2020年を振り返る

ただ、つらつらと振り返るだけ。

【1月】

ひたすら図書館に通い詰めて宮沢賢治の研究をしていた。
研究して、書いて、分析して、それを演出に落とし込んで……を繰り返していました。
あの時は苦しかったけれども、思い返せば充実した時間だった。

【2月】

『カブコレR』の稽古が始まった。
割と早い段階で色んな事が決まっていったように思う。
稽古して、振り返って、演出プラン考えて、また稽古して……ちゃんと前に推進している事を実感できていた。

【3月】

『カブコレR』の演出プランも固まって、音楽やダンスの振付もほぼほぼ固まりかけていた。
3月末頃には「後は稽古を積み重ねて本番や!」と思う所まできていた。

【4月】

初旬、コロナウイルスの感染拡大により『カブコレR』の延期が正式に決定した。
喪失感がとんでもなくしばらくは何もやる気が起きなかった事を覚えている。積み重ねた時間がこうも簡単に吹っ飛ぶのか、と思った。
中旬頃になると悔しくてインプットばかりしていたが、アウトプット先が全くなくて段々と嫌気がさしてきた。

【5月】

『どうぶつの森』でしずえさんをひたすらにストーキングするという異常行動ばかりしていた。最終的には誰も近づくことができないように崖と滝を造っていた。しばらく島には行っていない。しずえさん、元気かなぁ?
そうしていると『オンラインで観る注文の多い料理店』の稽古が始まった。
あの時が初めてのオンライン演劇の演出だった。
よく「演劇とは何か?オンラインとオフラインで違いはあるのか?というか、オンライン演劇は演劇と呼んでもいいのか?」と悩んでいた。
振り返ってみればかなり要素を詰め込んで、役者さんをガチガチに固めた演出方法だったな……と、思う。しかし、それしか生の舞台に対抗する方法が思いつかなかった。
しかし、0から創り上げる経験は大きな糧になった。

【6月】

次の『カブコレR』の稽古が始まる。
「不思議な不思議の国のアリス」と「Matchbox」の演出を担当していた。
どちらも現在の私たちの抱える状況をどうにか要素として取り込もうと奮闘していた。そこまで意識する必要があるのか?と言われたら、まぁ、あるからこう演出していたんだろうな、と思う。
要素を取り込む事には成功していたが、2度とあんなに運動量が多い芝居でマスクを着用する事はしないと心に誓った。せめてマウスシールドになる。まぁ、これは取り組んでみないとわからなかった事だから仕方ないのだけど。結構、途中で倒れないかひやひやしていた。
あと、まぁ、音と光に頼ってしまう自分の演出方法はどうなのか?と思っていたが、それが個性だしなぁ……とか思っていた。固執はしたくないが、無理矢理に手放す必要もないし。

【7月】

『カブコレR』の本番。
コロナ対策がとんでもない事になっていて、もう頭が下がる思い。結構、ギリギリなラインだったので余計に対策に対策を重ねていた。凄かった。
あまりにも色んな事に思考回路を使い過ぎたせいか、本番が終わってもあまり充実感はなく『無事に終わってよかった』という思いしか残らなかった。その後2週間はビクビクしていたし。
早く何も心配せずに作品を創作する事に集中できる世の中になってほしいと願うばかりです。
この短期間で「オンライン」と「オフライン」の演出を両方経験できたのは良かった。実感を持って色々と考える事ができた。

【8月】

朗読劇「ひとでなしの恋」に取り組んだ。
久しぶりに狂気の乱歩座組みが結成できて、ドロドロした思いを煮詰めて煮詰めて、もう自分達でも出発点が何処だったかわからない位の作品が創作できた。全員で地獄を創るのは面白いね。そして、皆、自分が「あいつよりはマシ」と思っているところも面白い。深夜の地獄。
劇団Confluxで「Killer COMPLEX」を創作。
何だかんだでかなり久しぶりのふたりの芝居。ここ数年は毎年、ひとり芝居だったから。禅問答のような行ったり来たりするお話。決して答えはないのだけど、煙に巻かれつつ気持ち悪くなるような。この時に「オンラインで演劇を造る」という事に少しだけ前向きになれた。

【9月】

この頃からラジオ動画を造ったり、字幕を付けたりし始めた。
長年の思いであった「演劇に字幕を付ける」という行為を達成する事ができた瞬間だった。完全に自己満足。一応「誰かのために」とかいう思いもあるのだが、私が好きで必要と思っている事なので。選択肢が多い世の中は豊かである、と思っている。選択肢がなくて辛い思いはしたくない。

【10月】

久しぶりの照明のお仕事(+声の出演)
照明触るのが好きすぎて、ドキドキする。きっと恋。
照明の選択肢を誘導できるところも好きだし、空間をエモく見せる事ができる力も好き。
というか、照明が好き。もっと触りたい。問題は知識不足な事なので、これは勉強せんといかん。

【11月】

「オンライン7分演劇祭」に出演。リモートで徳島と繋いで稽古&本番。
一度も実際に顔を合わせる事がなく本番までたどり着くことができ、尚且つ録画ではなくてリアルタイムで繋がっている状況が凄まじい。運営さんサイド、マジで大変。多種多様な作品が並んでいてすごく刺激を受けた。
特に若い子たちのオンラインの活用の仕方が面白かった。何度も「やられたー」と思った……思ったが泣かされた芝居が清水宏さんの「カメラの前に立ってひたすら演技をする」という超絶スタンダードな使用方法だった。

【12月】

お呼ばれして『Matchbox』を再演。同じ役者と演出家で、観客層が変わるとこうも芝居が変わるのか、と思いながら実験してた感じ。どのMatchboxもそれぞれに好き。柔軟性を持って自由に作品と向き合いたいものだ。
あと、初めて人前でインプロした。一応、地味に積み重ねてきていたので成果は出たと思う。
公認心理士の現任者講習会を1か月間かけて受けていた。
だから、何の思い出もなく、ただただ大変だった。
まぁ、無事に修了する事ができたっぽいので、それはよかった。

振り返れば1年というよりも半年単位で生活がガラッと変わりましたね。
来年も大変な事が多いでしょうが、無理せず、でも立ち止まらず、一歩一歩を実感を持って歩んでゆきたいものです。

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