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頭文字A~リアタイ最強理論~ Act.1


~prologue~
群馬エリア最強公式クラン(笑)を自称する"赤城レッドサンズ"。そのNo.2として名を轟かせているラインドライブ使いの高橋啓介は、次の制圧ターゲットである秋名の山で野良ルーム戦に励んでいた。
連戦連勝を重ねていた啓介だったが、終わり際に現れたAランク混じりのオーダーに敗北を喫する。それは伝説のプロスピプレイヤーであるカステラ屋"スピ原文太"…ではなく、その息子"スピ原拓海"であった。
「悪い夢でも見たに違いない…」
そう言い聞かせつつ立ち直った啓介は、今宵再び秋名の山で拓海に挑む。


啓介「若いなずいぶん…名前は?」
拓海「スピ原拓海」
啓介「覚えとくぜ… オレは高橋啓介」

『いよいよ始まるぞ やっぱり秋名の代表はあのボロいAndroidスマホだ』
『iPad Pro対AQUOSフォンだなんてムチャだよなー』
ギャラリーから驚き半分呆れ半分の声が聞こえてくる中、両者の端末が並んだ。

スタート10秒前…2…1… GO!!

『打球はぇっえぇーっ!!高橋啓介のラインドライブはダテじゃねぇ』
『Aランクで中弾道の打球なんて止まってるようにしか見えねーよ!』
開始早々、先攻の啓介がヒットを積み上げて得点を重ねていく。糸井、近藤、坂倉、高橋周平と並ぶラインドライブ打線が拓海に牙をむく。

ギャギャギャギャギャ!(タッチペンでiPadの画面を滑らせる音)
啓介「選手の性能差で勝つのは不本意だが、これはクランの名を背負った対抗戦だからな 遠慮はしねーぜ」
拓海「……」

ギイィヤァァ(スマホの画面上で指を滑らせる音)
自慢の打線で先攻で4点を奪い、絶好調と思われた啓介。しかしその裏、拓海はあっさりと3点を返す。
『見たかァ…あの指の動き あんなスピードで動かすやつ見たことねぇ…』
ギャラリーから驚きの声が上がると、啓介は激しく動揺する。
啓介「差が詰まってる…!?そんなバカなことがあるわけないぜ!」
その様子を啓介の兄、高橋涼介は冷静に分析していた。

涼介「端末を見る限り、せいぜい6年前のAndroidスマホ…打線にもアーチストは一人もいない。啓介が言うようなモンスターとは程遠いぜ。」
拓海は父親から譲り受けたカクカクなAndroidスマホに加え、ログインボーナスのみで集めた低中弾道の選手で構成したオーダーで戦っていた。
涼介「啓介が負ける理由は見つからない。そんなことがあるとすれば、あのプレイヤーはオレの想像を遥かに超えたところにいる」

ギャオオオォ!(調子はどう?スタンプを送る音)
『スゲーーッ どうなってんだ!啓介がスタンプで煽られるなんて!』
『赤城最強と言われてる高橋兄弟がAndroidに苦戦してる!いったい誰なんだ!?』
啓介「どうしたんだ 今日に限ってライドラの打球が遅く感じる!クソッタレが!コナミのサーバー止まってんじゃねーのか!!」
試合は中盤(※)に差し掛かるも、一点差のままピタリと啓介に追従する拓海。どちらが勝つか、最後まで分からない展開となっていた。
(※9回+延長1回ルール)
涼介「誤算だったな…秋名にこれほどのスゴウデがいるとは…」

拓海「抜かねーと勝ったとは認めてくれないだろうな… しょーがねーアレやるか」
拓海「しかけるポイントは…この先の5連続中弾道打線!!(内川、栗山、白崎、銀次、菊池)」
7回裏、一点差を追いかける拓海の攻撃が始まろうとしていた。

ライデルマルティネスに継投した啓介は、ストライクゾーンからボールになるツーシームを投じた。
『とんでもねぇスピードでカーソルをインコースに動かして振りにいった!ストライクゾーン見えてねぇのかァ!』
啓介「ボール球なのに振ってきた…何考えてやがる!?」
明らかにそれとわかるボール球をスイングする拓海。それはだれの目に見ても内野フライとしか映らなかった。しかし…!!

ゴワォ!(レフト前のポテンヒットになる音)
啓介「な…なんだーあ!?今のは!!」
凡退必至と思われた打球はヒットとなり、以降ボール球を拓海にことごとくヒットにされる啓介。
『逆転されちまったァ…あっけなく連打でスパーンと…』
『見てるオレたちにもなにがどうなってんだか…ボール球ってのはヒットにならないもんだろ!?』

ギャラリーが呆気にとられる中、一人の男は拓海がなにをしたのかわかっていた。妙義エリアのクランリーダー、中里である。
中里「オレにはわかった…あのAndroid使いが何をしたのか。とんでもねぇバカが世の中にはいる」

その回、拓海は一つもアウトを取られることなく、最後は満塁から右中間を破るツーベースで勝負を決めた。
涼介「7点差…!?圧倒的だな」

こうしてスピ原拓海の伝説は、今幕を開けた…

NEXT BATTLE  ~妙義ナイトゥーキッズ中里~

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