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母と過ごした2ヶ月半

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2022年8月。私は27歳、母は59歳。急に足が動かなくなった母は、ガンが脳に転移しており、余命1,2ヶ月と宣告される。私は仕事を休み、自宅で母の介護がスタートしました。母と過ご…
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2023年1月の記事一覧

37 母の覚悟

朝起きても、変わらず母はハキハキ喋る。 意識障害、せん妄の影響はありつつも 話し方はしっかりしていた。 これは本当に最後のチャンスだと思った。 今日はどんな話でもいい。摩訶不思議な話でもどんとこい。話せるだけで幸せだ。 たくさんお話をしよう。 看護師さんが帰った後、母のエアベッドで無理やり、母と一緒に横になった。 すると母はしっかりした意識と口調で話し始めた。 今は、薬がたくさんあって延命治療もたくさんある。延命治療が良いか悪いかは、わからないけど、お母さんはつきとめ

36 ラストラリー 最後の回復

死が迫っているように見える人の症状が、一時的に回復することを「中治り現象」「ラストラリー」と言う。 その原因は、脳が長く生きようと、幸福感を生み出すホルモンが分泌されるためと考えられている。 そして、それは長くは続かない。 あくまでも一時的な回復である。 例えば、何も食べられなかった人が突然好きな物を食べだしたり、起き上がることのできなかった人が立ち上がり歩き出したり。 それは数時間〜数日だけの特別な回復とのこと。 ーーー 母にもそんなこと起きるのだろうか? この

35 心の支え

母の実家に行った日 実は今までで一番不調だったように思う。 ラーメンを一口食べたが、 口にしたのは一日を通してほぼそれだけ。 ほとんどの時間、目を瞑り 念願の実家に到着し祖父(母の父親)が話しかけてもほぼ無言。 【このまま弱って亡くなるのではないか】 ここ最近で一番、死を感じた日だった。 そろそろ別れの時が来るのか、覚悟しなければならないなと心がざわついた。 実家に帰っている期間、遠距離となっていた彼に現状を伝えた。 母は彼に会ったことがない。 それ故、以前か

34 よく食べたものは

母がよく食べたもの&飲んだもの 1位 サクレレモン 2位 オロナミンC 3位 ウェルチのぶどう 母はよく、アイスをたべました。 液体にとろみはつけずに提供しましたが 完全な液体よりも、氷のほうが水分摂取がしやすいようでした。 私が、「アイスはどうー?」 と言って食べるアイスを選んでもらったあと食べさせようとすると… 「ちゃぴおは何を食べるの?」 と聞いてくる。 「私は寒いしいいよ〜」 と返しても 「せっかくなら食べようよ!」  とすすめてくる。 一人だけ食