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日記:6月16日(木)「着うたの記憶」

前にテレビで国語辞典の特集をしていたのを見ていたら、改訂に伴いその国語辞典では削除されてしまった言葉の中に「着うた」があって震えてしまった。確かにサービスが終了して何年も経つが、辞書にまで消えるとなるといよいよ過去の物になっていく。

自分は小学生の時から携帯を持っていた生意気クソガキで、着うたもダウンロードしていたが、電話をかけてくる人がいなかったので着うたがかかる事は無かったという悲しい記憶がある。そもそも普段マナーモードにしないか?
ちなみに持ったばかりの頃はゆずとかミスチルとか、皆が知っているような曲にしていたが、中学生になってからBUMP OF CHICKENかマキシマム ザ ホルモンになっていた。まあかかってこないから意味ないんだけど・・・。
高校生になると着うたフルに対応した機種に変えたので、1曲だけ取ってみようとあれこれ検討した結果、初めて取った着うたフルは「恋スルVOC@LOID」になった。オタクやないかい!そして高校生になっても電話をかけてくる人は無く・・・。そもそも普段マナーモードにするって。


自分は誰からも電話がかかってこなかったけど、父親の携帯にはよく電話がかかっていた。
父親は大塚愛の「さくらんぼ」を着うたにしていて、夜に酔っぱらってリビングで寝ているところに携帯から「笑顔咲く~♪」とさくらんぼがかかると飛び起きて電話を取っていた。それを見て家族みんなで笑うというのが我が家ではよくある光景だった。
何度もこういう事があったので、父親はさくらんぼが流れると反射で起きるようになってしまい、音楽番組を見ている時にさくらんぼが流れると電話だと勘違いして飛び起きるという事が何度もあった。そしてそのたびに家族で笑うという、我が家ではもはや吉本新喜劇ばりの鉄板ネタになっていた。

その後、父親は着うたを大塚愛から倖田來未に変えたのだが、キューティーハニーくらいしか知らない自分には倖田來未の何の曲かが分からなかったし、今思い返してもサビのメロディが浮かぶだけで曲名が出てこない。その曲は何かのタイアップとかでテレビで流れるような一般的に知られている曲ではなかったと思う。恐らく、さくらんぼくらい有名な曲だとテレビで流れる頻度が多く、勘違いで飛び起きてしまう事も多くなるから(実際多かった)それを防止するための父親なりの対策だったのだろう。
それから飛び起き事故は無くなりつつあった・・・と思いきや、1回だけあった。1回だけテレビで流れて父親が勘違いして飛び起きるという事があり、家族みんなで「この曲が流れるなんて珍しいね」と話したのを今でも覚えている。

着うたの時代も終わってしまったが、自分は今後もさくらんぼと倖田來未の曲を聴くたびに着うたと父親が飛び起きる姿を思い出すだろう。

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