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母は寝たきりで、もちろん歩けない。 「歩けないから、体を動かす機会がなくてますます弱ってしまう。だからせめて手を動かしておくか」 なんて言って、腕の体操をしていたこともあった。(手もだんだんしびれが酷くなり、動かせなくなってしまいましたが。) 退院したての頃は 「歩いた夢を見たよ!」 と、話していた。 しかし、ラストラリーに突入し、母は言い出した。 「歩いて2階まで行ったんだよ」 「キッチンまで歩いて行ってきたよ」 「私も知らなかったんだけど、いつのまにか歩け
お迎え体験って知ってる? なあにそれ、と母は私に聞き返す。 退院してすぐの時、母にこんな話をした。 もう亡くなっている人、 例えばおばあちゃんが夢に出てきて、 「あの世は楽しいところだから、怖くないよ、だからおいで!」って 話しかけてくるんだって。 それについて行ったら死んじゃうらしいよ。 だから、大好きなおばあちゃんから誘われてもついていったらダメだよ! 母は、わかったよ、と笑った。 ーーーーー そろそろ、おばあちゃんのお誘いがくるのではないかと思いラストラリー
私の彼と母が会ったのは丁度その日だった。 ラストラリー全盛期。 なんてタイミングが良いのだろう。 彼が母と対面して、はじめに母に掛けた言葉は 「お元気そうで。」 だった。 お元気そうなのか。 初めて母とあった人には、 とても元気そうに見えるのか。 いや、 母の気遣いな言葉も、 その笑顔も ちょっと抜けてる発言も 全部いつもの母だ。 あぁ、母は今、いつものように、元気なのだ。