死後探索 ブルース・モーエン ③

前回の中に注意書きで説明した付録Aの内容です。「私」とはブルース・モーエンのことです。

死後探索2 魂の救出

著者 ブルース・モーエン

訳者 塩﨑麻彩子(しおざき まさこ)

監訳者 坂本政道

【付録A】エドウィルソン博士による電磁気的重力理論

 エド・ウィルソン博士は、死後の世界に移った後、物質界で生きていた時に興味を持っていた事柄について、研究を開始した。私の三度目のライフライン・プログラムの際に、彼があれほど時間をかけて私とコミュニケーション手段を確立しようとしたのは、自分が発見したことを私に伝えるためでもあったのだ。彼の「電磁気的重力理論」は、私が興味を持つだろうと彼が考えたもののひとつだ。私は大学に入ったとき、物理の専攻だったので、彼の読みは正しかった。1993年の12月3日、私が夢を見ている状態のときに、彼はこの理論を私にダウンロードしてきた。その朝、目覚めたとき、私はエドがそばにいて話しかけているのを感じていた。ほかにふたりの人が、彼と一緒にいた。私の印象では、そのふたりは、エドが調べて回っていたときにたまたま出会った、この理論の「専門家」のようだった。実のところ、彼らの話してくれたことを物質界の言語に翻訳する私自身の能力が限られているせいで、彼らが実際に話した内容に影響が及んでしまった。結局、誰でも、自分がかつて知らなかったことを説明するのに、すでに知っていた言葉や概念を利用するしかないのだ。

私はこれについて書くだけでも、いささか大それたことだと感じている。アイザック・ニュートン以前から、物理学者たちが取り組んできている難問に答えようとするなんて、私はいったい何者だというのか?それでも私は、エドの理論がかなり興味深いものだとわかる程度には、物理学について知っている。私が翻訳したものは、エドの新しい友人たちが言っていたことそのものではない。この主題を完全に解明するとまではいかないが、重力について新しい考え方を提供するものだ。エドの重力理論は、物質的な宇宙における他の力について現在判明している知識と結びついて、新しい統一場理論のコンセプトを提示するかもしれない。先に言った通り、これは大それたことに思われるが、死後の世界にいる友人とのつながりを通して、情報が得られるという実例になる。もし、誰か物理学者が、重力についてとらえ直すきっかけとなる、真実の確信を見いだしてくれるなら、エドは間違いなく喜ぶことと思う。

理論

私たちが重力と呼ぶ力は、質量に作用する電磁放射圧の不均衡(アンバランス)の結果として生じる。この不均衡は、純粋にランダムに作用する電磁エネルギーが構成する、ほとんど不可解なほど高密度な「場(フィールド)」における密度勾配から生じている。この密度勾配は、その「場」の局所的圧縮によって誘発される。

仮定

1 電磁気的性質を持つものとして概念化できる、純粋にランダムに作用するエネルギーの極度に高密度な「場」の存在。この場は、「空虚な空間」を満たし、浸透し、全体に広がっている。それを可視化してみると、ほとんど無数に近い、あらゆる種類の電磁気的エネルギーの「ビーム(可視光、電波、エックス線、赤外線など)が、純粋にランダムなかたちで、あらゆる方向から、空間のあらゆる点を通過して進んでいる。

2 電磁気的性質を持つものとして概念化できる、この非常に高密度なエネルギー場は、内向きに凝集する特性を持つ。

実験から得られるであろう証拠

比較的質量の軽い個々の原子を非常に高倍率で観察すると、常時ランダムに「揺れ動いて」いるのが明らかになる。近代科学は、これを説明できない。エドの友人たちによれば、この「原子の揺れ」は、質量に作用するランダムな高密度の「場」がブラウン運動のように作用していることの例であり、そのエネルギー場の存在の証拠であるという。彼らはさらに、原子の揺れを定量分析すれば、そのエネルギー場自体を計測することができると示唆している。

ブラウン運動

1872年、イギリスの植物学者ロバート・ブラウンが、水の上に浮遊する花粉の粉を顕微鏡で観察すると、たえずランダムな動きをしていることを発見した。この「花粉の揺れ」については、1905年にアルバート・アインシュタインが力学に新たな手法を持ち込むまで、科学的な説明がみつからなかった。ブラウンの発見は、原子の存在の証明と、その大きさの定量的な計測につながった。エドの友人たちは、その理論の説明を始めるときに、私の理解を助けるために、ブラウン運動を比喩やモデルとして利用することを提案してきた。彼らはさらに、今後この理論を確かめていくための方法が、同じ比喩を使って視覚化できると示唆した。読者のみなさんの理解を助けるために、私は、エドの友人たちに勧められたのと同じように、みなさんにも、提示されたイメージを視覚化してみるようにお勧めしたい。

ブラウン運動に関する典型的な実験

まず、12年生(高校3年生に相当)のとき、物理のクラスでやった、ブラウン運動を確かめる実験を思い出してみてほしい。私の記憶している実験では、小さな透明の箱が顕微鏡の下に置かれるのだった。少量の煙が、バルブからその小箱に注入される。バルブが閉じられると、それによって、煙が小箱の静止した空気の中に隔離されることになる。その小箱は透明なので、顕微鏡は、中にある煙の小さな粒子に焦点を合わせることができる。そうすると、粒子は予想のように完全に静止してはおらず、むしろ常にランダムな動きのようなものを見せながら揺れているのがわかる。この動きが、発見者の名にちなんで、ブラウン運動と呼ばれているものだ。これは、熱運動している空気分子(酸素、窒素、二酸化炭素、他ネオンなど)が、煙の粒子に衝突してつつき回しているせいだと説明されている。小箱の中にある空気分子を思い描くと、次のような状態になっている。非常に多数のとても小さな粒子が、粒子同士や、小箱の壁や、煙の粒子と、完全にランダムなかたちで衝突しあっているのだ。

その空気分子は、エドの理論で言うところの「ビーム」、すなわち「純粋にランダムなかたちで、あらゆる方向から、空間のあらゆる点を通過して進んでいる」ビームと同じように作用している。煙の粒子は、エドの重力理論で言うと、物質の個々の原子にあたる。煙の粒子1個の質量はとても小さいので、空気分子のランダムな動きがもたらす効果を観察する機会を与えてくれる。空気の分子が煙の粒子に衝突するとき、おなじみのビリヤードの球のように力が働く。空気分子が、その運動量の一部を煙の粒子に渡すのだ。空気分子1個が煙の粒子に衝突するときに働く力は、砂粒ひとつが大きな石にぶつかるときのようなもので、あまりにも小さすぎて観察できない。だが、何十億の何十億倍という空気分子がその小箱の中に存在するので、非常に短い時間のうちに、何十億回もの衝突が起こる。

空気分子の動きは完全にランダムなので、どんな短い一瞬のうちにも、煙の粒子の片側に、別の側より多く衝突が起こるという確率が存在する。煙の粒子は、こうした、より多くの衝突が起こる点から離れる方向に加速する。100個のビリヤードの球がボウリングの球の片側にぶつかり、反対側には50個だけがぶつかったようなものだ。ボウリングの球は100個がぶつかった場所から離れる方向に動くだろう。その次の瞬間、煙の粒子の別の側に、より多くの数のランダムな衝突が起こるかもしれず、それによって粒子が別の方向に加速するかもしれない。ある一定時間内には、ランダムな衝突は、煙の粒子の周囲に一様に分布するので、その時間内には粒子は動かない。こうした、空気の粒子のランダムな、確率に基づく衝突が、小箱の中にある煙の粒子の揺れ動き、すなわちブラウン運動の説明となる。ブラウン運動は、エドの電磁気的重力理論のコンセプトを理解するための出発点となる。

イマジネーションを用いた実験

ここまでで、ブラウン運動のモデルは、「実験から得られるであろう証拠」として先に述べた原子の揺れ動きを説明するために利用できる。この理論でいう「場」に存在する物質の原子1個は、ブラウン運動に似たような揺れ動き方をする。充分な密度を持つ「場」があれば、質量の小さい1個の原子に対する確率に基づく衝突は、その原子に揺れを生じさせる。理論の説明を始めるにあたって、イマジネーションを利用して、ブラウン運動の実験をもう一歩進めてみよう。ここで私たちは、「場」が持つ内向きに凝集する特性を利用して、重力を説明するのだ。まず、まったく新しい、空気のようなガス状の媒質で、内向きの凝集力を持つものを仮想的に創り出してみよう。この新しいガス状の媒質を「アンオブテイニウム」と呼ぶことにする。なぜなら、このコンセプトを想像することは役に立つが、それを実際に手に入れる(「オブテイン」する)ことは非常に難しいからだ。アンオブテイニウムは、空気と同じだが、ただひとつだけ特性が追加されている。

それは内向きに凝集する力があるのだ。別の言い方をすれば、それはゴムのように引っ張って伸ばすことができるということだ。いわば、「バネ定数」を持っているようなものだ。さて今度は、ブラウン運動を確かめるための、新しい箱を想像しよう。透明な長方形の箱で、横が約1メートル、縦が約10センチ、高さが約2.5センチだ。この新しい箱をアンオブテイニウムで満たしてから、この箱を薄切りにするのを思い描いてみる。横が1メートル、縦が5センチのとても薄いゴムのシートが、箱の両端にクランプ(挟み込む金具)で固定されているようにイメージしてみよう。そして、想像上のフェルトペンで、この「弾力のある気体」のシートに、約0.5ミリ刻みの等間隔で縦方向に平行な線を引いていき、端から端まで全体にマーキングする。これらの線は、アンオブテイニウムの最初の密度を示すための目安になる。線が等間隔になっているということは、アンオブテイニウムの分子が均一に分布しているということだ。このアンオブテイニウムは、箱全体にわたって均一の密度を持っている。実際、この薄いアンオブテイニウムのシートのどこかに煙の粒子を一個入れたとすれば、その動きは、通常の気体中で見られる典型的なブラウン運動と見分けがつかないだろう。先に論じたような分子の衝突によて、ランダムなかたちで揺れ動くはずだ。

これで準備が整ったので、内向きの凝集力という、アンオブテイニウムの想像上の特性を実験してみよう。ふたつのクランプを使って、アンオブテイニウムのシートの真ん中近くを縦方向に挟む。クランプは互いに並行で、15センチの間隔をおいて取り付けられ、シートをしっかりと挟んで固定する。この二つのクランプは、間隔が2.5センチになるまで近づけることができる仕組みになっている。この仕組みを使って、ふたつのクランプを近づけるとき、アンオブテイニウムのシートに引いてある線を観察してみよう。私は今、アンオブテイニウムという気体の真ん中近くで、局所的な圧縮を引き起こしたのだ。クランプとクランプの間では、引かれた線は接近しており、ここでアンオブテイニウムの密度が高くなっていることがわかる。それでは、クランプで挟まれた外側の領域で、しるしの線がどうなっているか、よく見てみよう。もはや、その線は等間隔ではない。線と線の間が引き伸ばされているのだ。

一番伸ばされいる量が多いのは、クランプの近く、私が引っ張った個所に一番近いあたりだ。伸びは、シートの両端に近くなるにつれて、漸近的にゼロに近づいていく。最初に線が等間隔だったことは、気体の密度が均一だということを示していた。今、線と線の間隔が広がったことは、この空気のような気体の密度が、横方向に見て変化したことを示している。分子はもはや箱全体に均一に分布してはいない。内向きの凝集力を持つという仮想的な特性のために、線と線の間にある気体の分子の数は変わっていない。しかし今や、クランプの外側では、同じ量の分子が前よりも広い領域を占めている。物理学者に言わせれば、密度が低くなっているということだ。シートの両端の、伸びが一番少ない部分では、気体の密度は元の伸ばされていないときの値に近い。シートの中心近くの一番伸ばされている部分では、密度は元の値より低くなっている。私たちは、シートの横方向(長辺)に沿って、密度勾配を生じさせたということだ。シートのどの部分を取っても、ガスの密度は中心に向かって低くなり、両端に向かって高くなっていく。引っ張ったのと垂直方向に、どんな厚みでスライスしても、この密度勾配が存在する。

ではここで、私たちがイメージしたもの―—密度勾配を持つ気体、アンオブテイニウムが入っている密閉された箱——これを利用して、興味深い質問をしてみよう。「ブラウン運動のモデルを使って、煙の粒子を一個、箱の中のアンオブテイニウムが引き伸ばされた領域のどこかに置いたら、何が起こるだろう?」まず、気体の分子が煙の粒子とランダムに衝突する数には、私たちが引き起こした密度勾配のせいで偏りが生じるだろう、ということはわかる。密度は箱の両端近くで最高であり、中心近くで最低となる。それゆえ常に、煙の粒子の密度が高いほうの側面(箱の両端に近い側)で空気分子の衝突がより多く起こり、局所的な圧縮が行われているほうの側面(箱の中心に近い側)でそういう衝突が少なくなるはずだ。というわけで、質問への答えはこうなる。「箱の中の、シートが引き伸ばされた領域のどこかに置かれた煙の粒子は、衝突数の不均衡(アンバランス)によって、箱の中心に向かって加速されるはずだ」

実際、この不思議な透明の気体に引いてある線を見ることができない、外部からの観察者はこう言うかもしれない。「ふーむ、ふたつのクランプが、外側の重力のような力を及ぼしているようだ。そして、煙の粒子を引きつけているんだ!」しかし、私たちは実際に何が起こっているのかを知っている。私たちは煙の粒子を取り巻く気体に、密度勾配を引き起こした。そして、空気分子のランダムな衝突の数に偏りが生じたせいで、煙の粒子はクランプに向かって動かされるのだ。クランプが引力(引きつける力)を煙の粒子に及ぼしているわけではない。煙の粒子は、アンオブテイニウムの粒子との衝突数の不均衡のせいで、クランプの方向に向かって押し出されているのだ。その不均衡は、クランプが気体の局所的圧縮によって引き起こす、密度勾配が原因となっている。

重力は引力ではなく、押す力なのだ。それでは、アンオブテイニウムを、電磁気的性質を持つものとして視覚化できる、純粋にランダムに作用するエネルギーの「場」というものと置き換えてみよう。極度に高密度で、内向きの凝集力を持つ「場」だ。その「場」が、物理的な宇宙全体に広がっていると想像してみてほしい。煙の粒子を、物質の原子1個と置き換えてみる。私たちは、「場」の局所的な圧縮を説明しさえすれば、その原子1個に作用する重力を説明することができるだろう。では、私たちの実験で見た、クランプとクランプの間のアンオブテイニウムはどうなっていただろうか?シートのその部分では、引かれた線同士がとても接近していた。これは何を意味するのだろうか?エドの理論から言うと、これは「場」が圧縮されていることを意味する。十分に圧縮されれば、「場」のその領域は「物質」となっている!エドの友人たちによれば、それこそが「物質」というものなのだ。物質とは、私たちが論じてきた、極度に高密度なエネルギー場の局所的圧縮なのだ。物質と電磁エネルギーは同じものなのだ。アインシュタインの「電磁エネルギーは質量と高速の二乗の積に等しい」E=mc2(二乗)という式を覚えているだろうか?私たちが電磁エネルギーと呼ぶものと、質量とは、同じものの異なる形態にすぎないのだ。どちらも、お互いに違うもののようだが、実は「場」というひとつのものが、違った現れ方をして、違った形を取っているだけなのだ。

重力以上のこと

以上、エドの友人たちから聞いたことを翻訳する試みをしてきたが、読者のみなさんが理解してくださったことを願う。友人たちは議論を続けて、この理論の様々な面をさらに詳しく説明していた。彼らは物質の形成について、どのようにして「場」が圧縮されるか、何が原子レベルで物体を結びつけるのか、などについて語った。なぜ物体は、この「場」の中では、光速より遅いスピードでしか移動できないのか、という説明もした。また、この「場」の観点から、超伝導性についても議論していた。彼らの議論をここで続けるには、この本におさまりきる以上のスペースが必要になるだろう。彼らの説明は徹底的で、すべてが首尾一貫したパターンに合致しており、私はそれに満足した、とだけ言っておこう。私がここで紹介した内容だけでも、死後の世界を通じてどんな情報が得られるかということを、少し味わっていただけたのなら嬉しい。「向こう」にいる正しい相手を見つけられさえすれば、どんな質問の答えでも、きっと手に入るだろうと思う。


個人的な感想

自分は初めてこの文章を読んだとき、よく分かりませんでした。理系用語が多すぎる!と思ったし、内容も難解でしたので。しかし、ここに記述した後に再度読み返してみると、文系出身の私でもある程度内容を理解できました。ブルース・モーエンが読者に丁寧に分かりやすく説明しようとしてくれているのが伝わってきます。また、自分自身がスピリチュアル、物理に関わらず宇宙関連の内容に興味があることが、今回の内容を読む気にさせているのかもしれません。しかし、宇宙に興味がない方や、その分野が苦手な女性には興味をそそられない内容だったかもしれませんね(笑)。





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