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可哀想とは。

ロックダウンならぬ、シャットダウン中のトロントですが、

先週はトロント周辺の小中高の学校が感染拡大によって閉鎖された。

そして今週はトロント含むオンタリオ州の小中高の閉鎖が決まった。

私が在学中の国立バレエ学校教師プログラムは幸いPost-secondary扱いになるため、私たちは変わらず登校できている。
しかし、国立バレエ学校のプロのダンサーを目指している中高生のバレエダンサーの卵たちは学校が閉鎖となったためステイホーム辞令。彼等はスタジオでトレーニングできないのに、教師を目指している私たちが毎日マスクで息苦しい中、汗ダクになりながら踊るという、なんとも皮肉な毎日。
私はもう何年も前にバレエは「もう、いいや」と思っているのに、
世の中の多くのダンサーが踊れない中、スタジオで踊れていることに感謝しつつも、バレエとの縁はまるで腐れ縁のようだ(笑)

昨日ルームメイトに彼女が家に遊びに来る・泊まりにくることに対して私の不安を話してみた。
広いお家だったらいいのだが、私たちのアパートは狭く、
バスルームとキッチンは共有。
日本でいう2LDKみたいな感じ。
私が我慢すればいいだけの問題かもしれないが、
彼女が頻繁に泊まりに来ることが気になってしまう。
状況を説明すると、彼女のお家には日中はほぼ毎日ご飯を食べに遊びに行っているルームメイト。そしてそのまま彼女宅に泊まるか、二人で一緒にこちらに来る。週末は一日中こちらで二人で連日過ごす。

シャットダウンにも関わらず感染者数が増え続けているトロント。
状況が状況だけに、ルームメイト、彼女、私の3人を守るためにも、
リスクを減らすという意味で、以下を提案した。

1)彼女と引き続き会うのは構わない(本来なら政府が出した辞令ではそれもNG)
2)彼女は一人暮らし。彼女宅は近い。ルームメイトは車を持っているので行き来はとても楽。なので、会うのは彼女宅だけにしてもらえないか(これまでは彼も彼女も向こうとこっちを日によって行き来)
3)感染を恐れながらも私もクラスメイトも登校しているので、感染防止に協力してほしい
4)ルームメイトだけが往き来をすることによって濃厚接触も減り、彼女も守られる(もし私が感染した場合)

ルームメイトは4)にひどく納得した。
愛する男性(この人の場合)としては、彼女を守ることが提案の中で一番だったらしい。

条件をのんでくれたので、ホッとしてたら、

今日、ルームメイトからこんなメッセージが:

「昨日の提案だけど、やっぱり彼女を家に呼びたいからそれを許可して欲しい。彼女はずっとお家でリモートワークで可哀想だから、息抜きをさせてあげたい。感染防止には気をつけるから可能だと思う。」

私は思わず呆れてしまった。

日本はレストランも開いてるし、美容室、お稽古ごと、お店も空いている。
だから想像するのは難しいかもしれないけど、
トロントでは去年の春から1年強、レストランも美容室も、お稽古ごとも、お店も閉まったままorまともに営業できていない。

そんな中、「可哀想だから」というのはとても自己中心的な感じがした。
リモートワーク、ステイホーム、家族や友達と会えない。
みんなそれぞれ、多くの人々がここ1年強、我慢している。
みんなの中には当然私も含まれている。
どうして彼女の「可哀想」に私が付き合わされなくちゃいけないのだろうか?
ハテナだらけだった。
私は彼と彼女が会うのは構わないと言っているのに、
どうして私の主張を取り入れて少しは妥協してくれないのだろうか。
彼等は四六時中一緒にいたいカップルなんだと思う。
私は必ずしもそうではないから、コロナ渦でも毎日会えるからいいじゃない!と思ってしまうのは私の傲慢。そこは私が理解を示す必要があるかもしれない。
しかし私としては週末は課題や宿題に追われているので、静かに過ごしたい。
だが、彼等はその反対。
通常なら外に出て、カフェなどで作業をしたいところだが、そのオプションも残念ながらない。
ルームメイトは彼女のことを可哀想というけど、
誰も私のことを可哀想だとは言わない。
私が我慢すればいいだけの問題。
それが悔しくて、かなしい。

J に相談しても、J は私より我慢強く、私より大人だから、
「仕方がない、我慢するしかない」と全く同調してくれない。

心が悲しみでいっぱいになった。

人間は自立することが当たり前なんだけど、世界の中でひとりぼっち。
孤独だということをとても強く感じた。

人によっては、どうしてこんなことでここまで悩んだり反応するのか、理解できない読者の方もいるかもしれない。
でも、私はそのように感じてしまい、その感じてしまう心はどうにもできない。

結局、このままルームメイトとの仲が悪くなるのも避けたかったので、
私が理解を示し、折れた。
多分、私としては結構辛かったんだと思う。
「よくがんばった、偉いね」って自分を許した。
その後はしばらく涙が止まらなかった。




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