男性に恋愛感情を抱かせた後、架空の設定で金に困っていると伝え、金をだまし取る「頂き」。渡邊被告も「悪いことをしているという感覚はあり、心は痛んだ」といいますが、精神安定剤をオーバードーズして、何も考えないようにしていたと話しました。
男性からだまし取った金のほとんどはホストクラブで使っていて、一番多く使った担当ホストである「狼谷歩(かみや・あゆむ)」こと田中裕志被告26歳に使った総額は、1億1000万円ほどにのぼるということです。
田中裕志被告も、渡邊被告が犯罪で得た金だと知りながらホストクラブでの飲食代として、現金約3400万円を受け取った罪などで起訴されています。
(検察側)「最終的な目標はどこにあったんですか?」
(渡邊被告)「担当に喜んでもらって、自分のことを良い子だなって思って欲しい気持ちだけだった。担当が1000万プレイヤーになりたいと願望を言っていたから、もっとお金をもらわなきゃと思った」
「ホストにお金を使えなくなったら、捨てられてしまうと思った」
起訴された詐欺事件のうち、1人の男性からだまし取った金額は1億円を超えています。被害者の男性は生命保険を解約するなどして、渡邊被告を助けようと金を支払っていました。
(弁護側)「頂き行為についてどう思っていますか?」
(渡邊被告)「被害者の人たちは私のうそを信じて、全部善意の心で私のことを助けようとお金を用意してくれたのにだましていたことは、申し訳ないと思っています」
さらには、「頂き行為」のやり方をマニュアルにして販売し、約2000万円を売り上げました。
(渡邊被告)「私のせいで私のことを慕ってくれる女の子が犯罪に手を染めてしまった。私が全部責任を取らないといけないと思っています。マニュアルを売らなければ良かったと後悔しています」
脱税については…
(弁護側)「なぜ納税しなかった?」
(渡邊被告)「税金を申告して払ってしまったら、ホストの担当にお金を使えなくなって、そうしたら捨てられてしまうと思ったからです」
検察側は「入れあげたホストの売り上げに貢献したいと、その原資を求めたもので、短絡的で身勝手極まりない。男性の恋愛感情につけ込んだ卑劣な犯行で、十分な計画性も認められるうえ、同種犯罪を助長した責任は重い」などとして懲役13年と罰金1200万円を求刑。
一方、弁護側は「単なる遊興ではなく、存在意義を見い出すためにやっていたことで、ホストに利用された被害者的側面もある。全国に名を知られるなど社会的制裁も受けた」などとして寛大な処分を求めました。
これまでの人生を振り返り渡邊被告は…
「親から愛して欲しかった」 今後は「ホス狂いにはならない」
(渡邊被告)「親から愛して欲しかったし、ちゃんと心を開けるような友達が欲しかった。体売ったり、詐欺しない生活が良くて、ホスト毎日頑張らなきゃって追い詰められる生活じゃなくて…普通の生活を送りたかったです」
いずれ社会復帰した後の将来について、渡邊被告は支援者に対し、悩む女の子たちのカウンセリングなどをしたいと手紙に綴っていたといいます。法廷でも…
渡邊被告は「私と同じような境遇の女の子が沢山いる。私と同じようになってほしくないので、勉強をたくさんして、ちゃんと知識を得て、資格を取って、そんな子たちを救えるように成長したい」と話しました。
ホストとの関わりについては、「またホス狂いになると、詐欺をしてしまうことになるから、支援者を裏切ることになる。そんなことはしたくないから、ホス狂いにはならない」と誓いました。
判決は4月22日に言い渡される予定です。