特例法の改正方向―自民党への要請書女性スペースを守る会女性スペースを守る会2024年8月2日 16:12PDF魚拓


2024年8月2日

自由民主党 御中
総裁 岸田文雄 殿

女性スペースを守る会 
 共同代表 山田響子、同野神和音、同森谷みのり 

要請の趣旨


1  上記特例法所定の第三条五号の「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」で示される外観要件は、そのまま維持すること。

2  同法の法律名および第二条の下記定義は維持すること。

「この法律において「性同一性障害者」とは、生物学的には性別が明らかであるにもかかわらず、心理的にはそれとは別の性別(以下「他の性別」という。)であるとの持続的な確信を持ち、かつ、自己を身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思を有する者であって、そのことについてその診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師の一般に認められている医学的知見に基づき行う診断が一致しているものをいう。」

3  前項の、「その診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師」につき、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第十八条所定の「精神保健指定医」と同様の、国家資格とすること。

4  上記特例法第四条の「他の性別に変わったものとみなす」という法的効果は、政令で定める一定の性犯罪を起こした場合、また起こしていたことが判明した場合は失われるものとし、公益の代表者たる検察官がその審判の取り消しを請求できるものとすること。

要請の理由


1  2023年10月25日の最高裁大法廷での決定を受け、差し戻された広島高等裁判所は、2024年7月10日、上記の外観要件については、合憲だとの診断を示した。このことにつき、多くの報道は外観要件は違憲の疑いがあるとしたという形で報道しているが、手術が必須だと解釈する限りにおいてそう記載したにとどまる。外観要件自体は合憲だと判断したこと、それが判例となったことが、まさに重要である。

 広島高裁は女性ホルモン投与等により外観から陰茎ありと見られない事案であるとして例外的に認めたのであり、「身体的及び社会的に他の性別に適合させようとする意思」も維持できるものである。司法は文字通りの「陰茎ある法的女性」は決して認容していない。

 そしてこれを認めることが有害無益であることは、当会や「女性スペースを守る諸団体と有志の連絡会」が従来から述べてきたとおりである。

 よって、他の要件を入れるからなどとしつつも、「外観要件を削除する」ことは、決してあってはならず、要請の趣旨1記載の通り求める。

2  上記最高裁決定も、広島高裁決定も、特例法第二条を違憲だとする文脈はない。いわゆる他の性別の者だと認識するという意味での「トランスジェンダー」のうち、性同一性障害の診断があるものは15.8%に過ぎない(令和元年度 厚生労働省委託事業 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書―※ネットモニター調査で有効回答4,884名 ※301名がトランスジェンダー)。

 また、医学的には「性別不合」などという単語ができたが、国法における法的概念として「性同一性障害」なる概念を維持することは十分に可能であり、実際20年間安定的に運用され国民に受けいれられてきたのであるから、これを変更する必要は毛頭ない。それは刑事司法における「心神喪失」が、医学用語そのものではないことと同様に、性別取り扱いの変更の際にあるべき診断として、国民的な合意であると考えられる。まして15.8%にとどまらない「他の性別の者だと認識するという意味でのトランスジェンダー」の法的性別が変更されることもあり得ることなど、まったく国民的な合意となっていない。

 よって、要請の趣旨2記載の通り求める。

3  手術を必ずしも必要としないこととなるならば、特例法第二条の「その診断を的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師」とその診断の信頼性は、格段に重要な位置づけを持つこととなる。

 ここにあって、法的根拠のないいわゆる「専門医」で足りるはずもなく、精神保健指定医と同様の国家資格とする必要があることは当然の事理である。法的性別の変更は、対象者と対象者がその後に少しでも関係する周囲にとって、重い精神疾患を持つ患者に対する精神保健指定医2名による数か月間である措置入院の可否の診断に勝ると劣らず、重大事である。

 よって、要請の趣旨3記載の通り求める。

4  上記最高裁決定では、生殖能力喪失要件が違憲だとされ、男性ホルモンの源である精巣の切除は不要とされた。そして上記広島高裁では外観要件として、つまりは男性→女性の場合の陰茎切除術までは必須でないとされた。

 そうである以上は、いかに外観上は一見して陰茎と見えないものだとしても、法的女性になった後の男性器を使った性犯罪があり得るのではないかが危惧される。

 よって、要請の趣旨4記載の通り求める。

 ここに至る間、「外観要件は違憲判断となろう」という左派野党やLGBT法連合会の言辞・運動が様々にあったが、それに幾分とも影響されたような改正案は不要である。貴党としては、政権与党として責任をもって考えなければならず、それがなしえると確信する。

 いわゆる性自認主義は、哺乳類である現生人類の雌が女性、雄が男性であるという自然科学に反した考えなのであり、先行した国では混乱を重ね、今は正常化の方向に立ち戻る国も出始めているところである。日本にあって、周回遅れで後に追う愚は避けるべきである。

 当会は、ここに以上の通りを要請する。

 あわせて、当会は、特例法の改正以前に、上記連絡会が提案している「女性スペースに関する法律案」「女子スポーツに関する法律案」またはこれに類似する法律を、特例法第4条の別段の法律として、成立させることを求める。

以 上

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特例法の改正方向―自民党への要請書

女性スペースを守る会

2024年8月2日 16:12