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貴船神社と丹生川上神社と謎の島
前回はこちら
前回の続きからです!
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丹生川上神社下社に飾られている島の絵。
山々に囲まれた奈良の地に何故島が関係するのでしょうか。
その謎を解明するためにまずは貴船神社について紹介します。
貴船神社とは
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貴船神社(きふねじんじゃ)は、京都市左京区鞍馬貴船町にある神社。式内社(名神大社)、二十二社(下八社)の一社。旧社格は官幣中社で、現在は神社本庁の別表神社。
全国に二千社を数える水神の総本宮である。地域名の貴船「きぶね」とは違い、水神であることから濁らず「きふね」という。
貴船神社は、貴船山と鞍馬山の山峡にあります。
社前には賀茂川の上流に位置する貴船川が流れていて京の市中を潤す鴨川の源流です。
つまり京都の主要な川全ての源流ということですね。
貴船神社も丹生川上神社と同様、
主祭神は高龗神
奥宮には闇龗神(貴船神社では高龗神と同一とされています。)
が祀られています。
古くから祈雨・止雨の神として信仰され、こちらも黒馬・白馬奉納からの絵馬が誕生した逸話が有名です。
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馬の石像が可愛い
貴船神社の魅力や観光スポットを語り尽くすとキリがないので、ぜひ足を運んで現地で楽しんでいただきたいです!
では本題に入ります。
貴船神社と丹生川上神社の関係
貴船神社と丹生川上神社の御祭神や信仰などの共通点についてお話ししてきました。
しかしこの二つの神社には更に深い関係があったのです。
75段の階段で有名な丹生川上神社・下社の拝殿は貴船神社を真っ直ぐ見ているように作られています。
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地図を見ても分かる通り、
階段の先は、古くからの祭祀場であったと同時に、貴船神社へ繋がる役割もあったのです。
更に地図を引いてみます。
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丹生川上神社と貴船神社の延長線上は若狭湾へと続き、ある島に辿り着きます。
御神島(おんがみしま)
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御神島(おんがみじま)は、福井県三方上中郡若狭町に存在する島である。
常神半島から西方の沖約500m の日本海上にある無人島で、福井県最大の島。大きさは、南北約1km、周囲約3キロメートル、面積約0.4km2、標高約195m。
舒明2年(629年)、天皇の勅により島内に、常神大明神(つねかみだいみょうじん)を奉った神社が建立され、以来、地元住民より崇拝されている。
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丹生川上神社下社の拝殿上に飾られている島の絵とそっくりです。
この御神島の周囲の地域も、常神、神子、御神、竜宮…
と、意味深な地名が多いのが興味深いです。
また、若狭の地には伝説も多く、
人魚の肉を食べて800歳まで生きた八百比丘尼(やおびくに)のお話や、
若狭彦と若狭姫のお話もあります。
若狭彦は古事記に登場する山幸彦であり、若狭姫は豊玉姫とされていて、浦島太郎のモデルになったお話として有名です。
若狭の地名の由来も住み着いた男女の見た目が「若い」ことから名付けられたという伝承も残っています。まさに八百比丘尼伝説や人魚の伝説、竜宮の伝説が色濃く残る地です。
『風土記』によると、男女2人が海郷より来たが、その年齢を知る者はなく、しかし不老で少年のようであったので、国名を「和加左」と名付けた。また、この男女は夫妻として上下の神であるとも記してある。
「和加左」は「若狭」と同じ語で、上下というのは小浜の遠敷の神々、若狭比古・若狭比売として祀られている。
御神島の隠された神様
そんな伝説の多い若狭の地にある常神(つねかみ)半島の名前の由来は、
①神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓出兵の際にこの御神島で暴風雨を避けたため
② 半島の西にある御神島には、かつて神が住んでいて、様々な厄災から人々を守ってきたため
というのが定説になっています。
常神半島にある「常神社」の御祭神も神功皇后となっていますが、神社の由緒より、
この社の神は舒明天皇二年二月三日、坤(西南)方向の海島に降りてこられたのでこの嶼を御神島(おんかみじま)といったといわれており、この島にはいつも神がいて、外敵を防いだり、土地を守り人民の利益を図ったことが天皇の耳に達し、勅使が来て社頭を造り、「常神大明神」と言って崇敬したのがこの神社のはじめであると伝えられている。
とあるように、あえて神功皇后と言わずに「常神大明神(つねかみだいみょうじん)」と記述してあります。
更にこの天皇とは第34代の舒明(じょめい)天皇、
諡(おくりな)では息長足日広額天皇(おきながたらしひひろぬかのすめらみこと)のことを指します。
そして神功皇后の諡は息長足姫尊(おきながたらしひめ)。
つまり、神功皇后の血族である舒明天皇が
常神大明神=神功皇后と定めたことが分かります。
これは自分の血族である神功皇后を祀ることで権威を主張するための、良くある手の一つだったのではないでしょうか。
恐らく住吉大社の由緒のように、神功皇后は三韓征伐の旅路を祈願する為にこの御神島に留まり、島に住まう海を司る神に祈りを捧げていた。
その逸話を利用して、舒明天皇が御神島の神と神功皇后を習合してしまったのではないかと推察できます。
さらに常神半島にあるの神子(みこ)神社に祀られている御祭神の由緒書きでは
浜大神
この地の古老の、口伝によれば大昔(年代不詳)から神子(御賀尾)の、浜神社に鎮座され海上の守護神として御神徳を受けた者、少なからずいた。
とあります。
この浜大神(はまのおおかみ)という神はどの神を指しているのか不明であり、「海上の守護神」と記載されています。
しかし由緒書きを見る限り、「常神大明神」と「浜大神」は守護神・地域の神であったという共通点から、同一の存在であると予測でき、上記の「御神島に住まう神」の存在をさらに確信付けるものとなります。
さらに、常神半島にある神子という地名の由来には
神子という集落の由来は、御賀尾湾の「みかお」や、常神集落と共に、神にまつわる伝統や地名が多いこと、常神社に対して、神主の出である大音家から馬1頭をはじめ、高額の寄進をしていることなど、神と強く結び付いた歴史から、神の子の呼び名が最もふさわしいものとして付けられたように思われる。
とある通り、この地にも馬を奉納する儀礼があったことが分かります。
馬を奉納するという儀礼は全国各地で見られますが、数々の丹生川上神社・貴船神社と、御神島周囲の共通点から、恐らくルーツは同じであったのではないかと考えられます。
まとめ
以上のことから、
・丹生川上神社下社に御神島らしき絵が飾られている
・丹生川上神社下社拝殿の延長線上には貴船神社が存在し、更に延長線上には御神島が存在する
・御神島で祀られていた「常神大明神」は神功皇后ではない可能性がある
・丹生川上神社や貴船神社と同様、御神島でも馬を奉納する儀礼が行われていた
ということが分かりました。
このことから御神島に祀られている真の神様の正体は、
丹生川上神社や貴船神社で祀られている「高龗神」と同一であると考えるのが自然ではないでしょうか。
丹生川上神社・下社は、貴船神社を超えて若狭の御神島を真の御神体として崇めているのかもしれない…
というお話でした。
御神島
おんがみじま
おかみしま
おかみのかみ
龗神
(°▽°)
おまけ
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