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踏めない



落ち葉が踏めない。
子供の頃や若い頃、なんならほんの数年前までは寧ろ好んでカサカサジャクジャクあの音や感触を味わいたくて踏みに行っていたが。

今年になって踏めなくなった。
それは「落ち葉が可哀想」という優しく乙女な少女の心持ちを含んでそうで大きく違い。

「蜘蛛を殺したら悪い事が起きそう」と同じ類いの「落ち葉を踏んだら悪い事が起きそう」な心持ち。踏まれたら痛いと訴える生き物のように見えるのだ。職場へ続く歩道に落ちる赤茶色の数々が、すーすーと息をしている。

ああなんかそれってつまり、自身の老いてゆく姿と無意識に重ねているのだろうか、錆びて落ちてても生きてるわよ息をしてと。だとしたらとても感傷的で重みがあるけれど、落ち葉はいつもとても綺麗。緑で艶々と輝いている頃よりも、よく見ればなんて色とりどりで多種多様な美しさ。拾って額に入れたいほど。
自分がそれに値するとはとても思えないけれど。生きてまっせ。息もしてる。


踏めないよな今日も落ち葉。
バチが当たりそう。
バチってなに、罰?いや罰は重過ぎる。
気持ちの問題。
どうしても避けられなければ仕方がないけれど、出来れば踏まずに歩きたい職場への道のりです。







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