残業削減した上場企業はどんな取り組みをしている?東洋経済さんの残業時間が10年間で大きく減った会社ランキング 1位の企業は残業時間の減少率92.7%を達成東洋経済オンライン / 2024年5月27日 8時0分とコロナ禍に電子印鑑PR、「シヤチハタ」への逆風はね返す…おむつから建設現場まで「しるし」広げる読売新聞 / 2024年5月26日 8時52分を読む。


働き方改革が進み、大手中心に多くの企業が残業削減に取り組んでいる。では、この10年間で残業時間を大きく減らした会社はどこなのか? 『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版(時点は2022年度)と『CSR企業総覧』2014年版(同2012年度)掲載の従業員1人当たりの平均月間残業時間を比較。減少幅が大きい会社を上位100社までランキングした。

【ランキングを全部見る】残業時間が10年間で大きく減った100社

なお、『CSR企業総覧(ランキング&集計編)』2024年版には平均月間残業時間など個別データのランキングも掲載している。

比較は掲載する証券コード等が同じであれば同じ会社として計算。最近、持ち株会社に変更した場合でも、同じコードであれば単純に比較しているので注意していただきたい。

1位は残業が38時間も減少

ではランキングを見ていこう。1位は日本オラクルで41.0時間から3.0時間に38.0時間減らした。労働時間の適正化、時間外労働の削減、年休取得の推進などを進め減少率92.7%を達成した。また総労働時間も年間1748.0時間と他社に比べて少ない水準となっている。

2位は大東建託で34.4時間減らした。PC強制シャットダウン、ノー残業デーの実施、有休取得促進、フレックス利用促進などで総労働時間を抑制。さらにDX推進による業務の効率化、「前例踏襲の排除・ゼロベースでの無駄な仕事の削減」を展開し、大幅に残業を削減した。

3位は空間ディスプレー企画、設計大手の丹青社で23.3時間減らした。過重労働の防止の目標を掲げ、目標達成に向け全社で活動。全社員対象のシフト勤務(時差勤務)やテレワーク、直行直帰推奨などの制度やIT環境整備を進めている。

4位は三菱倉庫(22.2時間削減、以下同)。時差出勤、在宅勤務などの制度導入に加え、仕事の手順見直しや業務の連携強化なども行っている。

5位は共同印刷(20.9時間)。労使労働時間管理会議を開催し、労使で長時間労働削減に取り組んでいる。フレックスタイム制度の拡充や残業時間管理ツール整備や帰宅宣言カード活用などで成果を上げた。

以下、6位システナ(20.4時間)、7位北海道コカ・コーラボトリング(20.1時間)、8位ティーガイア(19.3時間)、9位日新(18.9時間)、10位ユニ・チャーム(18.8時間)と続く。

残業が多い業種・少ない業種

現状の残業時間は、業種別では建設業26.8時間(対象61社)、海運業26.2時間(同4社)などが多かった。一方で繊維製品8.9時間(同16社)、保険業9.4時間(同10社)などが少なかった。

ランキング対象466社のうち10年間で残業時間が減った会社は242社。逆に増加は220社だった(ほかに増減ゼロが4社)。各年の回答企業全社の月間残業時間の平均値は2012年度18.0時間(692社)に対して2022年度17.2時間(1002社)と10年間で残業時間は大きく変わっていない。世間では「残業削減」と盛んに言われているが、実現は簡単ではないようだ。





岸本 吉浩:東洋経済 記者

残業時間が10年間で大きく減った会社ランキング 1位の企業は残業時間の減少率92.7%を達成

東洋経済オンライン / 2024年5月27日 8時0分

労働時間の適正化、時間外労働の削減、年休取得の推進などを進め41.0時間から3.0時間に38.0時間減らし減少率92.7%総労働時間も年間1748.0時間の日本オラクルさんが残業削減率1位の取り組みされた企業さん。

PC強制シャットダウン、ノー残業デーの実施、有休取得促進、フレックス利用促進などで総労働時間を抑制したのが大東建託さんが残業削減率2位。
目標として過重労働防止を掲げ全社員対象のシフト勤務(時差勤務)やテレワーク、直行直帰推奨などの制度やIT環境整備をされ23.3時間減らした空間ディスプレー企画、設計大手の丹青社さんが残業削減率3位。
時差出勤、在宅勤務などの制度導入に加え、仕事の手順見直しや業務の連携強化等在宅勤務によるテレワーク容認で残業削減されたのが残業削減率4位で物流倉庫業の三菱倉庫さんで残業22.2時間削減。
労使労働時間管理会議を開催し、労使で長時間労働削減に取り組んでいる。フレックスタイム制度の拡充や残業時間管理ツール整備や帰宅宣言カード活用などで残業削減率第5位印刷DTP業界の共同印刷さんが残業20.9時間削減されました。
残業削減率6位システナさん残業20.4時間削減。
残業削減率7位北海道コカ・コーラボトリングさん残業20.1時間削減。
残業削減率8位ティーガイアさん19.3時間削減。
残業削減率9位日新さん残業8.9時間削減。
残業削減率10位バス・トイレタリー業のユニ・チャームさん残業18.8時間削減。


仕事でもプライベートでも書類には記名捺印が必要なわけでして、私はPDFやOffice書類等に押せる電子印鑑の取り組み助かりますと思う一方で象牙狩り問題に対処した象牙不使用の物理印鑑もあるとよいなと思ってます。


シヤチハタ社長 舟橋正剛氏 58

 朱肉の要らないハンコの代名詞となったシヤチハタ。コロナ禍で広がった押印廃止の荒波を乗り越え、「しるしの価値」の深掘りを進めている。舟橋正剛社長に聞いた。(聞き手・小川直樹、写真・青木瞭)

<インキ浸透式のネーム印市場のシェア(占有率)は首位。1968年の発売以来、累計出荷本数は1億9000万本を超えた>

 ネーム印を作っているメーカーだと思われているのですが、ほぼほぼ素材メーカーなんですね。

 スタンパーに使っているゴムを練るところから始まり、薬剤や塩を混ぜて理想のゴムを作る。インキのレシピも100%自社ですし、ゴムを成型するための金型も自社で作っています。そういう素材を組み合わせて製品にしてお届けするビジネスモデルです。

 シヤチハタはスタンプ台のふたを開けても表面が乾かない「万年スタンプ台」を開発したのが始まりです。戦後の高度経済成長期には、ゴムにインキを染みこませて必要な時にポンポン押せる「Xスタンパー」を発明し、「ウィンドウズ95」が出た95年には電子印鑑システム「パソコン決裁」を発売しました。

 自社のヒット商品を否定するような新商品を出しながら成長していく。メディアの取材でそんな美しいストーリーを作っていただき、非常にありがたいなと思っています。

 現実は、現状を否定するというよりは、危機感、危機感の連続で、次の柱にチャレンジしてきた歴史です。スタンプ台も、スタンパーも、電子印鑑も共存しています。結果として良いバランスで成長してきていると思っています。

<コロナ禍の時は「押印廃止」の逆風が吹き付けた>

 定番商品では少なからず悪い影響はありましたが、コロナ禍でリモートワークが広がったこともあり、電子印鑑のクラウドサービスを数か月間、無料開放したんですよ。

 すると、「これは便利だ」と認知度が高まったものですから、広告を大量投下しました。それでサービスの利用に火がついて、それまで2億円にいかないくらいの売り上げだったのが、5、6倍の10億円規模になりました。

 我々はIT企業ではありません。IT企業のサービスと同じ安全性を確保しながら、どう差別化するかを考えてきました。お客様から「承認したかはログを見ればわかる。ハンコはいらないよ」と言われればハンコは使っていなかったかもしれません。

 ですが、デジタル上でも個人名のハンコが押してあることで誰が承認したか、ぱっと見て判断できる。これまでの紙の文書と同じ方が便利だとのお客様の声が圧倒的に多かったんですね。

 新しいソフトを入れると、仕事のやり方を全部変えないといけないことが往々にしてあります。我々のサービスは、紙で使ってきたものをデジタルにするものなので、身近な仕事のやり方を変えず、手軽にDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組めます。「BPS=ビジネスプロセスそのまんま」を合言葉にしています。

 ネーム印は、大企業さんから中小企業さんにも使ってきていただいています。デジタルになっても、「シヤチハタ便利じゃん」と思ってもらわないと、使命を果たしたことにならないと思っています。

<最初の就職先は大手広告会社だった>

 新商品の販促プロモーションからイベント、広告を含めたマーケティングを考える部署に配属されました。けっこうむちゃだなと思ったのは、入って間もないのに、何億円もする案件を好きにやってみろと任せるんですよね。

 ある時、プレゼンテーション(提案)が全然通らない案件がありました。今回はだめかなと思いつつ最後のプレゼンに臨んだら、すんなり通ったんですね。大きな案件だったのでうれしくて。今まで全然だめだったのになぜかと思っていたら、あとで私の上司が広告主側と裏で交渉してくれていたことを知りました。

 アメとムチというと、あまりにシンプルすぎるのですが、こうすれば人は育つということを体感しました。

<シヤチハタに転じたきっかけは、父の舟橋紳吉郎社長(現会長)の話だった>

 子どもの頃から家業を継いでくれと全く言われずに育ちました。グローバルに仕事ができるビジネスマンになりたいと好き勝手にやらせてもらっていました。

 ある時、父と食事をした時だったと思いますが、「文具の流通が大きく変わってきている。もし将来的に帰ってくるつもりがあるんだったら、この変革期を肌で感じないことは大きな損失だろう。(シヤチハタに入るなら)今がそのタイミングだがどうだ」と話がありました。

 父はあれやれ、これやれと言う人ではなかったものですから、これはよっぽどだなと。それで帰る決意をしました。

<2008年のリーマン・ショック後、経費削減の波でネーム印を含む文具は会社支給から個人買いが広がった>

 うちの商品は9割以上、オフィスで使っていただくBtoB(企業向け)の商品でしたから、BtoC(消費者向け)の商品群を作らないとバランスが悪いと思いました。

 そこで便利に使える商品として、保育園に預ける紙おむつの名前書きをスタンプで済ませる「おむつポン」を発売しました。コロナ禍の時に売れたのは手洗い練習スタンプの「おててポン」ですね。せっけんをつけて約30秒洗うと落ちる仕組みです。

 工業用途にも力を入れています。橋などの建設現場で使う「ボルトライン」は増し締め確認用のしるしをペンでつけるのが大変だという話からスタンプでしるしをつける商品です。現場を見せていただくことで提案できることはまだたくさんあると思います。

 商品化を前提に新しいプロダクト(製品・デジタルサービス)のデザインを募る「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」もスタートから25年になります。昨年は1000件以上の応募がありました。既成概念をぶち破る提案を期待しています。

 オフィスで使われるスタンプは将来、半分以下になるかもしれませんが、その分、デジタルサービスが増えるでしょう。それでもどちらかに全部移行することはないと思っています。消費税のインボイス(適格請求書)制度導入や、電子帳簿保存法の改正ではスタンパーが売れました。

 BtoBも、BtoCも、デジタルも、商材をバランス良く出していき、「しるしの価値」を深掘りしていきたいと思っています。

〈NUMBERS〉100周年

 シヤチハタは1925年に舟橋商会として名古屋で創業し、2025年に節目の100周年を迎える。実は自身も還暦を迎える年でもある。次の100年に向けた第二の創業と位置づけ、主力のインキ浸透式のネーム印の次の柱となる商品を作り出す変革の通過点ととらえている。

 愛読ボロボロの「松翁論語」…松下幸之助氏の言葉を論語風にまとめた「松翁論語」(PHP研究所)の著者で、松下氏晩年の23年間、直接指導を受けた江口克彦さんと20年来の親交がある。今も毎月直接会って話を聞く機会があり、感銘を受けた言葉や、その背景をメモしているうちに本はボロボロになってしまった。人生観を変えた愛読書だ。

◇舟橋正剛(ふなはし・まさよし) 1965年愛知県生まれ。92年米リンチバーグ大学院修了。93年電通入社。97年シヤチハタ工業(現シヤチハタ)入社。常務、副社長を経て06年から現職。一般社団法人未来ものづくり振興会代表理事も務める。

コロナ禍に電子印鑑PR、「シヤチハタ」への逆風はね返す…おむつから建設現場まで「しるし」広げる

読売新聞 / 2024年5月26日 8時52分