マガジンのカバー画像

長谷川ちゃみの本棚

30
本が好き。本や読書にまつわる話題を集めました。
運営しているクリエイター

#わたしの本棚

新しい読書仲間に自己紹介代わりに薦めた本「『罪と罰』を読まない」

いかがお過ごしですか、長谷川ちゃみです。 私は本が好きです。 先日、新しい読書仲間ができました。 同じ会社の方なのですが、今まで仕事での接点がなく、挨拶しかしたことがない方です。 ひょんなことから読書好きということを知り、私が「私も本が好きです。お友達になってください」とストレートに言ったら、後日お薦めの本をメールしてくれました。 そこで、私が自己紹介代わりに返信したお薦めの本がこちら。 『罪と罰』を読まない どうしてこの本を紹介したかというと、この本を読んで、

全国一斉休校から3年のいま再読したい本 乗代雄介「旅する練習」

いきなり全国の学校が一斉に休校なったあのときから、もう3年も経ちました。うちの子は、小学3年生、1年生の終わりでした。会社はまだテレワークに対応していなかったし、とにかく”いきなり”で、本当に大変でした。 それはさておき、あの一斉休校期間のフィクションがあります。 乗代雄介著「旅する練習」です。 小説家の叔父さんと、もうすぐ中学生になるサッカー好きな女の子が歩いて旅をする物語。叔父さんは絵を描きながら、女の子はサッカーボールを蹴りながら。 この本は、先に読んだ友人が「風景

わたしの積読リスト

いつから積読なんて贅沢するようになったんだっけ? 小学校高学年のときは、ティーンズハートやコバルト文庫の発売日に本屋に行って、新刊を買ってその日のうちに読んでいたのに。いまは、積読が貯まる一方。随分熟成されているものもあります。 今日は、私の積読をほんの一部をご紹介しますね。 赤毛のアン モンゴメリ 村岡花子訳 (新潮文庫 1954年発行) 赤毛のアン モンゴメリ 松本侑子新訳 (集英社文庫 2019年発行) ナイルに死す アガサ・クリスティ 加島祥造訳 (ハヤカワ・ミ

「走れ、走って逃げろ」マイ・ベスト・ブック2022

いかがお過ごしですか、長谷川ちゃみです。 本好きでラジオ好きな私のお気に入りのラジオ番組はこちら。 Panasonic Melodious Library【パナソニック メロディアスライブラリー】→☆ この番組は、文学作品を毎週ひとつ取り上げて、作家の小川洋子さんが解説する番組です。小川さんの作家としての専門的な目線での解説が面白く、毎週楽しみにしています。 年末になると、「マイベストブック」と題してその一年に取り上げられた本の中から特に心に残った本が紹介されます。

7歳5歳の娘たちと笑った思い出の絵本「あるはれたひに」

いかがお過ごしですか、長谷川ちゃみです。 3人目の子が生まれたとき、お姉ちゃん二人は7歳と5歳でした。 昼間は赤ちゃんの世話に時間を取られ、お姉ちゃん達とのコミュニケーションが減ってしまっていた。 それで、その穴埋めではないですが、お姉ちゃんたちには就寝時に絵本を読んであげるようにしていました。 ここでは、そのときに特に盛り上がった本を紹介します。 「あるはれたひに」 作: きむら ゆういち 絵: あべ 弘士 この本は、”あらしのよるにシリーズ”全7巻のうちの2

【随想】本のほとり#3|安田浩一 金井真紀「戦争とバスタオル」

♪さる・ゴリラ・チンパンジーはもう歌わない。 きっかけは、この本。 「戦争とバスタオル」 文 安田浩一、文と絵 金井真紀 (亜紀書房 2021年) 子どもの頃、母方の祖父母の家に行くと、仏間にセピア色の若い兵隊さんの写真が飾ってあった。その兵隊さんは祖母が最初に結婚した青年であり、戦死してしまった人である。若き祖母は夫がなくなったあともその家に残り、そこで婿養子を迎えた。その婿養子が私の祖父である。つまり、私は若い兵隊さんが生きて帰ってきていたら生まれなかった命である。

有料
500

【随想】本のほとり#2|辻村深月「君本家の誘拐」

家では「仕事が忙しいから」と言い、職場では「子どもが小さいから」と言う。どっちも中途半端でどこか満たされない。だから、専業主婦の友達に「すごいね〜」などと言われると、嫌味を言われているみたいな気分になった。完全に私の被害妄想だ。 保育園からの呼び出しに内心舌打ちして自己嫌悪。無理させるから完治しない赤ちゃんの下痢に、一生このままなんじゃないか、というくらい落ちて泣きそうになる。母の声が聞きたくなった。 辻村深月の短編小説「君本家の誘拐」は、はじめての子育てに奮闘するママが

【随想】本のほとり#1|又吉直樹「第2図書係補佐」

エッセイを書けば人生がもっと面白くなる。仮説というより、そうに決まっている、そうじゃなきゃ嫌だと思っている。だって、又吉の周りにばかり面白い人が集まったり、面白いことが起こったりするなんて、あまりに不公平だ。私だってエッセイを書けば、きっとバンバン面白い人に出会い、面白いことが起こようになる。 いや、それはさすがにちょっと違うだろう。そもそも、又吉はネガティブな出来事から面白みをすくい上げて書いている。ってことは、まさかエッセイを書くと、ネガティブな出来事が起きて、それを笑

読まずに読書会?!「『罪と罰』を読まない」で読書はもっと楽しくなる

私が声を出して笑った大好きな本のタイトルは、「『罪と罰』を読まない」(文春文庫)。 あなたはドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがありますか?私はありません。名作って言われているけど、なんだか難しそうで手に取ったこともありません。でもこの本、「『罪と罰』なんて読まないぞ!」という本ではないですよ。 この本は、ユニークな読書の楽しみ方を提案してくれる本です。『罪と罰』について、なんと、読んだことがないメンバーだけで読書会をするという斬新過ぎる試みのノンフィクションなので

食わず嫌いだった村上春樹を一口かじった

わたしの本棚に村上春樹はまだない。 村上春樹といえば、日本で一番ノーベル賞に近い作家で、国内はもちろん海外でも人気の作家ですよね。 しかし、そんな村上春樹を、私は長年何故だか頑なに避けていました。 それが変わったのが4ヶ月ほど前。ママ友ではなく普通に友達になれたらなぁと私が憧れているSさんから、「村上春樹が好きで全部読んでる」って聞いたからです。私は呆気なく村上春樹をかじったのでした。 まずは村上春樹本人による朗読を聴き、次に短編小説を読み・・・いよいよ人気の長編小説

点字つきさわる絵本「ぐりとぐら」のぬくもり

三人の子どもたちとたくさんの絵本を楽しんできましたが、「点字つきさわる絵本」を知ったのは、つい昨年の秋でした。末っ子が保育園で毎月購入している 福音館書店 月刊「こどものとも年少版」の付録の親向けの小冊子で紹介されていたからです。 「点字つきさわる絵本」は、点字と盛りあがった絵に触れて楽しめる絵本です。絵本に透明樹脂インキで点字と絵が印刷されているので、絵や字も透けて見えます。目の見えない人も目の見える人も一緒に楽しむことができます。目の見えないママが子どもに絵本を読んで