バンクシー本物?全国で発見相次ぐ 自治体は困惑も.バンクシーの新作に「そもそも公共の標識には落書きしていいのか」「彼の罪は?」盗んだ男をスピード逮捕もネットは疑問の声2023年12月24日 12時37分.本当に「バンクシー」作品!? 小池知事、ネズミの絵に歓喜も「器物損壊」の可能性2019年1月19日 9時17分弁護士ドットコム PDF魚拓



ロンドン南部で22日に公開された正体不明の芸術家バンクシーの新作を盗んだ男が23日、窃盗と器物損壊の容疑で逮捕された。交差点の道路標識を利用した作品が、公開から1時間もたたずに白昼堂々持ち去られていた。ネット上では、スピード逮捕に納得する声の一方、バンクシーにまつわるそもそもの疑問への書き込みも見られた。



バンクシーの新作を持ち去ろうとする人(AP)

 一時停止を示す「STOP」の標識に、軍用無人機を描いた作品で、パレスチナ自治区ガザ情勢など反戦を訴えたと見られる。作品がインスタグラムに公開されて1時間もたたないうちに、男2人が衆人環視の中、標識を取り外して持ち去った。居合わせた人が撮影した動画もネット上に出回った。

 一連の報道に、X(旧ツイッター)には「公共の標識には落書きしていいのか」「そりゃあんな大胆にやったら捕まるよね」「動画でバレバレでしたもんね」などの書き込みが挙がった。

 一方、「窃盗は罪なんだけど、冷静に考えたら交通標識に描くのは罪とならないのだろうか」「公共の設備にラクガキしてるバンクシーは、器物損壊で逮捕されない不思議」と、以前からあるような、バンクシーがなぜ罪に問われないかを疑問に持つ意見もあった。(写真はAP)

バンクシーの新作に「そもそも公共の標識には落書きしていいのか」「彼の罪は?」盗んだ男をスピード逮捕もネットは疑問の声

2023年12月24日 12時37分


世界的に知られている正体不明のアーティスト、バンクシーが描いた可能性がある落書きがこのほど、東京都港区の片隅でみつかった。東京都所有の防潮扉に描かれていたことから、都は1月16日、その扉を取り外して倉庫に保管した。今後、本物かどうか見極めるため、専門家に相談するという。仮に、本物だったとして、バンクシー本人は罪に問われるのだろうか。

●「10年以上前から防潮扉に描かれていた」

「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも? カバンを持っているようです」

ゆりかもめ「日の出駅」前で見つかった「傘をさしたネズミ」の落書きの前で、小池百合子知事が写真を撮影し、ツイッターに投稿した。バンクシーは、世界各地の路上や壁に社会風刺をきかせた落書きを残しており、オークションで「1億円」で落札された作品もあるほど人気だ。小池知事のはしゃぎようも無理もない。

仮に、今回の落書きが本物であれば、日本初と言われている。都・文化振興部企画調整課によると、この落書きは、10年以上前から防潮扉に描かれていたとみられる。同課がこの落書きの存在を認識したのは、2018年末に都民から情報提供を受けてからで、そのあとバンクシーと結びついたという。



●器物損壊は「親告罪」だ

しかし、ネット上では、小池氏の投稿を含めて、都の対応を冷ややかに見ているむきもある。その一つは、落書きは「犯罪だ」というものだ。西口竜司弁護士が解説する。

「芸術を理解しない私からすれば、何と言っていいのかよくわかりませんが、身も蓋もないことを言うと、落書きは『物の効用を害する』ことになるので、器物損壊罪にあたります。3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料が科せられることになります」(西口弁護士)

ということは、バンクシーも器物損壊に問われるのだろうか。

「仮に、バンクシーによるものだとしても、器物を損壊していますので、罪に問われるでしょう。有名だからといって、やっていいことと悪いことがあります。ただし、器物損壊罪は親告罪です。被害者、つまり東京都が告訴しないと起訴できません」(西口弁護士)

●「それほど悪質な落書きではなかった」

文化振興部企画調整課によると、これまでのところ、今回の落書きについては、被害届を出していないという。同課長は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、「もちろん、落書きは犯罪だ。しかし通常、落書きがあったからと言って、すべて被害届を出すわけではない」とコメントした。

また、10年以上も消すなどの対応がとられていなかったことについては、「美観を著しく損ねたり、防潮扉が閉まらなくなるような落書きがあれば、すぐ対応するのだと思うが、扉の片隅に描かれたもので、それほど悪質なものではなく、優先順位が低かったのだと思われる」(同課長)としている。

こうした作品には、所有権と著作権があり、所有権は東京都、著作権はバンクシーのものとなるのが、一般的な考え方だ。ただ、バンクシーの落書きは『その場所にある』ということにも価値があるとされる。今回、もしバンクシーによるものだった場合、東京都が今後、美術館に入れるようなことがあれば、本来の価値を喪失させることにもつながりかねないだろう。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/



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