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「火の鳥」 手塚治虫

自粛要請で職場が有給休暇の消化を奨励していることもあり、最近家にいるので「火の鳥」を読んでいる。

子供の頃、テレビで随分と手塚アニメに親しんだ世代だが、「火の鳥」は大人になるまで読んだことがなかった。我が子が「火の鳥」にはまっていたことがあり、その時にざっくりと読んだことがあった程度。

2020年は、スピリチュアル界隈の人たちが大きな変革の年といっていたのを聞いたことがあったが、本当に新型ウイルスのおかげで世界中が大混乱になり、オリンピックが延期されるわ、不要不急の外出を避けるように言われるなど、大変なことになっていて、未だ出口が見えない。

そんな時ふと、「火の鳥」をもう一度ちゃんと読んでみようと思い立った。

「火の鳥」は、人と人あるいは人とロボットなど、様々な生命体同士の心のつながりの美しさを描いたものから、自己の欲望に溺れ悲しい結末を迎えるエピソードまで時を超え、存在を超えて受け継がれていく思いがテーマになっている。

私が一番好きなのは、ロビタというロボットの話だ。ロボットなのに感情があるロビタは、ある時、実は自分は人間なのではないかと思い始める。持ち主の人間に訴えても鼻であしらわれ、結局ロビタたちは集団自決してしまうのだが、時を遡ると、実は最初のロビタは、過去に愛し合った人間とロボットが火の鳥の力によって一つになった姿だったのだ。社会的に認められなかった二人の愛が、ロビタの創造により一つになれたのだった。愛の結晶であるロビタだから、家族のように子供の面倒を見たり、仕事を手伝ったりして人間との信頼関係を築くことができたのだ。

命あるものが命を全うし、此の世を去ることは、誰にとっても辛いことであるけれども、火の鳥は、限りがあるからこそ素晴らしいのだと人々に説く。そして、十分に此の世を生き、役目を果たした魂は火の鳥と一つになる。火の鳥は、ある意味神さまであり、すべての命の源というわけだ。


新型ウイルスの蔓延により、教育も経済活動も停止し、海外には手紙の1通も送ることができない。感染者数を抑えるため家にいなければいけないこの状態がいつまで続くのかもわからない。

でもこんな時だからこそ、家族との時間を大切にしたり、時間がなくて普段できなかったことにチャレンジしたりと悲観的にならずに過ごしたい。

自分にできる予防策を取り、後は経済的なダメージが少なくなるように打てる手は全部打って、その時が来たら存分に動けるように力を蓄えておきたいと思う。