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【日刊ドローン情報 No.145】ミラテクドローンが高層構造物の外壁点検用係留装置「ラインドローンシステム」を展示

 ラインドローンシステムとは,ドローンの係留装置のことです。係留装置とは,ドローンがどこかに飛んで行ってしまわないように紐で固定するもの。
 1点係留と2点係留があり,1点係留のイメージは鎖につながれた犬のような感じで,紐が伸びる範囲で動けるものです。つまり紐を固定している箇所を中心に,紐の長さの半径の円の中は第三者は立入禁止にする必要があります。例えば,高さ50mの建物の外壁点検をする場合,半径50mの範囲を立入禁止にする必要があり,かなり困難です。よって,1点係留は低層階の建物の点検などに有効です。また,1点係留のメリットとしては,装置が簡易であること,係留装置の補助者が少なくてよいという点が挙げられます。
 2点係留は建物の屋上から釣り竿のような装置で紐を垂らして地上に固定し,その紐にドローンを通すことで前後左右の動きを制限するもので,第三者の立入を禁止する範囲も最小限となります。2022年4月の法改正により,2点係留であれば人口集中地区においても申請が不要となりました。高層建築物が密集する地域は電波環境が悪く,またドローンの電波はWi-Fiの電波と同じ周波数帯のため,混信によりノーコン(制御不能)となる可能性が高くなります。そのため,2点係留でしっかり固定しておくことが安全管理上重要になります。一方で,2点係留は屋上に係留装置を設置するスペースが必要であったり,屋上と地上に係留装置の補助者を配置する必要があったりと手間もかかります。よって,2点係留は100m級の高層ビルなどに有効です。
 建築基準法第12条には,特定建築物の維持保全(保守・点検や調査・劣化診断のこと)が定められており,定期調査を実施する必要があります。ドローンの普及により,調査方法として「無人航空機等」を利用した赤外調査も法律上認められていることから,今後ますますドローンによる外壁点検はニーズが増えると想定されます。
 建物周辺は,電波の問題や風,第三者などドローンを飛ばすうえで過酷な環境ですので,安全に作業を行うにはこのような装置が重要です。作業をする側もノーコンになって飛んで行ってしまう心配がないので,作業に集中できそうですね。


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