梅の湯(調布)
ベストオブベスト銭湯である。
これまで国内100カ所以上の公衆浴場を利用してきた経験から言って、ここはベストオブベストである。
調布の奥座敷、奥の院と言われるだけあって、アクセスはやや不便。住宅地の中にあり、調布駅または三鷹駅からバス、または自転車となろう。
しかし、ここは、そこまでして行く甲斐ののある銭湯だ。ここは良い。
何と言っても、両足両手を大の字に広げてもまだ余裕のある大きな檜風呂。檜の香り、木の温もり、優しい触り心地。1日の疲れをじんわり吸い取ってくれる。
浴槽のバリエーションも豊富で楽しませてもらった。
まずは寝風呂。ほぼ180度で横になれるし、膝下に盛り上がりがあるので、いい感じに膝を曲げられて足裏と尻でしっかり体を支えられる。この手の寝風呂自体はそれほど珍しくはないのだが、ここの寝風呂が素晴らしいのは、ジェット噴射の勢いが、ほどほどに緩いことである。強いのが好みという人もいるだろうが、強いと体が浮遊してしまって、せっかくの寝風呂なのに落ち着けないのである。ここの寝風呂は、ジェットが緩いので、しっかりと地に身体を預けて寝心地を楽しめるのが良い。
歩行ジェットバスというのは、ここで初めて出会った。水深120センチで一周3メートル位の円状の浴槽である。浴槽の底に足つぼのボツボツがあり、歩く度に足裏に刺激が走る。同時に肉体にはジェットバスが常時噴出されているものだから、下からも横からもマッサージが入り、非常に心地よい。
広い露天風呂も完備。湯船は岩風呂風で、中はモザイク調のタイル張りでおしゃれ。
最近の銭湯は露天と言っても、お空が申し訳程度にしか見えないところも少なくないが、ここの露天はその名に恥じず、しっかりとお空が見える。
外気浴ができるベンチスペースも3、4人がゆったり座れるほど確保されている。整う条件はよい。
また、充分な広さの水風呂が二ヶ所用意されているのも素晴らしい。サウナーの需要が大きいことが予測される。
そのサウナだが、緊急事態宣言で、都内すべての銭湯で中止となっているため、ここでも入れず。
このクオリティの銭湯であればきっと良質なサウナであることが予想される。残念ではあるが、再訪の楽しみにしておこう。
再訪して、サウナ初利用。プラス200円でサウナバックとバスタオルを貸してもらえる。
サウナ室の温度は十分、12分計と砂時計完備。
広さはひな壇三段で、10人以上入れるほどのスペース。日曜昼間は利用者も少なく、貸し切り状態。十分ゆったりできた。テレビも設置されている。
16時になるとチャンネルを大相撲に合わせに来られた。きっと地元客の需要なのだろう。
マッサージチェアは15分200円、良心的な価格であるが、旧型で性能は普通。
マッサージチェアは脱衣場にあり、そのすぐ近くに座り心地のよいソファが2脚あった。
休憩スペースもゆったりできる充分な広さがあった。
そうか、この銭湯は、すべてのスペースがとても広いのだ。だから、伸び伸びと色々な湯を楽しめて、快適さが増し増しになるのである。
公衆浴場なので、このクオリティの高さでも、お値段は均一の470円。檜風呂は+100円だけど、全然リーズナブル。
銭湯はどんどんどんどん減っているわけで、それでもまだ生き残っている銭湯は、やはりただものではない。生き残っている銭湯には、それだけの理由がある。