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深夜航空「香港」1日目〜番外編〜

番外編なんて名前をつけて見たけど、こっちを今回の香港行きの本筋としても良いくらいの内容でもあるというちょっとした矛盾を抱えながら書いていこうと思う。

仕事のつながりで、香港で開かれVINEXPO2024というアジア最大級のワイン展示会に招待されたのが今回の香港渡航のきっかけだった。もちろん会社の出張にしようと相談してかけたけれど予算の都合上そんな余裕もないな…と半ば諦め。一方、香港という地理的近さ故に金額的にもそんなに大きくならないだろうという見立てと、プライベートの方が動きやすいということと、コロナも明けたしひさしぶりに自由気ままに海外行きたいなと色々考えが巡り、結果として旅先でちょこっと仕事の人に会う、みたいなプランが出来上がったのであった。

会場はホテルからすぐ近くの展示場。

日本で見るワインから見たことのないワインまで、色々と見てきた。全部は回りきれないほど大きくて、正直ワインばっかり飲んでたから最後の方はコーラ飲みてぇ!甘ったるい清涼飲料水をくれ!って口が悲鳴を上げていた。それでもこういう貴重な機会に招待してもらえる事は嬉しいし個人的な経験としてとても重要でもある。特に知り合いのつてで新しい人と知り合えるのは嬉しい。ワインという共通言語があるからこそのこの繋がりを大切にしていきたいと感じた。

そして今回最大の目的は、展示会と同時に招待いただいた晩餐会。Commandaire du Bontempsという、フランスのメドック地区、グラーヴ地区、ソーテルヌ地区、バルサック地区といういずれも世界最高級のワインを作る地域のプロモーション活動を行う団体の晩餐会である。服装も男性はブラックタイ(タキシード)、女性はドレスとかなり格式の高いものだ。そんなわけで自分もタキシードに身を包みいざ会場へ。

まずは7時〜のカクテルパーティ。グラスワインとフィンガーフードで談笑タイム。1時間ほど経ってからいよいよ会場へ。

晩餐会は8時開始だったけれどセレモニーやら何かの授賞式やら任命式やらで焦らされ、結局食事は9時過ぎにスタート。海外のディナーってこんな感じなんだと勉強になる。

コースとワインの説明。まじかまじまじかまじかまじかおいちょっと待てマジで?ってくらいドキドキワクワク。どのワインも決して自分ではかうことのできないものばかり…

ドメーヌドシュヴァリエ2016。セパージュはソーヴィニョンブラン70%セミヨン30%。よく冷えたうちはソーヴィニョンブラン特有の爽やかさが心地よかったけど、セミヨンの濃厚な味わいがはっきりと感じられた。果実味も普段飲むソーヴィニョンブランの倍くらいある気がした。


お次はシャトーディッサン2015。この段階でもう流石!って感じ。ワイン単体でももちろん美味しかったのだけれど、マリアージュされた和牛ローストとの相性がそれ以上ないほど完璧だった。ワインと和牛がお互いの良いところを引き出し合いながら、お互いを補完し合い、決して戦おうとせず、口の中で協調を探っている感じ。そしてワインに気を取られ過ぎていたけど、前菜でキャビア、メインでフォアグラとトリュフを食べている…世界三大珍味を1回の食事で頂けるって自分前世で徳積みすぎじゃないか?人命救ってるでしょ多分。前世ありがとう。

ランシュバージュ2010。心の中では「ランシュバーーーーーーーーーージュ!!!!!」ってくらい叫んでた。多分前前世でもありえないくらいの徳積んだのだろう。いつもワインショップで眺めて終わるやつが目の前のグラスの中に…と思っていたのだけれど味がまだ若い気がした。そんな事を同じテーブルに座っている、今回自分を招待してくれたフランス人でワインの造り手に自分の感想を伝えて見たら全く同じ事を思っていたらしい(よっしゃあ)。もう少し時間が経ったら美味しくなるかなと思うのだけれどもう22時。ディナーはまだまだこれから。

そうこうしているうちについに…

(心の中「ラトゥーーーーーーーーーーール!!!!!!!!」)

シャトーラトゥール2000。夢にまで見たボルドー5大シャトーの1つ。もうこのレベルまで来るとワインの味がどうこうとかではなくもはや崇拝、尊敬、仁礼二拍手一例。生きてて良かったと思った。肝心のワインは先ほどのランシュバージュと同じくまだ味が開いていないかな、というのが正直な感想。ただ香りが今まで嗅いだどんなワインよりも美しくて、正直口に含まなくても香りだけでしばらく楽しめてしまう。

そしてこのタイミングでランシュバージュ。その前のディッサンに比べると、良い意味でパンチが少ない。エレガントさが増した味わいで、ややエスニックなスパイスのニュアンスを感じる。このレベルまで来ると、ワインってタンニン、酸、果実味など総合力の高い上でほんの少しの個性が最大の特徴になっているような感想を得た。

テンションが上がりまくっているのでここで一旦振り返りの写真タイム。はしたない話で大変恐縮なのだけれど、この写真の中の総額はとんでもない金額になっておる。もはや前前前世まで遡って徳を積んだ気しかしない。国でも救ったのかね。

ラトゥール。一番最初の感想は「エキゾチック」。もはや言語化できないレベルにまで達しているのだけれど、ブドウがどうとか味わいがどうとかというより、纏っている雰囲気が格別だという事をとても強く実感した。それはもちろんラトゥールという名前がある故の存在感でもあるし、仮にラベルの見えない形で提起されていても感じるものだと思った。

マリアージュは36ヶ月のコンテ、ブリー、イチジク。コンテは自分にはちょっと塩気が強すぎたけど、ブリーはとっても美味しくラトゥールとの相性が良かった気がする。

シャトーディケム2014。普段このタイプのワインは飲まないので比較対象がないままに飲んでしまったのが残念。イタリアンでいうグラッパ的な存在なのかな。ワインにおいてはあまり甘口のものは好まないのだけれど、デザートとのマリアージュなら全然ありだなと感じた。めっちゃ贅沢だけどちょっだけデザートに垂らしたりかけたりしてみたい気もした。

時間はあっという間に日を越していたが、長いなんて一瞬たりとも感じないディナーだった。良いワインを作るには時間がかかる。そしてそれを楽しむためにも然るべき時間は必要。稚拙ではあるけれどそんな事を学ぶことができた、今までの人生を振り返った中でも比べようがないくらい最高の体験だった。ありがとうございました。

ワイン最高!

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