠くへ」「あなたを信じます」があります。
波間を旅しながらどこかの海岸に流れつき、きっとその土地で花を咲かせる。「どこか遠くへ」「あなたを信じます」の花言葉には、そんな思いが込められているそうです。

遠くで花を咲かせていることを信じています。
これから新しい土地で、美しい花を咲かせることを信じます。

私にも、心の中でそんなエールを送っている存在がいます。
そんな一人一人のことを思い出しています。


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