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 口内炎


前歯の下の唇をベロンとめくればそこにはデッカい口内炎。物を食べて立て続けに噛んで噛んで噛み倒してしまいそれだけでも痛いのにその後案の定口内炎になり今に至る。

痛い、沁みる、口を閉じていても歯が微妙に当たり寝てても痛い。数日すれば勝手に治ると分かっていても、たったこれっぽっちの事が憂鬱の種に。
軟弱め。

はて、紅茶は殺菌作用があったんじゃなかろうか、風邪だのインフルエンザだのに効果的だという。ならば口内炎の治りを早めるのにもいいんではなかろうか、とふと思い。
朝の紅茶飲みの時間に、口に含んで後は飲み込むだけのぬるい紅茶を(熱いと痛い)ゆっくりじんわり包み込むお薬のように、膨らんだ患部に舌で押し当てる。そして飲む。を数回繰り返す。

あら、なんだかいいかも、痛みが薄まったかも。
いやいやそんな一瞬で良くならないから!と自分でツッコミつつ。でも本当、ちょっといい感じ。
ほんと?ほんとうに?
紅茶、すごいな。
思い込み、すごいな。
信じる力、すごいな。

そう言えば昨晩のお風呂。バスタブに浸かりふと湯から出した指先からポタポタと滴が落ちそうで落ちなくて。
これ、この感覚、とっても懐かしい。なんだっけいつだっけ。思い出した子供の頃の雨上がりの鉄棒。
鉄棒に連なる、落ちそうで落ちない膨らんだ雨の水滴。そこにそーっと手の甲を押し当て滴をもらう。弾ける幼い皮膚の上に水滴の玉。繰り返す。繰り返す。手の甲には玉だらけ。綺麗でもあり気持ち悪くもあり、その遊びが妙に面白くしかもひとりで。雨上がりはそれが楽しみだったな。と。

とーいとーい昔の事をふと思い出した。
入浴タイムはあれですね、なかなか色々を思い出します。

どれ、口内炎。
もう少し紅茶を、当てて飲もう。
すっかり冷めてちょうどよく、すっかり治ってしまうかも。



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