ラヴクラフトを思い出す

今日はH・P・ラヴクラフトの小説について考えていた。
特に理由はない。
外は寒くて雨が降っているのでホラー寄りの気分になったのかもしれない。
ラヴクラフトはホラーやSF好きには有名な小説家だ。
ここ数年の間にラヴクラフトの小説の漫画版や、クトゥルー神話を扱った作品を書店等で見かけるようになった。
ラヴクラフトについて知らない方は下記サイトが参考になるかもしれない。


ここ最近でブームになっているのかは不明だが、私がラヴクラフトの作品に出会ったのは今から25年以上前の大学時代であった。
小学生の頃からホラーや神秘的な話や作品が好きだった私は大学生になってもその興味を持ち続けていた。大学生になると時間が沢山あったので本屋などでホラー小説を探すこともあったのだが、なかなか自分の好きな作品が見つからなかった。
当時は「リング」などのホラー小説をよく見かけたのだが、私の興味には合わなかった。作品自体は好きで小説は読んだことはないが、映画がテレビで放送されていた時に初めて作品を観た。しかも深夜の放送でたまたま家で一人で観たので、めちゃくちゃ怖かった。ただ、私が探していた世界観とは違っていたので小説を購入するには至らなかった。
当時は自分の探している世界観についてうまく説明できなかったのだが、今では分かるようになった。私は超古代文明を連想させる世界観が好きなのであった。それは遥か昔の大陸にあった文明かもしれないし、地下世界かもしれない。もしくは人間が立ち入ることができない暗黒の深淵なる世界なのかもしれない。未知なる生物達、古代の神々、暗黒の内に潜んでいる悪魔たち。そういった未知なる生物と共に実際に存在したであろう(存在しているであろう)世界や超古代文明を想像させてくれる世界観が好きなのであった。
そう、それはまさしく【深淵なる世界へようこそ】と誘われている感覚なのだ。
当時、本屋で文庫本のラヴクラフト全集を試し読みした際に内容に引き込まれた。そしてそのまま購入した。
今では本は手放してしまったが、その世界観は覚えている。
私にとっては日本語訳も良かったのだと思う。今から考えると気軽に読みたい人にとっては少し読みにくい翻訳であったのかもしれないが、私はその重厚で荘厳な世界観を醸し出している日本語の文体は好きであった。
その文体はまるでゴシック建築のようなズッシリとした重みと古代遺跡を思わせる精巧さがあり、不気味な暗黒世界の妖気が肌の表面から侵入して来るようであった。
今では各作品自体の内容はほとんど忘れてしまったが、当時はラヴクラフトの作品を卒業論文にしようと考えていたくらいであった。
ちなみに大学の図書館を探してもラヴクラフトに関する本は見つからなかった。狂える詩人-アブドゥル・アルハザードによって書かれたとされる「ネクロノミコン」も探してみたのだが見つからなかった。
私の記憶では何年も前に何かのニュースで本当にネクロノミコンが発掘されたと読んだ記憶があるのだが、あれは本当だったのだろうか。
そして私は当時、ラヴクラフトの作品を読み始めた頃にある勘違いをしていた。それは、ラヴクラフトがイギリス出身だと思っていたのだ。しばらくしてアメリカ出身だと気づいた。なんとなく小説の世界観や雰囲気がイギリス的な感じがしたのだよね。ロンドンの霧を思わせるような薄暗い街の雰囲気や、古い建物や幽霊の世界などを連想したのも勘違いの原因かもしれない。
小説の中にはイギリスが舞台の話もあったのかなぁ。もう覚えていない。

そんな訳で今日は奇才であったラヴクラフトの話をしてみた。
神秘的で超古代的、なおかつ宇宙的で不気味な世界には魅了された。古代の邪悪な神々が登場する神話の世界が垣間見えるのも楽しい。だが、決して長居をしてはいけない世界。暗黒の淵に存在する世界。
そこは脅威でもあり怖い世界だが何かと惹きつけられる魅力を放っている。
今ではラヴクラフトの作品に対して当時ほどの興味は失ってしまったが、その小説で描かれる世界には、本当に実在しているのではないだろうかと思わせてくれる奇怪な世界が広がっているのだ。


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