最近どう?みんなパスタ巻いてる?


このタイトルを見て、なつかしさを覚えた人はおそらく同世代であろう。
さて、突然だがみなさんは家でパスタを食べる時、どのように食べるだろうか?大体の人はフォークか箸のどちらかを使って食べるものと思われる。実際どのくらいの割合なのか気になったので調べてみた。すると、延べ1万人以上へアンケートをとった(すごい)結果、6割が「フォークだけ」、2割が「箸だけ」そして残りの2割が「フォークとスプーン」を使って食べるというアンケート結果が出てきた。つまり、日本人のおよそ8割がフォークを使って食べているようだ。この結果は少し意外に感じられた。というのも、俺は家でパスタを食べる時は断然箸で食べる派だったからだ。少し前までは。
もちろん、飲食店などでパスタを食べる時はフォークに巻き付けて食べていた。それがマナーだからである。それくらいの常識は持ち合わせている。一度小洒落たイタリアンへ行ったとき、同席した女性がテーブルに箸がないのを見て、店員さんに箸をせがんだ時はさすがに引いてしまった。そんな人目を気にする俺でも、家で食べる時などはわざわざフォークに巻き付けるのも面倒だし、食べにくいので箸を使っていた。日本人たるもの麺は豪快にすすって食べるべきだと思っていたし、わざわざ家でフォークに巻き付けて食べるなんてただの洋風かぶれのかっこつけだと思っていた。
ところがどっこいである。新居に引っ越してまもなく、いつものように昼食にパスタを作った時、事件は起こった。たいていペペロンチーノかトマトソースパスタを作るのだがその日は茄子とベーコンのトマトソースのパスタ。ソースはいつも通りたっぷりである。


茄子とベーコンのトマトソースパスタ。タバスコをたっぷりかけて食べるのが好き。

話は少し脱線するがパスタと言えば、イタリアの隣国、スロベニアを訪れた時に食べたトリュフクリームのパスタは本当に美味しかった。トリュフの風味とクリームのまろやかさが絶妙にマッチし感動すら覚えた。日本に帰ってからもあの味が忘れられず、カルディでレトルトのトリュフクリームパスタを買って食べてみたが、あのトリュフの風味は全く感じられなかった。そして今この記事を書いているその瞬間もあのトリュフクリームパスタへの思いは色あせないままである。


スロベニアで食べたトリュフクリームのパスタ。本当に美味しかった。


話を戻そう。いつも通り箸でパスタを食べ始めたが、ソースが飛び跳ねるのが気になった。新居に引っ越して新しいデスクやPCを購入したばかりだったのであまり汚したくなかったため、箸で食べるのを躊躇った。少し迷ったが背に腹は代えられない、ほとんど使わないが一応購入していたフォークとスプーンを取り出して食べることにした。
フォークに巻き付けて口に入れてみるとなんということか、箸で食べた時よりも圧倒的に美味しく感じられた。フォークに巻き付けることで何層にもなったパスタ自体の小麦の風味が口全体に広がり、噛めば噛むほど味わいが増していく。そこへ覆いかぶさるように重なるソースの味わい。箸で食べた時とはまるで別の食べ物を食べているかのような感覚だった。パスタをフォークに巻き付けるのはただのかっこつけなんかではなかったのだ。食材を美味しくいただくために先人たちが工夫に工夫を凝らした英知の結晶なのであった。
今まで同じパスタを箸とフォークで食べ比べたことがなかったため、この現象に気付くことなく30年近くも生きてきてしまった。箸で食べる派の皆さんもどうか一度騙されたと思って箸とフォークを用意して食べ比べてみてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?