[プチ読感]表現することの第一歩

「新版 考える技術・書く技術」を読んで

前回の感想文でも述べたように、私は自分の表現力に自信がありません。
その勉強の一環として、この本を手に取りました。

現在、どんな仕事においても「表現力」とそれに伴う「思考力」が求められる時代です。
私自身も仕事をするうえで、年々高いものを求められるように感じます。
しかし、それに応えられる実力が未だ身についておらず、焦りを感じる日々です。

今回は本の内容に細かく言及することはやめ、本書を通じて学んだ「考える方法」をヒントに、自身に不足しているものを見つめ直し、現状を理想へ近づけるために必要なことを考えた試行錯誤を書き留めました。
そして、本書内の「書くテクニック」に出来るだけ沿う形で記述していくつもりです。

“自分に必要なこと”を検討するうえで
上記(導入部)でも少し触れたように、今回の本論(主張)は「表現力を高めるために今後自分に必要なこと(実践したいこと)」にしよう、と決めました。
つまり、問題定義プロセスの「連鎖分析」(第8章参照)における、“望ましくない状態(現状)”から“望ましい状態(理想)”への橋渡し箇所について言及することになります。
そのためにまず、“望ましくない状態(現状)”と“望ましい状態(理想)”を自分の中で正確に理解する必要があります。


伝えるべきことが理解できていない現状~問題の把握
これは、書くことに限らず話すことについても同様です。

例えば、
 仕事で契約の要否を検討する場において、周辺情報ばかり説明してしまい結論を出すのに時間をかけてしまう。
 自分が講師となって後輩に授業をする際に、根幹がわからない課題を紹介してしまう。
 旦那さんにやってもらいたいことが一度の説明で理解してもらえない。
など、自身の失敗例を思い返すと、きりがありません。

この時、受け手は私が表現していることを、理解して納得することができていなかったと思います。

このような失敗は、内容を整理して伝えることができていなかったために起きてしまいました。
では、なぜ内容を整理できていなかったのか。
それは、自分自身で“本当に伝えるべき内容=本題”を正確に理解できていなかったためでしょう。
自分でも理解できていない“本題”を、他人が理解して納得してくれるわけがありません。

私は「早く結果を出したい」「言葉たくみに伝えたい」という思いが強く、本題を正確に捉える作業を怠っていたのです。
その時目に見えている状況や知り得た情報を、言葉や文字に置き換えることばかりに気を取られ、それらを深堀して「相手が知りたい情報は何か」「今、何を伝えるべきか」という本題を明確にすることまで考えが及んでいませんでした。

つまり、本書で述べられている
・主題を明らかにする
・問題を定義する
・論理的順序を意識する
という作業をしていなかったのです。


相手が理解して納得ができる表現をする~理想の整理

理想的な状態は、自分が表現した内容を受け手が理解して伝えたいことに対して納得してもらえる状態です。
そのためには、受け手が積極的に内容を受け入れる気持ちになる必要があります。

人はどのような内容であれば、積極的に話を聞く・読むことをしたいと思うのでしょうか。
ここまで読んできた2冊を参考に、以下のようなことではないかと思います。
- 興味がある
これは大前提です。
新しく有益な情報を知り得る内容や、自分が疑問に思っていたことの答えやヒントが得られる内容は人を引き付けることができるでしょう。
- 連続性がある
伝えたい内容は複数あるのは当たり前のことだと思います。
ただし、重要なポイントが点在していると、読んだり聞いたりしているうちに頭に残らず、何を理解すればいいのかわからなくなります。
それらが関連付けて並べられていることで、受け手が一連の情報として漏れなく理解することができるのではないでしょうか。
- 本筋ではない疑問が生じない
難しい表現や書き手しか知らない情報が当然のように出てくると、その時点で受け手は引っ掛かり、本来伝えたい内容を理解してもらうまで行きつかないことになります。
細かいことを言えば誤字脱字も含め、そのような表現がない方が、受け手はスムーズに本題まで到達することができるでしょう。

興味をもたせるような主題にする~解決策の検討①
受け手が興味を持つような主題にするためには、どのようなことを意識する必要があるのでしょうか。
まず、自分が興味を持つことが必要だと思います。
興味を持って伝えたい課題と向き合い、正確に理解して「主題」として受け手に伝えるべき部分を見つける作業を怠らないことです。

具体的には、以下のような作業イメージです。
① 対象となる題材に関係する情報をしっかり調査して並べる
② すべてを表現するのではなく、自分の中で要否を考えて取捨選択をする
③ 必要だと感じたものに対して、必要な理由を考える
④ そのうえで、さらに取捨選択の作業を行う

結果的に主題として伝えるべき内容が複数あることは問題ないと思います。
ただ、内容同士に矛盾が存在場合や、明らかに同軸で語れないものは整理して提示した方が受け手の理解する項目が少なく済み、受け入れやすいものになるのではないでしょうか。
どうしても、矛盾や同軸でない内容を伝えなくてはならない場合は、別の話(新しい題材)として表現する方が親切でしょう。

伝える順序を意識する~解決策の検討②
最終的に残った“伝える必要がある内容”について、受け手の頭にすべてインプットさせるための作業が必要になります。

先に述べたように、主題の中の項目は複数あったとしても無関係なもの同士ではないのです。
それらがどのように関係しているかを考えたうえで、受け手が理解するために最も効率の良い表現・思考させる順序を検討しなくてはなりません。
例えば、因果関係でつながっていたら時系列順、重要度が異なる場合は優先順、構造的な繋がりがある場合は構造順といったところでしょうか。

表現されたものの順序に違和感がなければ、受け手の頭には伝えたい内容がすんなりと入っていくと考えています。

イメージが浮かぶ表現をする~解決策の検討③
本書で頭にイメージが浮かぶ内容は記憶に留まりやすい、とありました。
頭でイメージを浮かばせるためには、“表現されている言葉がわかる”必要があります。

ただ単に優しい表現を心掛ければいい、というわけではないでしょう。
受け手が知っている言葉に対して解説を加え、冗長な表現になってしまうのもいけませんし、受け手が知っていて当然だと思い込み専門用語を多用するのも不親切だと思います。

第一に、前回の読書感想文でも少し触れましたが、「受け手は誰なのか」を意識することが重要になります。
少しでも複雑な情報や言葉を表現内に盛り込む際には、受け手を想像して、補足が必要か否かを判断する必要があるでしょう。
また、表現する言葉に対して自分が正しい知識を持っていることも大切です。
受け手にイメージを持たせるために、自分自身は鮮明なイメージを持っている必要があります。
それは、全ての言葉を正しく捉え、如何様にも使いこなせる状態です。
それによって、受け手に合わせた表現を作り出すことができると思います。

受け手が表現の一つ一つに対して疑問を持たないことが、イメージを浮かばせるために必要なことだと考えています。



私は昔から書くことが嫌いではありませんでした。むしろ、好きな方だと思います。
だからこそ、中途半端にできている気分になって、表現することに対して誠実に向き合っていませんでした。
今回書いた文章が、学習したことを完璧に反映できているとは思いません。
むしろ、ここを始まりとして今後さらに勉強や練習を重ねる必要があると考えています。

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