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病棟実習話

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病棟実習で起こったあれこれをまとめています
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#酒

ドヤ顔で診断ごっこをしていたあの頃の話

世間ではコロナウイルスが猛威を振るっていますね。 みなさんいかがお過ごしですか? 学生時代の日記を見ていたら、ちょうど9年前の今日、同級生Aに、 『急性気管支炎』 と診断されていました。 その時は医学生2年目後期で、初めての内科実習真っ盛り。 問診したり、診察したり、初めて実際の患者に触れて、病気の知識がついていくのが嬉しくて、みんな鼻息が荒かった時期でした。 グループのメンバーが体調を崩すと、みんな嬉々として自分の診断を披露したものです。 あの日も実習中にゴホゴホ

【続】消化器内科病棟でもブルガリアンジョークはジョークじゃなかった

いわゆるお酒にまつわるブルガリア人のジョークですね。 ブルガリアには旧ソ連時代の建物を取り壊す資金がなく、いたるところに廃墟や廃工場があります。 廃墟化された酒造工場に、エタノールが放置されている事もあるようで、こっそり忍び込んではエタノールを飲んで、アルコール依存症になる人が後を絶たないなんて話もあるほど。 消化器内科という分野は、臓器として細かく分けると、食道、胃、小腸、肝臓、胆嚢、大腸と、幅広い臓器に関する疾患を診る診療科です。 それなのに、うちの病院に入院して

ブルガリアでは溺れた人は助けない

酒は薬 ブルガリアでは酒は薬であることを何度か紹介してきました。 アルコール事情 WHOによると ブルガリア人の2.3%がアルコール依存症で 6.9%がアルコール使用障害のようです。 また State of Health in the EU Bulgaria Country Health Profile 2017には ブルガリアにおける 2014年の1人当たりの飲酒量は12L以上で EU平均のなんと6倍と報じられています。 這い上がれない医療システム ブルガリア

いよいよブルガリアで酒は薬なのではないかと思い始めた

日本で医師として働き始めてそれなりの年月が経って、改めてもう一度ブルガリアの医療を見てみたいと思うようになっています。 日本と比較してブルガリアの医療、ことプレヴェンの医療は遅れていたと思います。EU国内で最貧国の、しかも田舎の大学病院だから当然と言えば当然だったのかもしれません。 自分の過去の日記を見返していると、プレヴェンでは何かがなければ他の何かで補っていたり、医療資源が限られる中で、工夫を凝らして治療をしていたんだなと改めて気づかされます。 ある日、私とグループメ