意識が高い広告主とは?『MarkeZine』田端信太郎さんの記事を読む

赤ちゃんのようにやけに澄んだ目で写っているのは定期誌『MarkeZine』の第14号(2017年2月号)、特集「ネットメディアの向かう先」でのLINEの田端信太郎さん。しかしこの写真はプロの仕事だなあ。

田端さんの「広告主の意識の高さがメディアの姿を変えていく」というインタビュー記事を読ませてもらったので一部引用。

メディアはPVなどを重視して収益を確保することも必要です。
ただ、2017年は、少し揺り戻しが来るような気がしています。まだごく一部ですが、広告出稿費トップ3%くらいの意識の高い広告主の間では、ひたすらPVを稼ぐよりも信頼感を重視するメディアを選ぶ傾向が高まっている。そんな営業的実感があります。

「CPAさえ合えばいい」という考えをメディアが捨てても、あるいは代理店やプラットフォーマーがPVやCPA偏重型のサイトにペナルティーを課したとしても、そもそもの広告費の出所である広告主の多くが「CPAさえ合っていれば出稿する」と言っているなら、結局その状況は変わらない。なので究極的には、バイサイドである広告主の意識の変容がキーになると思います。

CPAは、広告単価の指標で、顧客獲得(acquisition)一人あたりの支払額。 または、何らかの成果(action)一件あたりの支払額のことを言うが、現状のネット広告はこの指標をベースに運用されている。

量的に明確に計測できるメリットの反面、質的な視点がおざなりにされがちだ。例えば手のこんだドラマのような広告を見てユーザーが感動して泣いてもその涙はカウントされない。むしろ乾ききったバナーの方がCPAは良い。なのでどんどんとメディアは乾いていってる。

しかし田端さんの言うように一部の広告主は意識が高く、これについて問題意識を持っている。ユーザーも喜ぶような広告というかマーケテイングをメディアと一緒に考えて試しつつある。

方法はCRMやカスタマーサポートも含めて色々だが、その施策の一つ、ネイティブ広告とスポンサードコンテンツについて田端さんは次のように言及している。

ネイティブ広告は、今より純度を増していくと思います。広告自体が、オーディエンスデータを元にターゲティングして最適化した自動配信と、本当に信頼性の高いメディアでの手の込んだネイティブ広告という形に、二極化するのではないでしょうか。後者のメディアは仮に月間1,000万PVでも、編集長が前面に立っていて、業界でも一定の支持と存在感を獲得しているようなイメージです。

大手だけでなく地方のミニコミ誌のようなメディアまで含めて、プラットフォームとして経済的に支援できる仕組みをさらに広げていくつもりです。広告と課金の両面でのマネタイズがひいてはメディアの取材費となり、良質なコンテンツの生産に繋がればと思っています。

CPA以外の方法で、乾いたメディアを潤わせられるだろうか?

まだ誰も答えを知らない状態だけど、私もこの「謎」を解いていきたい。

田端さんの仕事はメディアのマネタイズ担当だが、根本的にはメディアへの愛がある。それは少年時代、民放テレビが2チャンネルしかなくコンテンツ飢餓にあえぐ石川県で育ち、情報に腹ペコの中でむさぼるようにイケてる雑誌を読んで飢えをしのいでいた、というルーツがあるからだろうか?

今回紹介したのは一部で、記事ではいろんな分野に言及している。

田端さんといえばSNSなどでの自由すぎる発言が田端砲として有名だが、私は「見立て」が一番好きだ。今回の記事では、スマホの普及をかつてのクルマの普及に見立て、スマホが普及することと、街が変わっていくのに時間のズレがある、と述べるところで田端節が炸裂していた。

ざっくり言うと、
アメリカでクルマが普及したのが1920年代だが、普及したクルマに対応するように街が変わるまで1950年前後までかかった。スマホもほぼ普及したが、スマホ前提の社会に変わっていくのはこれからだ、という話だが、ディテールが面白いので詳しくは紙面で読んでほしい。

■関連リンク
LINE、BuzzFeed、antenna*が語る「ネットメディアの向かう先」/定期誌第14号

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