白井邦彦さんの「今こそ停戦を」に賛同署名のご協力お願い申しあげます。 PDF魚拓













本日発表された声明文、および呼びかけ人は下記の次第です。

 「私たちは日本に生きる平和を望む市民です。
 ウクライナ戦争はすでに一年つづいています。この戦争はロシアのウクライナへの侵攻によってはじまりました。ウクライナは国民をあげて抵抗戦を戦ってきましたが、いまやNATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するにいたり、戦争は代理戦争の様相を呈しています。数知れぬウクライナの町や村は破壊され、おびただしい数のウクライナ人が死んでいます。同時にロシア軍の兵士もますます多く死んでいるのです。これ以上戦争がつづけばその影響は地球の別の地域にも広がります。ロシアを排除することによって、北極圏の国際権益を調整する機関は機能を停止し、北極の氷は解け、全世界の気候変動の引き金となる可能性がうまれています。世界の人々の生活と運命はますますあやうくなるのです。核兵器使用の恐れも原子力発電所を巡る戦闘の恐れもなお現実です。戦争はただちにやめなければなりません。

 朝鮮戦争は、参戦国米国が提案し、交戦支援国ソ連が同意したため、開戦一年と15日後に、正式な停戦会談がはじめられました。ウクライナ戦争では開戦5日目にウクライナ、ロシア二国間の協議がはじめられ、ほぼ一カ月後にウクライナから停戦の条件が提案されると、ロシア軍はキーウ方面から撤退しました。しかし、現実的な解決案を含むこの停戦協議は4月はじめに吹き飛ばされてしまい、戦争は本格化しました。以来残酷な戦争がつづいてきたのです。開戦一年が経過した今こそ、ロシアとウクライナは、朝鮮戦争の前例にしたがって、即時停戦のために協議を再開すべきです。Ceasefire Now!の声はいまや全世界にあふれています。

 幸いなことに、この戦争において、穀物輸出と原発については、国連やトルコなどが仲介した一部停戦がすでに実施されています。人道回廊も機能しています。こうした措置は、全面停戦の道筋となりうるのです。中国が停戦を提案したこともよい兆候です。ヨーロッパ諸国でも停戦を願う市民の運動が活発化しています。G7支援国はこれ以上武器を援助するのではなく、「交渉のテーブル」をつくるべきなのです。グローバル・サウスの中立国は中国、インドを中心に交渉仲裁国の役割を演じなければなりません。

 ウクライナ戦争をヨーロッパの外に拡大することは断固として防がなければなりません。私たちは東北アジア、東アジアの平和をあくまでも維持することを願います。この地域では、まず日本海(東海)を戦争の海にはしない、米朝戦争をおこさせない、さらに台湾をめぐり米中戦争をおこさせない、そう強く決意しています。No War in Our Region!―-私たちはこのことを強く願います。

 日本は1945年8月に連合国(米英、中ソ)に降伏し、50年間つづけてきた戦争国家の歴史をすて、平和国家に生まれ変わりました。1946年に制定した新憲法には、国際紛争の解決に武力による威嚇、武力の行使をもちいることを永久に放棄するとの第9条が含まれました。日本は朝鮮の独立をみとめ、中国から奪った台湾、満州を返したのです。だから、日本は北朝鮮、韓国、中国、台湾と二度と戦わないと誓っています。日本に生きる市民は日本海(東海)における戦争に参加せず、台湾をめぐる戦争にも参加することはなく、戦わないのです。

 私たちは、日本政府がG7の意をうけて、ウクライナ戦争の停戦交渉をよびかけ、中国、インドとともに停戦交渉の仲裁国となることを願っています。
 2023年4月5日
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この思いを声明にして、2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7広島サミットに出席する首脳たちに届けたいと思います。ぜひ、賛同署名をお願いします。
またG7広島サミットに出席する首脳に向けて新聞広告も出したいと思っています。こちらのクラウドファンディングにもぜひご支援、ご協力、周りへご紹介ください。↓
https://greenfunding.jp/sustena/projects/7234


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伊勢崎 賢治(東京外国語大学名誉教授・元アフガン武装解除日本政府特別代表)
市野川 容孝(東京大学教授)
上野 千鶴子(東京大学名誉教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授、武道家)
内田 雅敏(弁護士)
内海 愛子(恵泉女学園大学名誉教授、新時代アジアピースアカデミー共同代表)
梅林 宏道(NPOピースデポ特別顧問)
岡本 厚(元『世界』編集長・前岩波書店社長)
金平 茂紀(ジャーナリスト)
姜 尚中(東京大学名誉教授)
古関 彰一(獨協大学名誉教授)
小森 陽一(東京大学名誉教授)
酒井 啓子(千葉大学教授)
桜井 国俊(沖縄大学名誉教授)
鈴木 国夫(「市民と野党をつなぐ会@東京」共同代表)
高橋 さきの(翻訳者)
高村 薫(作家)
田中 宏(一橋大学名誉教授)
田中 優子(前法政大学総長)
田原 総一朗(ジャーナリスト)
千葉 真(国際基督教大学教授)
暉峻 淑子(埼玉大学名誉教授)
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
羽場 久美子(青山学院大学名誉教授)
藤本 和貴夫(大阪経済法科大学元学長)
星野 英一(琉球大学名誉教授)
マエキタ ミヤコ(環境広告サステナ代表)
水島 朝穂(早稲田大学教授)
毛里 和子〈早稲田大学名誉教授〉
吉岡 忍(作家・元日本ペンクラブ代表)
和田 春樹(東京大学名誉教授)
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 以上の趣旨にもしご賛同いただけるならぜひご署名をお願いしたく思います。署名は下記のサイトから可能です。一人の声は小さくても多くの人からそうした声が出されたら無視できなくなります。「数は力」です。
 キャンペーン · 「今こそ停戦を」賛同署名お願いします · Change.org
 署名にご協力の程重ねてお願い申し上げます。

 前回も述べたようにロシア憲法に「領土割譲禁止規定」があることから「停戦・和平交渉による領土回復」は不可能である、といった主張が一部で出されています。そうした議論がおかしい点3点を前回指摘しましたが、さらに2点を付け足したく思います。
4、昨年3月末のウクライナ側から出された和平案(結局合意には至らなかったが交渉の現場レベルではロシア・ウクライナ間で基本合意がされていた)には、ウクライナの現憲法と矛盾する項目も含まれていた。それは和平案の「ウクライナはNATOに加盟せず、新たにロシア・中国をも含めた多国間での安全保障の枠組みをつくる」という点である。現ウクライナ憲法(19年2月改定)には「将来的にNATO加盟を目指す方針」が規定されており、この和平案はそうした憲法規定とは明らかに矛盾する。しかしウクライナサイドからそうした提案もなされていた。
5、ロシア憲法の「領土割譲禁止規定」のロシア領とはどの範囲を指しどの範囲に関して有効なのか?現プーチン政権は当然、「ロシア政府がロシア領としているところ」という解釈だろうが、併合が国際的に認められていない「クリミア」「昨年併合したウクライナ領の地域」などはロシア側が憲法にこうした規定を定めたからといって「返還できない」という効力まではもたないはずである。こうした規定を憲法に定めても有効性をもつのは、「ロシア領として国際的に認められている地域」のみではないか。ロシア憲法の「領土割譲禁止規定」を根拠に「停戦・和平交渉による領土回復」は不可能、とするのはこうした憲法規定の有効性の限界を無視した議論ではないのか。

 日本市民として、ロシア憲法の「領土割譲禁止規定」を根拠に、「ロシア相手に交渉による領土回復は困難」と主張すると、「北方領土も交渉での返還は不可能で返還を求める以上武力奪還あるのみ」という議論に至ってしまうと思います。そうした主張がいかに危険なものかはいうまでもありません。ロシア憲法の「領土割譲禁止規定」を根拠に「停戦・和平交渉による領土回復」は不可能である、とする主張には、このような危険性があることを冷静に認識すべきではないか、と私は危惧しています。

白井邦彦
青山学院大学教授

https://note.com/brave_borage660/n/n9c9e66493a5a
「今こそ停戦を」に賛同署名のご協力お願い申しあげます。


白井邦彦

2023年4月5日 22:36