薬丸岳『罪の境界』
◯無差別通り魔事件の加害者の生い立ちを辿る、フリーライター・溝口省吾
◯被害者のひとり・浜村明香里
◯浜村明香里の交際相手・東原航平
この三名の視点を軸に、物語は進んでいきます。
二十六歳の無職の男がスクランブル交差点で、刃物を振り回して三人の男女を殺傷した。
男はまずスクランブル交差点を渡っていた浜村明香里を襲い、彼女を助けようとした四十八歳の男をメッタ刺しにして、さらにその場から逃げようとしていた二十八歳の女にも斬りかかった末になって駆けつけた警官によって取り押さえられた。
四十八歳の男は病院に搬送されたあとに亡くなり、最初に襲われた浜村明香里は意識不明の重体。二十八歳の女は命に別状はないものの、手や肩などを刺されて重傷を負っている。
その後、意識を取り戻し数ヶ月の入院生活を経て、退院した浜村明香里。
明香里と航平は、身を挺して助けてくれた男・飯山晃弘の人生の辿る。
……で、いろいろ悩むことが多い印象を感じました。
物語の根底には“愛憎”という感情があるようにも……。
辛い境遇の中、
“犯罪行為に走る者”
“踏みとどまることができる者”
この《境目》に、“大切な人が悲しむ”ことを想像できるかどうか?
という印象を受けました。
うまく言えませんが……。
人との繋がりや、支え合い。
生きている間は、ついてまわるものでしょうね?
本当に辛いとき、想い浮かべることができる人が存在することって、ある意味幸せなことのような気がします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?