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動画生成AI『Runway Gen-2』でつくるショートムービー


概要

前回記事で、動画生成AI『Runway Gen-2 (Text to Video)』を使った広告PR風動画の制作実験についてまとめました。Runwayはまだ発展途上のサービスであり、意図通りの絵やカットを作ることは簡単ではありません。しかし、手軽に動画づくりを楽しんだり、将来的な制作フローを味わうという意味では、とても期待のできるツールです。

今回の実験作例は、ストーリーのあるショートムービー。「特定のキャラクターを固定して出力できないRunwayで物語を作ることができるか?」が実験テーマです。

制作事例

昔からある定型的なストーリーを現代的なモチーフで語りなおし、2分程度の映像でまとめる…という制作テーマを設定。今回は、禅をテーマにした短編ストーリー作品を作ってみることにしました。コンセプトと編集のみ人間の手で行い、プロットやナレーションはChatGPTに考えてもらっています。

https://youtu.be/StkTdGXdEDM

ストーリー

スマホが不可欠となった現代社会。主人公はスマートフォンの便利さと楽しさに浸るようになり、依存していきます。自分を見失うようになった主人公でしたが、ある日悟りの教えと出会い、技術と自分の内面や生活とのバランスを見つけられるようになりました。幸せに生きる術を見つけた主人公は、社会に広く自分の術を教えていくようになります。

古くから、仏教では悟りをモチーフにした物語が時代に合わせて作られてきました。こうした禅の悟りに至るまでの定型的な物語を、現代のモチーフをもとに再解釈する…というのがストーリーコンセプトです。

構成はChatGPTが担当。指示は「禅の悟りに至るストーリーを現代のモチーフを使って考えてください」といったシンプルなものでしたが、ChatGPTの再解釈の仕方と構成は、なかなか上手いなと思いました。AI自体はまだ様々な課題もありますが、こういったアイデアの補佐をしてもらう時にはとても有用だと感じます。

テイスト

前述した通り、Runwayでは特定のキャラクターを固定して出力することができないため、抽象的なグラフィックテイストにすることで、それらしい雰囲気に仕上げることにしました。厳密には違う顔や人物になっていしまっていますが、なんとなくストーリーを追うには問題なく見れると思います。

将来的には、キャラクターの固定もできるようになっていくことが予想され、そうなれば更に高度な作品作りができるようになりそうです。一方、現時点ではAIの独特なテイストを楽しみながら、こういった抽象キャラで遊んでみるのも面白いかもしれません。

利用ツール

Runway のほか様々なAIツールを活用しています。

ナレーション原稿:Chat GPT
ナレーション音声:VOICEVOX
BGM:MusicGen
アップコンバート:Topaz Video AI
編集:Davinci resolve

Runwayとストーリー制作の可能性

キャラクターの固定ができないと、意図して精度の高いストーリーを作るのはなかなか難しく、現時点では限界を感じます。しかしながら、動画をこれだけ手軽に作れるという感動は創作意欲を刺激するものがあり、未来を感じさせることは間違いありません。

将来的にツールが発展していけば、ストーリー構想はあるものの自分では動画を作れなかった人や、制作労力に負けて創作を続けられなかった人たちが、次々に作品を発表するようになるかもしれません。また、小学生くらいの子どもたちが超高度な作品を作り上げ、子どもたち向けの動画を自分たちで作るようになる…なんてこともあるかもしれません。これは、今は埋もれてしまっている隠れた名作品が次々に世に出ること、動画カルチャーに大きな変化を起こす可能性を秘めていることを意味しています。

こうした未来が果たしてやってくるのか。やってくるのであれば、それはいつなのか。Runwayをはじめ、動画生成AIの動向やアップデートを引き続き手を動かしながら追っていきたいと思います。

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