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CEOが知るべきカスタマーサポート運営の基本原則

「スタートアップの"オペレーター"に届けるCSノウハウBook」の3回目の記事です。1回目は、オペレーターの職種について、2回目は、会社で愛されるオペレーターの実務者としてのノウハウ、そして今回は、CEOの方を対象に、オペレーターの職務の一つであるカスタマーサポート運営の基本原則についてお話しします。

1. オペレーターとは何ですか?

「カスタマーサポートのベラと申します」と自己紹介をすると、大抵、カスタマーサポート本当に大変そうですね...というリアクションを受けました。

自らの職業を「オペレーター」と呼んでいるベラさんですが、一般的には「カスタマーサポート」や「お客様対応チーム」などと呼ばれています。しかし、カスタマーサポートのメンバーが実施にやっている仕事は、顧客応対だけではないのです。非常に多様な業務内容なのにも関わらず、一部分しか知らないのが悔しかったと言います。

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私はブランディングとは、誰かが私を表現する前に、自分が自分らしさを表現することだと思っています。そして、自らをプロダクトやサービスを運営する人として「オペレーター」と名乗り始めました。カスタマーサポートチームも組織名の改編をし、「サービス運営チーム」と名付けました。自分の多様な業務を定義したいという目的だけでなく、カスタマーサポートのメンバーも「サービス運営チーム」と名付けてあるとより多くの機会を得られると思ったそうです。

「オペレーター」と名乗り始めてからは、「お客様対応ってストレス溜まりそうですね」とは言われなくなったそうです。代わりに「どんな業務をされているんですか?」と聞かれます。「開発やデザイン以外は全てやります!」と答えているそうです。

カスタマーサポート職の人たちは、組織にとって重要な多様な業務をやっているんです。オペレーターを名乗りながら、カスタマーサポートを盛り上げたい想いで活動をされています。

2. 成長中のスタートアップほどオペレーターが重要です

スタートアップは売上を向上し、成長しなくてはなりません。単なる成長しているという事実だけでは足りなく、Jカーブを描かなくてはなりません。組織にとって、特にオペレーターの役割が重要な時期が、まさにJカーブを描いている時なのです。

Jカーブで成長している時期に、カスタマーサポートが効率化されたり、問題の共有プロセスが整備されていなくては、大きな問題に繋がります。Jカーブを描くためには、基礎づくりができている必要があります。この重要性を見過ごすと、成長途中に問題が起きて、成長を止めてしまいます。

アパレルD2CブランドやECなど、成長途中で入荷が追いつかず、お客様と約束した日にちまでに届けらなかったが、CSが整備されていなかったためお客様とのやりとりが粗末になり怒ったお客様が増えてSNS炎上なんて自体も、成長中にこそ起きるのです。

3. CEOはいつまで顧客の声を確認するべきでしょう?

時間と体力がゆるす限り、いつまでも確認しなくてはなりません

サービスやプロダクトのターゲット顧客や既存顧客に対するインサイトをどれくらい持っているかによって、できるアクションや判断は全く異なります。

問い合わせだけでなく、SNSなどのサービスに対するお客様の反応をふとした瞬間に確認する癖は、維持するべきです。

4. カスタマーサポートは外注しても良いのでしょうか?

多くのスタートアップのかたから受ける質問です。良いともダメとも断言できませんが、組織のサイズや、カスタマーサポートがどの程度整備されているかによって判断すべきです。

目安として、組織内の問題の報告プロセスや、カスタマーサポートのポリシーが60~70%維持できるのであれば、外注しても大丈夫です。

ただ、念頭におくべき点があります。
カスタマーサポートが60~70%整備されているのであれば、外注した時の顧客満足度も60~70%に留まるという点です。

スタートアップはリソースが足りないなかでの勝負です。60~70%の顧客満足度でも良いと判断すれば、30~40%をビジネスに使うのも悪くありません。

もう一つ、念頭におくべき点は、
カスタマーサポートを任せる時には、大切な顧客をよろしく頼みます。私たちはビジネスをの成長に集中します!という心持ちでの外注するべきなのであり、

間違っても、カスタマーサポートは面倒なのでお金払うからやっておいてという態度では、外注された側も顧客を面倒な存在だと思ってしまいます。

5. カスタマーサポートがすぐに退職してしまいます

CSチームリードがよく退職してしまう場合、その人にどんな期待値を持っていたのかを振り返る必要があります。

大企業もですが特にスタートアップでは、

「問い合わせに答えるカスタマーサポートチーム」

というよりは、

「問い合わせを減らすカスタマーサクセスチーム」

として、より大きな期待値やモチベーションアップ、権限を与えるのをおすすめします。カスタマーサクセスの一環としてのカスタマーサポートチームの役割は、顧客フィードバックをプロダクトやサービスに反映して、よりアップグレードできるためだからです。加えて、開発チームだけでなく、マーケティングチームなどとのも連携して、より顧客に刺さるメッセージを見つけるのにも役立つ顧客の声を提供することもできます。

また、カスタマーサポートチームの待遇やフィードバックにも彼らの成果を反映するべきです。カスタマーサポートや役員も日常的に時間を投資しなくてはなりません。さもないと、いざJカーブを描いて成長しようという段階で、優秀なオペレーターが退職してしまうのです。

6. カスタマーサクセスの一環としてのカスタマーサポートに合ったカルチャーとは?

カスタマーサポートは会社において唯一、顧客と直接かつ常時コミュニケーションをし、フィードバックを聞ける部署です。そして、プロダクトやサービスに置ける多くの問題を把握して、内部に伝える役割をしています。

そのため、関係部署のそれぞれの役割や目標、モチベーションを理解して、それを調整できるまさにオーケストレーションができるカルチャーこそカスタマーサクセスチームが持つべき文化です。

カスタマーサポートチームを遠くへ追いやって顧客対応をさせるのはご法度なのです。特にスタートアップにおけるマニュアルとは、あってないようなものです。日常的に素早くサービスがアップデートされる環境においては、日常の細かなコミュニケーション力が問われます。そのため、他部署との"雑談"にすら積極的になり、社内の関係者を把握して、適切なタイミングに適切なコミュニケーションを素早く取れる人やカルチャーが求められています。

カスタマーサポートチームの側で、開発チームが何日も残業しながら新しい機能を開発チームをするのを見ていたとします。顧客からバグ報告が来た時に誰が頭ごなしに開発者を攻めることができるでしょうか。特に成長する時にこそ、ワンチームであることを組織全体が認識できるカルチャーが必要です。

7. カスタマーサポートでもっとも重要なこと

スタートアップのカスタマーサポートにとってもっとも重要なことは、
可視性の確保です。予算をマーケティングに投資するか、開発なのかなどの判断のさいに、カスタマーサポートチームから整理された生のお客様の声を届けて、判断の材料が与えられることがとても重要なのです。

では、可視性を確保するために、もっとも重要なことは何でしょう?

統計指標です。

今、サービスにおいてもっとも発生件数の多い問題は何で、何を優先的に改善しなくてはならないかの判断材料を素早く共有できるプロセスを早めに整備すべきです。問題の把握や重要度の把握に、時間がかかり、代表の対応が遅れて、対応時にはすでに手遅れという事態が頻繁に起こります。

ただ、こうした指標を集める以前にもっと大切なことがあります。

優秀な"オペレーター"がいるということです

問題が発生した時に、夜11時でも12時でも、忙しい代表を引き止めて、

問題があります!心配なことがあります!

と伝えられるオペレーターがいることがもっとも重要なことなのです。


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