見出し画像

気ままなアートと純粋な価値観

先日(といっても1ヶ月ほど経ってしまったけれど…)、多摩美の芸術祭に行ってきた。

200を超える団体の展示に様々なステージパフォーマンスや公演っていう規模感やクオリティの高さもそうけど、何より独特の切り口やテーマ、こだわり抜かれた世界観が刺激的なこのイベント。

外装内装にも熱がこもった模擬店や、個性的なハンドメイド作品が並ぶフリーマーケットなんかは見ているだけでも楽しいし、はじめて竹下通りを歩いた時のようなワクワク感や心弾む感じを味わえる。


今年特にグッときた展示は、ざっこんな感じ。

妙展

日常にありそうでない、妙な光景が並ぶ展示。

下2枚の写真を見比べてみてほしい。

一見同じように見えるけど、よーく見ると、むむむ…影の形が…あれ?同じ円錐に同じ角度から光が当たっているのに、影の形が違う。なぜ…

じっくり観察するも仕掛けを見破れず、作者の学生さんにしぶしぶタネを聞くと、ライト側に仕掛けがあると言う。なるほどそういうことか!下から覗きこむと…ライトのフレームにマスキングテープが貼ってあり、光がコントールされているではないか。なんて単純な仕掛け…悔しい!楽しい!

MITATE展

日常の生活に隠れた「MITTE(=見立て)」の世界

喜怒哀楽

Train running the fastener

距離の抽出

一番のお気に入りがこれ。「距離の抽出」
日常に存在する行為や事象から“距離”のみを抽出してメジャーで表現するってものなんだけど、特に“扇風機"が好き(53″〜くらいです)。爽快で何度見てもクスッとしてしまう。ぜひ見てほしい!


あと、数あるフリマの中で個人的にツボなのがこちら。

“弱小助ボ部”のフリマ。

繊細で高クオリティーなアクセサリー、ポストカードや陶器の器、その他ありそうでなかったユニークなグッツたちがずらり集結する中、完全に彼らのエリアだけ異彩を放っている。

上はスウェット、下はつんつるてんのチノパン、履き潰したスニーカーに丸メガネという、毎年おんなじような感じの学生が立っているんだけど、しみったれた雰囲気でありながら、どこか無邪気さを感じるところが、いい。

ちなみに彼らの商品ラインナップはこちら。




…とまぁ、だいたい呆れるくらいのガラクタやゴミみたいなもんが売っているんだけど。笑 

最後なんてもう、ゴミって言っちゃてるし。笑


さて。

多摩美芸術祭に初めて訪れたのは、確か向井秀徳がライブを行った年だった。3〜4年前だったかな?

日が沈む間際、ビール片手にほろ酔いで聞く「自問自答」は最高だった。アコースティックギター1本でここまでかっこいいって、もう意味がわからない…。どこか狂気じみたラップは強烈に快感だし、ラスト“くりかえされる諸行無常や”に続くギター音には頭がとびそうになる。

 やりたいように好き勝手に、言葉で、音で、遊んでいるように見える彼の音楽。

なんというか、聞き手を置いてけぼりにしてしまうところがいいなーと思う。

他人がどう思うかとか、人の心を動かすとか、社会の役に立つとか…そういう理屈っぽいことを抜きにした表現にとても心惹かれてしまうし、羨ましく思う。 


そんなわけで多摩美芸術祭の魅力も、

「理解してもらうこと」よりも「表現したいこと」に重きを置いたアートにあるんじゃないかなと思ったのでした。

このあたりを言語化できたら、またブログを書こうと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?