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長谷川ちゃみの本棚

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本が好き。本や読書にまつわる話題を集めました。
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2022年6月の記事一覧

高校社会科が変わった!「歴史総合」は近代~現代&地理の視点も

高校で実際に使用されている教科書「歴史総合 近代から現代へ」(山川出版社)をめくってみたら、30年前の歴史の教科書とは全然違っていてびっくりしましたのでご紹介します。 2022年度より高校の社会科で学習する内容が変わり、「歴史総合」「地理総合」「公共」が必修科目となりました。そして、この学習指導要領の改定は、従来の社会科のカリキュラムを大きく変更するものらしいのです。 私は、教育関係の仕事をしているわけでも、高校生の子どもがいるわけでもありません。私は、世の中のカラクリが

読まずに読書会?!「『罪と罰』を読まない」で読書はもっと楽しくなる

私が声を出して笑った大好きな本のタイトルは、「『罪と罰』を読まない」(文春文庫)。 あなたはドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがありますか?私はありません。名作って言われているけど、なんだか難しそうで手に取ったこともありません。でもこの本、「『罪と罰』なんて読まないぞ!」という本ではないですよ。 この本は、ユニークな読書の楽しみ方を提案してくれる本です。『罪と罰』について、なんと、読んだことがないメンバーだけで読書会をするという斬新過ぎる試みのノンフィクションなので

食わず嫌いだった村上春樹を一口かじった

わたしの本棚に村上春樹はまだない。 村上春樹といえば、日本で一番ノーベル賞に近い作家で、国内はもちろん海外でも人気の作家ですよね。 しかし、そんな村上春樹を、私は長年何故だか頑なに避けていました。 それが変わったのが4ヶ月ほど前。ママ友ではなく普通に友達になれたらなぁと私が憧れているSさんから、「村上春樹が好きで全部読んでる」って聞いたからです。私は呆気なく村上春樹をかじったのでした。 まずは村上春樹本人による朗読を聴き、次に短編小説を読み・・・いよいよ人気の長編小説

私を動かす文学 川上弘美「神様2011」

川上弘美著「神様2011」(講談社)には、短編「神様」と「神様2011」とがこの順で収録されています。「神様」は、川上弘美さんのデビュー作。「神様2011」は、「神様」をベースに3.11原発事故の後に新たに書かれた作品です。 「神様」は、語り手である"私"が、同じマンションに住む"くま"と川へ散歩に行く話。動物のくまです。ご近所さんがくま?しかも一緒に散歩? ありえないって思うのに、その穏やかな雰囲気に、どこかでこんなことがあってもいいかもな、なんて思ったりしながら読みまし

宮部みゆき「火車」を再読したら、♪ラララむじんくん♪が聞こえた

「火車」は、1992年に発行された宮部みゆきさんの長編社会派ミステリーです。休職中の刑事が甥っ子の失踪した婚約者を探す物語で、カードローン破産がひとつのキーポイントとなっています。 「火車」を最初に読んだきっかけは、読書好きの父の本棚に文庫版(新潮文庫)を見つけたからです。文庫版の発売は1998年1月で、私が読んだのは大学生のときです。この本を読んで、クレジットカードのキャッシングサービスは怖い、と印象づけられました。 次に「火車」に触れたのは、2011年11月にテレビ朝