8050問題.農水大臣の子殺しの事例に限らず家庭内暴力DV虐待等が可視化されてきた令和の時代、扶養照会の廃止、民法の親子の扶養義務廃止し法的に親子の縁切り可能にし親世代も子世代も困ったら行政に助けを求められる仕組みにすべきと思う個人的意見

扶養照会の廃止と民法の親子の扶養義務廃止つまり生活保護と扶養義務のあり方についての意見書2015年(平成27年)3月20日近畿弁護士会連合会さんの内容を踏まえ現行民法における扶養義務者(絶対的扶養義務者)の範囲については、最大でも直系血族に限るべきであり、民法877条1項の扶養義務者について、「兄弟姉妹」の文言は削除するよう法改正がなされるべきで特別の事情があるときは三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができるとする民法877条2項の規定は不要であり、削除されるべきであり、直系血族においても扶養の範囲は同居の家族の範囲内に限られるべきで法的に親子の縁切り可能にし親世代も子世代も困ったら行政に助けを求められる仕組みにすべきと私は思ってます。
直系親族ならDV虐待するような親族であっても理由示さなくても戸籍や住民票見れる仕組みもやめたほうが良いと思います。
親族であっても他人だ、他人。ストーカーNO。


http://www.sugimotofujiosougoujimusyo.jp/article/16172861.html





ここで注意しなければならないのは、民法上の扶養義務が保護を受給する上での「要件」とはなっていないということだ。そのため、扶養が実際に行われなくても保護を受給することは可能である。



 生活保護制度は憲法に定められた「生存権」を実現するための法律であり、親族が扶養の義務を果たしていないことで、この「人権」の実現が妨害されるのは明らかに不合理である。後述するように、海外ではそもそも生活保護の要件に親族の扶養を設けていない場合も多いのだ。



 しかし、日本の生活保護法では、扶養の可能性についての照会自体は行われてしまうため、保護申請を親族に知られることになる。これが保護申請の大きなハードルとなっているのだ。



世界的にも稀に見る扶養義務の広さ



 上で見てきたような日本の扶養義務は、世界的にはどの程度の広さなのだろうか。下表を参照していただきたい。



生活保護問題対策全国会議「扶養義務
配偶者や親子以外にまで扶養義務が及んでおり、圧倒的に日本の扶養義務が広いことがわかる。

 また、ドイツを除く各国では、配偶者間と子どもに対する扶養義務ですら「同居」を前提としているため、そもそも同居していない人に扶養照会を行う必要性すらない。

 他方、ドイツでも日本と同様に扶養義務は生活保護に「優先」する関係にある。しかし、扶養を求めるかどうかを一義的には保護申請者に委ねているため、日本のように申請者の意に反して扶養照会を行うことはできないのである。



保護申請を妨げる扶養照会



 次に、日本の「広すぎる扶養義務」と扶養照会によって、生活保護の申請を妨げている実態を見ていこう。



 一般社団法人つくろい東京ファンドの調査によると、現在もしくは過去に生活保護の利用歴のある人の中で、扶養照会に抵抗感が「あった」と回答した人は54.2%と半数以上となっている。また、現在生活保護を利用していない人のうち34.4%が「家族に知られるのが嫌」だと回答している。



 NPO法人POSSEの生活相談窓口にも、新型コロナ禍であるにかかわらず、扶養照会があるために生活保護申請を躊躇している方からの相談が寄せられている。例えば、次のようなものだ。



 東京都内の24歳男性は、転職先の企業でコロナ感染者が発生し、新規採用をすべて取り消すと言い渡された。単発の仕事でしのいできたが、コロナの影響で仕事が入らなくなった。そのため、家賃や携帯代を滞納してしまっている。



 生活保護の申請も考えたが、父親に扶養照会を送ってほしくないため断念した。父親が子どものために貯めたお金を使いこむなどの金銭関係で両親が離婚しており、離婚後も養育費を払わないうえ、家を継げなどとしつこく言われて上京してきたという経緯があるからだ。



 佐賀県の54歳女性は、コロナの影響で介護の仕事が減ったことをきっかけに退職した。社会福祉協議会の特例貸付を借りて生活してきたが、期限切れとなってしまった。家賃や水道代を滞納している。



 生活保護も考えているが、兄弟に扶養照会をしてほしくないので躊躇している。実家住まいで看護の仕事をしていた時に、残業が多いことに対して「遊んでいる」「だらしない」などと悪口を言われるなど嫌な思いをしたからだ。



不合理な扶養照会



 さらに、扶養照会は生活保護申請を妨げる要因であるだけでなく、制度として不合理だと言わざるを得ない。



 つくろい東京ファンドが都内の自治体(足立区、台東区、大田区、荒川区、あきる野市など)を対象に調査したところ、行政による扶養照会が実際の扶養に結びついたのはわずか0~0.4%だったという。



 POSSEにも、年金生活をしている80代の高齢者や、大学生に扶養照会が送られたというケースが寄せられている。いずれも、明らかに扶養が履行できるとは到底思えない人たちに照会を行っているわけだ。



 つまり、扶養照会は保護申請を妨げる要因であるとともに、扶養の履行可能性もほとんどなく、職員の無駄な労働を費やしている有害無益な制度であるということだ。



 特に都内のケースワーカーは100世帯以上の受給者を担当していることも珍しくなく、長時間労働を強いられている上に、このような「ブルシットジョブ」(くそどうでもいい仕事)までも担わされている。



労働者が「出入り」しやすい制度のために、扶養照会は廃止を



 以上のように、日本では世界的に見ても異様なまでに広範な扶養義務を求められ、扶養照会が生活保護の申請を妨げる大きな障害となっている。しかもそれは、ほとんど扶養の履行可能性のない、無益な制度ですらあった。



 こうした不合理な制度に対し、つくろい東京ファンドが「扶養照会を実施するのは、申請者が事前に承諾し、明らかに扶養が期待される場合のみに限る」よう、署名活動を展開している。



署名サイト「困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてください!」



 筆者としても、このような政策提言を支持する。そして、さらに一歩進んで「扶養照会の廃止」を求めたい。



 なぜなら、休業や解雇・雇止めが頻発するコロナ禍において、緊急避難的に「普通の労働者」が活用しやすくすることが、今まで以上に求められているからである。非正規雇用が増加する中で、こうした傾向は今後も続くだろう。



参考:生活保護制度の「抜本的な改革」を 「出入り」しやすい制度へ



 生活に困窮した労働者が生活保護を使うことができなければ、消費者金融やカードローンなどで借金を重ねてしまったり、劣悪な環境の労働を強いられ、心身ともに消耗させられてしまうなど、より一層追い詰められ、再起不能な状況になってしまいかねない。



 さらに、これまでは「特殊な貧困者」に限定されていた生活保護は、ワーキングプアの人たちにとっては「特権的」なものにすら映ってしまっていた。「働かずに税金で生活できるのはずるい」というわけだ。こうした不公平感も、多くの労働者が利用しやすくすることで、緩和されるだろう。



災害や感染、経済危機が頻繁に起きる現代においては、多くの人にとっていざというときに「生存権」が保障されることが、ますます重要になっている。



 現在も緊急事態宣言で「普通の労働者」の生活が脅かされる中、扶養照会の廃止は待ったなしだ。



無料生活相談窓口

NPO法人POSSE(NPO法人POSSE)

電話:03-6693-6313

メール:seikatsusoudan@npoposse.jp

受付日時:水曜18時~21時、土日13時~17時、メールはいつでも可

*社会福祉士や行政書士の有資格者を中心に、研修を受けたスタッフが福祉制度の利用をサポートします。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/246ceb04a7b7688bf0b3b0a906db011b878d9d07
生活保護の扶養照会の「闇」 行政が大学生や80代の高齢者にも要求



今野晴貴



NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

2021/1/24(日) 9:00



コロナ禍の経済的影響で、国内の貧困が急拡大しています。私たち生活困窮者支援に関わる団体・個人は、昨年春以降、コロナの影響で生活に困窮している方々への緊急支援活動に取り組んできました。

しかし、困窮されている方に対して、私たち支援者が生活保護制度の利用を勧めても、「生活保護だけは受けたくない」と拒否感を示される方が多く、対応に苦慮しています。すでに住まいを失い、路上生活となり、所持金が数十円、数百円という極限の貧困状態になっていても、生活保護の申請をためらう人は少なくありません。

そこで、私が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドでは、生活保護制度の利用を妨げている要因を探り、制度を利用しやすくするための提言につなげるため、年末年始の生活困窮者向け相談会に来られた方々を対象に生活保護利用に関するアンケート調査を実施し、165人の方から回答を得ることができました。

このうち、現在、生活保護を利用していない方128人に、生活保護を利用していない理由を聞いたところ、最も多かった回答は「家族に知られるのが嫌」(34.4%)という理由でした。20~50代に限定すると、77人中、33人(42.9%)が「家族に知られるのが嫌」を選んでいました。

また、生活保護を利用した経験のある人59人中、32人(54.2%)が扶養照会に「抵抗感があった」と回答しています。

扶養照会とは、福祉事務所が生活保護を申請した人の親族に「援助が可能かどうか」という問い合わせをおこなうことです。

厚生労働省は、DVや虐待があった場合は問い合わせをおこなわず、20年以上、音信不通だった場合や親族が70歳以上の場合など、明らかに扶養が見込めない場合は問い合わせをしなくてもよいと各自治体に通知をしていますが、この通知を遵守せず、「申請したら親族に連絡をさせてもらう」と言って、申請をあきらめさせようとする自治体も一部に存在します。

厚生労働省は昨年12月よりホームページ上で、「生活保護の申請は国民の権利です」という特設ページを新設し、生活保護制度の積極的な広報に乗り出しましたが、扶養照会は生活保護を権利として利用したいと思う人たちに大きな壁として立ちはだかっています。

扶養照会は生活保護申請のハードルを上げるだけで、有害無益であることも判明しています。足立区によると、2019年度の生活保護新規申請件数は2,275件でしたが、そのうち扶養照会によって実際の扶養に結びついたのはわずか7件(0.3%)でした。親族関係の調査にかけた職員の手間や、問い合わせのための郵便の送料等がほとんど全部、無駄になったことになります。

私は前時代的な扶養照会という仕組み自体をなくすべきだと考えていますが、コロナ禍で生活困窮者が急増しているという現実を踏まえ、まず下記のように扶養照会の運用を最小限に限定することを求めます。

・扶養照会を実施するのは、申請者が事前に承諾し、明らかに扶養が期待される場合のみに限る。

生活に困窮している人を制度から遠ざける不要で有害な扶養照会はやめてください。

https://www.change.org/p/%E5%9B%B0%E7%AA%AE%E8%80%85%E3%82%92%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%8B%E3%82%89%E9%81%A0%E3%81%96%E3%81%91%E3%82%8B%E4%B8%8D%E8%A6%81%E3%81%A7%E6%9C%89%E5%AE%B3%E3%81%AA%E6%89%B6%E9%A4%8A%E7%85%A7%E4%BC%9A%E3%82%92%E3%82%84%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84?utm_content=cl_sharecopy_26824535_ja-JP%3A0&recruiter=44936622&utm_source=share_petition&utm_medium=copylink&utm_campaign=share_petition&use_react=false
困窮者を生活保護制度から遠ざける不要で有害な扶養照会をやめてください!



コロナの影響による生活困窮の多くは「普通の労働者」

 私が代表を務めるNPO法人POSSEに寄せられる生活相談は、コロナ以前には病気や障害を抱えた「働けない人たち」が多く、全体の7割以上が障害・傷病者を抱える世帯であった。



 しかし、コロナの感染が拡大した昨年4月~6月の相談を集計すると、404件中382件と9割以上が労働問題に起因する生活困窮であった。つまり、「働ける人たち」からの相談が多く寄せられているのだ。



 主な要因別としては、「休業・勤務日数減」が193件、「解雇・雇止め」が58件、「仕事が見つからない」が73件などとなっている。



 冒頭に述べたように、コロナ禍で利用可能なさまざまな支援策も期限があったり、内容が十分ではないために、最終的には生活保護以外の選択肢がない場合も珍しくはない。そのような状態に多くの「普通の労働者」がおかれていることが、現在の特徴なのである。



 ところが、生活保護制度はこのような「普通の労働者」が生活に困った時に利用する際に、非常に使いづらい運用がなされている。



預貯金はほとんど認められない



 生活保護を受けるための基準は、主に収入と資産であり、これらは受給に際して審査の対象となる。そのうち資産として障害になりやすいものとしては預貯金、自動車、持ち家などが挙げられる。まずは、預貯金から見ていこう。



 生活保護申請時に認められる預貯金は、最低生活費(生活保護基準)の半分までである。具体的には、東京都内の単身者の最低生活費が約13万円なので、6万5千円程度となる。このように、預貯金がほぼなくなるまで保護が受けられない。



 預貯金がほぼない状態で保護を開始した場合、保護費で貯金することは非常に難しいため、仮に保護を脱却できたとしても、ほぼ無貯蓄状態の生活を続けなければならず、非常に不安定な立場に置かれ続けるという、大きなデメリットがある。



 なお、家賃補助を行う住居確保給付金では、(住民税非課税となる収入の12分の1)×6が預貯金の基準額となっており、東京都内単身であれば50万円余りの保有が認められている。せめて、これくらいの水準で生活保護でも保有を可能にするべきではないだろうか。



自動車は原則保有不可、ただし例外あり



 次に、特に地方では生活必需品とも言える自動車であるが、生活保護では原則保有が認められていない。ただし、通院と通勤目的に限って、障がい者の方や公共交通機関の利用が困難な地域での保有が例外的に認められている。



 また、保護申請時に失業などで就労していない方が、おおむね6か月以内に就労によって保護を脱却する見込みがある場合には、自動車の処分が保留される。この点については、昨年4月に緊急事態宣言が出された際に、厚労省が改めて各自治体に通知を出している。



 つまり、働ける労働者が生活保護を利用する際には、自動車を持ち続けることが可能であるということだ。しかし、自治体によっては一律に自動車保有を認めないとして、保護申請を受け付けない違法な運用を行っている場合もあるので、注意が必要だ。



 実際、地方では自動車を失うことで就労の範囲が狭まってしまい、生保の受給がかえって就労の機会の阻害ともなりかねない。「貧困者の救済」を主としたターゲットにした制度運用が、まさに「普通の労働者」の利用を妨げてしまう構図である。



持ち家は原則保有可能



 最後に、持ち家については原則保有可能である。ただし、認められない場合は次の通りだ。
(1)住宅ローンが残っている場合
特に、(1)は稼働年齢層の労働者にとっては厳しい規定である。住宅ローンが返済できないほど生活が苦しい場合にも、持ち家を売却しなければ保護をうけられないということになってしまう。生活保護では借金があっても利用可能となっているから、同様に住宅ローンも認めるべきではないだろうか。

労働者が利用しやすい制度に変えていくべき

 以上のように、生活保護では保有が認められる資産の範囲が非常に狭くなっており、ほとんど無資産の「身ぐるみ剝がされた」状態でないと受けられないという問題がある。



 コロナに関連する休業や解雇・雇止めがあった際に、緊急避難として労働者が活用しやすくなるためには、保有できる資産の拡大が必要だろう。



 すでに厚労省は自営業者等に関しては、「臨時又は不特定就労収入、自営収入等の減少により要保護状態となった場合」、「緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合には、増収に向けた転職指導等は行わなくて差し支えない」とし、「自営に必要な店舗、機械器具類の資産」(自動車も含まれる)は保有を認めるよう指示している。



参考:緊急事態宣言でも飲食店経営者は諦めないで 店舗、器材をそのままに一時的な生活保護利用も可能(藤田孝則)



 つまり、コロナ禍の間、自営業者は再起の準備をしたまま生活保護を受けられるということだ。こうした措置は極めて画期的であるが、同様の措置は労働者全般にも広げられるべきだろう。



 「普通の労働者」が再起困難な貧困状態に陥ることなく、出入りしやすい制度に変更すれば、多くの人の生活を守ることができるし、福祉の不公平感の緩和にもつながるはずだ。



 実際に、ヨーロッパでは平時から労働者が生活保護(公的扶助)を利用しやすいように、一定の資産の保有を認めている。例えば、ドイツでは1600ユーロ(約21万円)、イギリスでは16000ポンド(約234万円)の保有が認められ、フランスに至っては資産調査すらない。



 コロナ禍が「普通の労働者」の生活を全面的に脅かしている今こそ、抜本的に制度設計を改める時ではないだろうか。



無料生活相談窓口

NPO法人POSSE

電話:03-6693-6313

メール:seikatsusoudan@npoposse.jp

受付日時:水曜18時~21時、土日13時~17時、メールはいつでも可

*社会福祉士や行政書士の有資格者を中心に、研修を受けたスタッフが福祉制度の利用をサポートします。


生活保護制度の「抜本的な改革」を 「出入り」しやすい制度へ



今野晴貴



NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

2021/1/17(日) 10:24






長期高齢化するひきこもり。その理由を池上さんは現在の社会構造にあると指摘します。

「必ずしも、不登校の延長だけではなく、誰でもひきこもりの状態になり得るという状況が今あると思います。1つには、一度レールから外れるとなかなか戻れない社会の構造になっているということがあります。履歴書社会で雇用関係も大きく変わってきて、コスト競争などが激しくなり、非正規や派遣の数も増大している。そういう中で、非常に職場の環境自体がブラック化していて、そこで傷つけられる、あるいはものすごい働かされるということで、自分がこのまま職場にいたら壊されてしまうという危機感から、防衛反応としてひきこもらざるを得ない人たちが増えているという現状があるのかな、と思います。」(池上さん)
精神疾患や障害が要因になっている場合も

NHKには不安を抱えているという当事者の方々からも声が寄せられました。

「私自身、現在無職のひきこもりです。10代からの精神疾患のため何度もそこから抜け出そうとしていますが、気づいたら40歳で怖くて死にたい気持ちです」(にこ・40代女性・福岡県)

「大学中退後、10年以上ひきこもり。職歴もバイト歴もなし。両親は定年を迎え年金生活。自分はもう人生諦めてる。」(年金滞納中・30代男性・滋賀県)

家族からも届いています。

「45歳無職独身実家住まい。私は難病を抱える精神障害者。弟は20年以上ひきこもり。父は要介護2の身体障害者。母が倒れたら一家心中するしかない。」(みもざ・40代女性・奈良県)

寄せられた声には精神疾患や障害があるという方が多く見受けられましたが、必ずしもそういう方ばかりではないと池上さんは言います。

「ひきこもりの方たちの中には確かに精神疾患を抱えた人たちもいるんですけども、一方で社会的ストレスで、今の生きている社会から自分を守るために、命を守るために、あるいは尊厳を守るためにひきこもらざるを得なくなっている人たちが、最近増えているような傾向がありますね。」(池上さん)
作家で詩人の豆塚エリさんはこう話します。



「私は身体障害者なんですけど、『障害者』って認められて楽になったことって結構たくさんあるなって思って、健常者のときのほうが社会の目線や風当たりがきつかったけれど、障害を持っているからという理由で少し甘く見てもらえる部分がでてきたりするのかなぁと思っています。でも障害の認定をまだされていない方とか、まだグレーゾーンにいる方っていうのはすごくキツイ思いをしているんじゃないのかな、と思いました。」(豆塚さん)

知られたくないから隠す 社会につながれないひきこもり

番組には次のような声も届いています。

「ひきこもりをなおしたいから、両親から逃げたいのに逃げられない。社会保障の生活保護も親が邪魔して受けられない。」(さと・男性30代・沖縄県)

「支援とつながってない人たちがたくさんいて、家族そのものが社会や支援とつながってないというケースがあります。例えば今、医療も受けられなかったり、生活保護にしても、障害の手帳にしても、それを認めない、自分の子どもがそういう状態だと認めない、という親によってですね、隠されてしまうという。もう監禁状態におかれていることによって、じゃあ本人たちはこれからどうすればいいのか、どう生きていけばいいのか、わからなくなっているという現状があるのかなと思います。」(池上さん)



では、どうして『認めない』ことになってしまうのでしょうか? ひきこもることが恥だと親も思い込まされているのでしょうか。

「生きるっていうことがいちばん大事なはずなのに、生きることよりも、他人との比較とか、評価とか、横並び的に考えてしまって。自分の子どもに障害があったり、ひきこもっていることが恥ずかしい、と。あまり知られたくないという感情のほうが、生きることよりも優先されてしまうという現状がある、という感じがします。働くことが前提というふうに社会が設計されているので、親も本人たちも『働かない自分はダメなんだ』と否定に入ってしまって、どんどん追い詰められている感じがしますね。いろんな生き方がある、多様な生き方がある、ということを、もっと家族が認めて肯定しないと状況は改善していかないと思います。」(池上さん)

就労ありきではない多様な支援を

ひきこもりが長期高齢化している人たちがいる中で、これからどのような支援が必要なのでしょうか。 数年前に親を亡くしたという40代のひきこもり当事者の女性からの声です。

「私自身のいちばんの不安は、やはり金銭面と生活面のことです。『母が生きているうちに、なんとか自立したい!』と思って、これまでいろいろ頑張ってきました。現在は母が残してくれたお金でなんとか生活している状況なのですが、それもだんだん少なくなり、仕事ができるようになるまで、毎日不安でたまらない日々を過ごしています。」(匿名・40代女性・地域不明)

池上さんは長期高齢化するひきこもりの対策として、就労ありきという考え方を見直すべきと指摘します。
「支援のメニューの選択肢が少なすぎると思います。就労というのが1つのゴールになっていて、就労ありきの支援というものしか事実上なかったと思うんです。実態調査を行って、課題が何なのか、何を当事者たちが求めているのかを知った上でメニューを構築していかなければならないと思います。」(池上さん)



都道府県や政令指定都市には「ひきこもり地域支援センター」というものがあります。支援の対象を39歳までと年齢で区切ってしまっている場合はお住まいの市町村にある、「生活困窮者支援窓口」へご連絡ください。「生活困窮」という名前ではありますが、ひきこもっている本人や家族の相談・支援も行っています。

※この記事はハートネットTV 2018年4月24日放送「HEART-NET TIMES 4月」を基に作成しました。情報は放送時点でのものです。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/96/
「8050問題」とは? 求められる多様な支援

記事公開日:2018年08月23日



私も一時期、生活保護ためらった理由が私のことをDV虐待してくる親族等に居場所知られたくない.、身バレしたくないだから。
自治体の方に扶養照会しないで、ってお願いしました。







「最終的には生活保護」と答えたことから、生活保護への関心が高まり続けている。現在、厚労省は「生活保護は権利」「ためらわずに申請を」と広報しているのだが、実態は「権利だから、必要ならためらわずに申請して利用できる」という制度ではない。

 生活保護への「ためらい」をもたらしている最大の要因は、「扶養照会」が行われて“家族バレ”する可能性である。「最終的には生活保護」という菅首相の発言の是非はともかく、生活保護を必要なら使える制度にするためには、「扶養照会」を撤廃する必要があるはずだ。

 タイミングを逃さずに、経験者の声を集めて広く伝えた支援団体などの動きに呼応する形で、2月4日、田村憲久厚労相は扶養照会の適用を緩和する方針を示した。また8日の衆院予算委員会で、菅首相は扶養照会を「より弾力的に運用」できるように検討していると述べた。ただし2月10日時点では、「より弾力的に運用」の内容は明らかになっていない。また菅首相は、扶養照会そのものの撤廃については否定している。

 同じ2月8日、一般社団法人つくろい東京ファンドと生活保護問題対策全国会議は合同で、厚生労働省社会・援護局保護課に対し、扶養照会の見直しに関する要望を行った。

 そもそもの問題は、扶養照会の位置づけの不明確さにある。扶養照会が必要であることは、生活保護法に規定されている。しかし、生活保護の申請を受けた福祉事務所は、申請者の親族の誰にどのような扶養照会を行うべきなのだろうか。あるいは、どのような場合に扶養照会を行わないようにしなくてはならないのだろうか。法律家や行政のエキスパートが通知類を総合しても、「イミフ」なのだ。
DVや虐待から生き延びた人々を
かえって追い詰めてしまうことも

 たとえば、「高額所得者である配偶者の暴力から逃げてきた」「多大な資産を持つ親の虐待から逃げてきた」という人が生活保護を申請している場合、その配偶者や親に対して「民法上の扶養義務者だから」という理由で扶養照会を行うと、本人の生命や心身が脅かされることになる。

 もちろん、厚労省の通知には、このような場面でも「扶養照会を行うべき」とは書かれていない。しかし、「扶養照会はダメです」とも書かれていない。そこにあるのは、扶養照会をすべきではないと考えて「差しつかえない」、あるいは、扶養は期待できないと考えて「差しつかえない」という文言だ。少なくとも、福祉事務所が扶養照会を行うことは禁止されていない。

 実際に扶養照会が行われてしまうと、何が起こるか。つくろい東京ファンドには、数多くの体験談が寄せられている。

 難病を患う30代のシングルマザー・Aさんは、妊娠中に失職した。現在は治療を受けつつ、生まれた子どもと共に生活保護で生き延びている。夫とは、出産以前に別れている。兄弟姉妹もいない。Aさんの父親は、母親とAさんに暴力をふるい続けていた。Aさんは、中学生のときに母親と共に逃げ出し、母子で暮らしていた。その母は、すでに他界している。

 生活保護の申請を受け付けた福祉事務所職員は、20年間音信不通となっているAさんの父親に対して、扶養照会を行った。Aさんは過去の事情を話したのだが、「規則だから」「扶養照会をしなければ申請は受け付けられない」と言われてしまい、仕方なく扶養照会に同意したという。父親は扶養照会によって、母とともに逃げたAさんの住所を知ることとなった。すると、何が起こったか。
「私の父親は、何度も住まいに押しかけてきました。子どものための手当や一時金の振込先は、父親の口座に変更されて奪われました。保護費も、家の中の家電製品なども、父親に奪われました」(Aさん)

 生活保護によって「健康で文化的な最低限度の生活」を送れるはずの母子は、扶養照会によって、生活費も生活必需品も奪われる生活を強いられることとなった。

 その後、Aさん親子は転居し、いつ父親がやってくるか怯える状況から解放された。

「今は安心して暮らせていますが、あのときの恐怖は忘れられません。DV加害者への扶養照会は禁止してほしいです」(Aさん)

 扶養照会は、本人の生活や安全を脅かしただけではない。福祉事務所にも、転居費用という負荷をもたらした。

扶養照会が破壊する
なけなしの信頼と“絆”

 妻子と別れたBさんは、生活保護を申請した際、子どもが成人したら「扶養照会をする」と言われたということだ。

「拒否したかったですけど、生き延びたかったので応じました。今からでも取り消したいです。離婚した元家族に、心理的負担を負わせたくありません」(Bさん)

 関西在住のCさんは、生活保護の申請にあたり、扶養照会を断ることができなかった。もともとCさんは、両親や兄弟姉妹と絶縁状態だった。

「扶養照会された後、両親や兄弟姉妹が、私の悪口を言いふらしています」(Cさん)
扶養照会によって、家族のホンネが顕わになってしまうこともある。両親から愛される兄を見ながら虐待を受けて育ったDさんは、家族から離れて自活することに成功していたが、虐待後遺症が悪化して働けなくなった。生活保護を申請すると、両親を含む家族に扶養照会が行われた。

 両親が気にしたのは、「自分たちは仕送りをしなくてはならないのか」という点であった。両親は比較的裕福なのだが、すでに成人しているDさんを扶養する義務はない。そのことをDさんが説明すると、母親は「ホッとしていた」そうだ。

「母は昔から、私にお金をかけることを嫌っていました。扶養照会のとき、『働けて生産性のある兄と違う弟には、少しのお金もかけたくない』というホンネが見えました」(Dさん)

親族に扶養を求めることは可能だが
実際に扶養されることは非常に少ない

 そもそも、血縁者の誰かが生活保護を必要とするとき、他の血縁者にも経済的な余裕はないことが多い。裕福かつ関係の円満な血縁者がいるのに扶養を行っていない場合には、福祉事務所が家庭裁判所に申し立てて扶養を求めることが可能なのだが、実際に扶養を求める結果となることは非常に少ない。2019年は、全国で678件だった。生活保護世帯を約165万世帯とすると、その0.04%に過ぎない。

 関西の都市部で生活保護を申請したEさんは、地方で貧困状態にある母親に扶養照会された。

「母は、障害者の姉と2人暮らしです。母の老齢年金と姉の障害年金で暮らしています。年金は、2人合わせて月あたり12万円です」(Eさん)

 持病の治療費などを考慮すると、母と姉にも生活保護の利用資格がありそうだ。
血縁者同士の関係が、扶養照会で壊れることもある。特に地方では、福祉を利用することに対する偏見が現在も根強く、生活保護の扶養照会がもたらす影響は大きくなりがちだ。「縁を切られた」「怒鳴られた」といった体験は数多い。

 また「同じ自治体や近隣の自治体に血縁者が住んでおり、福祉事務所の窓口にいるのは近所の住民」といった状況にあることから、生活保護の申請をためらう人々もいる。「生活保護で暮らしている」という情報が一度漏れると、生涯にわたって近隣コミュニティから排除される地域もある。偏見や差別をなくす取り組みと、生活保護そのものを変える取り組みは、いずれも必要だ。

福祉事務所の判断によって
明暗が分かれてしまう不条理



本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 扶養照会には、数多くの問題がある。そもそも、「本人に代わって、福祉事務所が血縁者に扶養を求める」という手続きが存在すること自体に、問題が含まれている。現在の制度でも、扶養照会は「扶養を期待できそう」「相手も扶養する気がありそう」という場合に限定して行ってよいのである。

 しかし、現在の通知通達類は、「基本、扶養照会は三親等内の血縁者全員に対して行うべき」「扶養照会をしなくても『差し支えない』例外があるが、その場合も禁止されているわけではない」と読み取ることも可能な内容となっている。結果として、生活保護の申請をためらわせる仕組みとして、極めて有効に機能してしまっている。

 現在のところ、貧困は「自己責任」であり、生活保護を申請して扶養照会をされてしまうのは「自己責任」であり、福祉事務所が扶養照会を行ったり行わなかったりすることによって負担や予想外の成り行きに苦しむことも、「自己責任」ということなのかもしれない。

 しかし、扶養照会の目的と範囲と内容、そして扶養照会をしてはならない場面の明確化は、貧困が「自己責任」であってもなくても求められているはずだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

https://diamond.jp/articles/-/262441
生活保護の「扶養照会」が破壊する家族の絆、娘と孫を搾取する虐待父も

みわよしこ:フリーランス・ライター

ライフ・社会 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

2021.2.12 3:55







 生活保護の扶養照会に
仕込まれた「バグ」とは

 コロナ禍で先行き不透明な状況が続き、生活保護への期待が高まる中、福祉事務所から民法上の扶養義務者へ「仕送りできませんか?」などと問い合わせる「扶養照会」の存在理由が問われている。

 筆者が時折受ける相談の1つに、「かつて自分に家業の後継を強制しようとして脚を引っ張った田舎の親兄弟を、生活保護を申請してギャフンと言わせたい」というものがある。相談の主は、経済的には全く困っていない。それでも、現在の生活保護と扶養照会の仕組みを活用すれば、目的を達することは可能かもしれない。

 生活保護の申請は、日本国民に保障された権利である。本人が富裕層であっても同様だ。申請の際には、収入と資産の状況、居住の状況が分かる書類を持参するとよい。その際、親族の状況についても聞き取りが行われたり、記入を求められたりするであろう。親族の住所や氏名は隠さずに述べ、過去や現在の確執については黙っておけばよい。

 申請を受け付けた福祉事務所は、原則として2週間以内に保護の可否を判断し、書面で本人に通知する。むろん、本人の収入や資産、居住状況についての調査が行われるのだが、もともと所得を全て税務署に把握されている職業に就いており、資産隠しも行っていないのであれば、失うものは何もない。ただ、生活保護の対象にならないだけである。

 この間、親族は「あなたの息子さん(お兄さん)のAさんが、B市役所に生活保護の申請に来ました」といった通知を受け取った後、「Aさんに仕送りなどの援助はできませんか」という扶養照会の書面を受け取ることになるであろう。もしかすると、いきなり扶養照会の書面がやってくるかもしれない。その書面は、3親等内の扶養義務者に届く。親や兄弟は、自分自身の兄弟やおじ・おばなどからの「どういうこと?」という電話を、立て続けに受けることになるだろう。体面を重んじる地方名士を「ギャフン」と言わせるのには、充分である。

 もっとも筆者は、こうした内容の問い合わせに回答するとき、「本来の業務だけで大変な思いをしている福祉事務所を、そういうことで困らせないでほしい」と一言添える。そして現在のところ、紳士淑女である友人知人たちは、1人も実行に移していない。

「扶養照会」には、もともと壊れている親族の絆を木っ端微塵にする威力がある。このような利用が可能な「バグ」があるというより、今となっては存在自体が「バグ」になっていると見るべきであろう。

扶養照会の曖昧さに見る
厚労省の立ち位置とは

 福祉事務所にとっての扶養照会は、「法に定められた義務ではないが、原則、することになっている」というものである。生活保護の申請件数を抑制したい場面では、「申請したことが扶養照会によって親族バレしますよ?」という一言は、有効な武器となる。また、「扶養義務者が、本人を虐待した親やDV加害を行った配偶者である」など、「扶養照会を行わなくてもよい」とされる場面は存在するのだが、明確に「してはならない」と決められているわけではない。

 この曖昧さは、現時点までの厚労省自身の宿命でもある。生活保護は、必要に応じて利用されるべき制度であるが、国家予算を掌握しているのは財務省である。財務省は1950年から、一貫して生活保護の利用抑制を求めている。厚労省は「生活保護の利用は抑制すべき」と言える立場にはない。しかしながら、「暴力団関係者」「外国人」「働けるのに働かない人」「医療が無料なので無駄な治療を受けたがる人」といった分かりやすい対象をシンボルとして、利用抑制を促進してきた経緯はある。
「生活保護は、遠慮せずにどんどん使ってください」と言いたくても言えない厚労省が、2020年、利用しやすくする方向で数多くの通知を発し、年末に「ためらわずに」利用するようにと呼びかけたのは、革命的な出来事であった。

 ところが、生活保護の利用を抑制する大きな要因となっている扶養照会については、現在のところ、厚労省は見直すつもりがないらしい。2月26日、扶養照会についての見直しを行う通知が発行されたものの、「見直した」といえるのかどうかも微妙なマイナーチェンジに留まっている。

「公助」と「自助」は
どのような関係にあるのか

 生活保護のような「公助」による公的扶助と、親族による扶養のような「自助」は、どのような関係にあるのだろうか。ざっくり類型化すると、以下の4通りとなる。

(1)生活に困窮した人は、親族が扶養しなくてはならない。扶養を怠り「自助」を行わない親族に対しては、刑罰を課す。

(2)生活に困窮した人は、親族が可能な限り扶養しなくてはならない。親族の経済力が薄いなどの事情があり、「自助」ではどうにもならない場合、「公助」で公的扶助を適用する。

(3)生活に困窮した人は、「公助」である公的扶助に優先して、なるべく親族による扶養などの「自助」が行われることを期待する。しかし法で義務とするようなことはせず、生活に困窮していれば「公助」で救済する。事実として仕送りが行われたら、公共がありがたくいただく。

(4)生活に困窮した人は、「公助」によって救済する。親族による扶養などの「自助」は求めない。

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DVや虐待を客観的に証明することは可能か

 現在の生活保護法は「3」に該当する。しかし、生活保護法が施行された1950年からの70年にわたる時間の流れは、「3」を時代遅れにしつつある。またこの間、貧困の拡大と格差の固定が進行した結果として、親族による扶養を含め、「自助」の余地は激減している。

 なお、「1」~「3」の類型化と整理は、生活保護制度を創った厚生官僚・小山進次郎氏が1950年に刊行した著書『生活保護法の解釈と運用』に掲載されているものである。「4」は筆者が追加した。当時の世界の社会保障の最先端というべき達成は、70年の時間が経過しても色褪せていない。生活保護での扶養の考え方は、次のように示されている。

「公的扶助に優先して私法的扶養が事実上行われることを期待しつつも、これを成法上の問題とすることなく、単に事実上扶養が行われたときにこれを被扶助者の収入として取り扱うものである」

 1950年の最先端は、2021年現在、さらなる洗練へと向かっているだろうか。

DVや虐待を客観的に
証明することは可能か

 2月26日に厚労省が発した通知では、扶養義務を求める意味がない場面の類型が明確化された。この場合は扶養照会を行わなくてもよいため、福祉事務所の負担は軽減されると期待したい。

 ところが内容を見てみると、これまでの「長期入院患者・働いていない人・高齢者・たとえば20年間音信不通など関係が途絶えている人」に、「扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している等の事情がある、縁が切られているなどの著しい関係不良の場合等」が加えられ、音信不通の場合は「10年程度」と短縮されたのみである。
また、これまでも扶養照会をしなくてよいとされてきたDV被害者に、親からの虐待被害者が追加された。成人後も深い傷跡を残す幼少時の虐待が、生活保護の運用の中で位置づけられたのは喜ぶべきことかもしれない。しかしDVも虐待も、「当該検討結果及び判定については、保護台帳、ケース記録等に明確に記載する必要がある」とされている。

 本人にとっては確かな事実であっても、本人の申し立てだけで扶養照会を避けられるとは限らないようである。そして客観的な証拠を示すことは、本人にとっても容易ではないことが多い。DVや虐待は、隠れて行うものである。

 菅首相は、「最終的には生活保護」が利用できると述べた。しかし、DV被害者や虐待経験者は、安心して「最後のセーフティネット」である生活保護を利用できるだろうか。はなはだ心もとない。

「扶養を求められても無理」
という日本の実態



本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 扶養照会が親族に求めているのは、金品による援助だけではない。手紙や電話など、感情面のつながりを提供することも、援助の一部である。本人は「切れてしまった」と思い込んでいた親族との縁が、生活保護の扶養照会によって復活することも、稀にある。

 しかし、本人が生活保護を必要とする貧困状態にあるとき、親族が貧困ではないのであれば、親族との良好な関係はもはや維持されていないことが多いだろう。本人が貧困かつ親族が貧困なのであれば、親族に扶養を求めても応じられる可能性はないであろう。

 扶養照会は、ほぼ、もはや意味のない「不要」照会である。わずかに残るメリットや、稀に現れる積極的な意義はわずかであり、発生する可能性は低い。すべての人々のための公平な制度であるべき公的制度に含ませておく必要はない。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

https://diamond.jp/articles/-/266582
親族の絆が木っ端微塵に、生活保護「扶養照会」の不要なお世話

みわよしこ:フリーランス・ライター

ライフ・社会 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ

2021.3.26 3:20

http://www.kinbenren.jp/declare/2015/2015_03_20.pdf



生活保護と扶養義務のあり方についての意見書
2015年(平成27年)3月20日
近畿弁護士会連合会
第1 意見の趣旨
1 民法上の扶養義務者の範囲について
現行民法における扶養義務者(絶対的扶養義務者)の範囲については、最大で
も直系血族に限るべきであり、民法877条1項の扶養義務者について、「兄弟姉
妹」の文言は削除するよう法改正がなされるべきである。また、特別の事情があ
るときは、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができるとす
る民法877条2項の規定は不要であり、削除されるべきである。
2 扶養義務の程度(養育費分担義務)について
養育費分担に関する家庭裁判所実務においては、養育費分担義務者の収入が最
低生活費を下回る場合には具体的分担義務を課さない運用を徹底すべきであり、
平成15年4月に東京・大阪養育費等研究会により発表され、現在実務上利用さ
れている「養育費・婚姻費用算定表」(以下「算定表」という。)は、養育費分担
義務者の最低生活費を確保することを前提としたものになるよう改善されるべき
である。
3 扶養調査のあり方について
(1)扶養調査においては、まずは、要保護者から生活歴等について十分な聞き取
り調査を行い、その結果、当該扶養義務者について、明らかに扶養義務の履行
が期待できない場合には、当該扶養義務者に対する直接の照会を行う必要がな
いという、厚生労働省通知[生活保護法による保護の実施要領について(昭和
38年4月1日社発第246号)。以下「局長通知」という。] 第5-2(1)、
生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和38年4月1日社保
第34号。以下「課長通知」という。)第5の2、生活保護問答集について(平
成21年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課長事務連絡。以下「問答集」
という。)問5-1)の内容を周知徹底させるべきである。
(2)扶養義務者に扶養を求めるよう要保護者を「指導」することが許され、扶養
が保護の要件であるかのごとき誤解を招く厚生労働省通知[生活保護法による
保護の実施要領について(昭和36年4月1日発社第123号)]第5の規定
ぶりを速やかに是正するべきである。
生活保持義務関係にある扶養義務者についても、扶養義務の履行が明らかに
期待できない場合については、扶養能力がないものと取り扱って良いように、
2
厚生労働省の通知[局長通知第5-2(2)ア]を是正するべきである。
また、扶養義務の履行が期待できると判断された「重点的扶養能力調査対象
者」について、管内であっても原則として実地調査は不要とし、再度の書面に
よる照会に回答がない場合には、特段の事情がない限り「扶養の可能性がない」
ものと取り扱って良いように、厚生労働省の通知[局長通知第5-2(2)ア]
を是正するべきである。
(3)大阪市が、2013年(平成25年)12月に発表した「生活保護受給者に
対する仕送り額の『めやす』」は速やかに廃止すべきである。
4 改正法の運用のあり方について
平成25年12月13日法律104号による改正後の生活保護法(以下「改正
法」という。)24条8項の扶養義務者に対する「通知」及び同28条2項の扶養
義務者に対する「報告請求」は、「明らかに扶養が可能であると思われるにもかか
わらず扶養を履行していないと認められるような極めて限定的な場合に限る」と
した国会答弁及びその旨を明記した生活保護法施行規則2条及び同3条を遵守し、
要件を満たさない違法な「通知」や「報告請求」が行われることのないよう徹底
するべきである。
5 扶養義務の履行に対する公権力介入のあり方について
扶養義務の履行に対する公権力介入は極力控えられるべきであり、扶養を行わ
ない扶養義務者に対する改正法77条に基づく費用徴収は慎重になされるべきで
ある。2 意見の理由
1 民法上の扶養義務者の範囲について
親族扶養は、生活自己責任(自助)の原則の延長線上に位置づけられ、それゆ
え、一般に親族扶養は公的扶助に優先するものとされるところ、自助の原則は、
そもそも独立した個人を単位として考えられる原則であり、その拡張が認められ
るとしてもせいぜい日常的消費共同関係の枠内にあるとみられる夫婦とその未成
熟子を単位とする家族間にとどまる。現行民法において、直系血族及び兄弟姉妹
は絶対的扶養義務者とされているが、日常的消費共同関係にない親族に対する法
的な義務とすべき理論的根拠は不明である。
また、国民意識として、兄弟姉妹に扶養を求める意識は元々希薄であるうえ、
家庭裁判所事件の実数をみても、兄弟姉妹を要扶養者とする扶養請求事件は、ほ
とんど利用されておらず、民法の同規定は形骸化している。老親扶養についても、
日本社会が高齢化しているにもかかわらず、1975年(昭和50年)ころのピ
ーク時と比べて、扶養請求事件数は、約半減し、減少したままである。核家族化
が進むなかで、国民意識として、親族扶養だけでなく、老親扶養の意識も薄れて
きており、扶養の規定そのものが形骸化しつつあるといえる。
諸外国の例をみても、スウェーデンでは、夫婦相互間と独立前の子に対する親
の扶養義務に限定されており、イギリスも、夫婦相互間と未成熟子に対する親の
扶養義務のみである。アメリカは、州によって異なるものの概ねイギリスと同様
である。フランスは、夫婦間と直系の親族間の扶養義務はあるが、兄弟姉妹間に
は扶養義務の定めはなく、ドイツも同様である。
学説も一致して、現行法の扶養義務者の範囲は広すぎると考えており、立法論
としては多少の温度差はあるものの、少なくとも兄弟姉妹については絶対的扶養
義務者から外すべきであると考えている。
このように、直系血族及び兄弟姉妹に対して法的扶養義務を課すことについて
は、理論的根拠に欠け、国民の意識とも乖離しているうえ、調査した諸外国にお
いても兄弟姉妹に法的扶養義務を課していないことに鑑みれば、今日において、
少なくとも兄弟姉妹については、法的扶養義務を課すべき合理性がないことは明
らかである。したがって、わが国の学説も支持するとおり、立法論として、兄弟
姉妹を法的扶養義務者から外す必要があるものと考える。また、特別の事情があ
るときは、三親等内の親族間に扶養義務を負わせることを可能とする現行法の規
定は、国民の意識とはかけ離れており、必要性もないことから、削除されるべき
である。
2 扶養義務の程度(養育費分担義務)について
扶養義務の内容・程度については、夫婦間及び親の未成熟子に対する扶養義務
である「生活保持義務」とそれ以外の親族間における扶養義務である「生活扶助
義務」の二種類に分けて考える、いわゆる二分説が通説である。
このうち、「生活保持義務」の内容・程度については「義務者が文化的最低限度
の生活水準を維持できて、かつ経済的に余力のある限りで、権利者に義務者の生
活と同程度に近い相当の扶養を得させる義務である」とするのが現在の通説であ
り、生活保護行政においても、生活保持義務関係においては「扶養義務者の最低
生活費を超過する部分」を標準とすることにしている。
養育費の分担に関する家庭裁判所の実務においても、従前は、義務者の基礎収
入が最低生活費を下回る場合には、義務者は免責されていた例が少なくなかった。
ところが、2003年(平成15年)4月、東京・大阪養育費等研究会(以下
「研究会」という。)により発表された「算定表」では「生活保持義務の考え方か
らすれば『少ないパンでもわが子と分かち合うべき』であり、義務者の免責と生
活保持義務の考え方とは矛盾を孕んでいた」「義務者の免責を認めることにすると、
最低生活費の算出が必要となるなど計算過程が複雑化することも避けられない。
として、義務者の基礎収入が最低生活費を下回る場合においても、養育費分担義
務を免れないものとされている。
しかしながら、義務者の基礎収入が最低生活費を下回る場合には養育費分担義
務を免責していた従前の家庭裁判所実務は、生活保持の考え方と何ら矛盾するも
のではなく、むしろ、生活保持義務の考え方に忠実な処理である。また、研究会
が参考にしたドイツのデュッセルドルフ表においても、義務者の生活に必要な額
(自己保有分)を確保することが前提とされており、研究会の説明は一方的な立
場からのものであり、何らの合理性もない。
仮に義務者が研究会の「算定表」に従って養育費分担義務を負担したとしても、
生活保護実務上、養育費収入についても、収入認定されて、その分保護費が減額
される取扱いが一般的であることからすれば、義務者は養育費の支払によって最
低生活費を下回る生活を余儀なくされる。一方、権利者世帯の手取り収入は一切
増えず、単に実施機関の保護費負担が養育費分だけ減るという、子どもの福祉の
ためという養育費本来の機能と異なる不合理な結果を招くだけである。すなわち
子の福祉名目で義務者世帯に最低生活費を下回る生活を強いる一方、権利者世帯
の子どもの足しにはならず、結局、実施機関の負担が軽減されるだけで、実施機
関の最低生活保障義務にも悖るものである。そして、このような結果は、「健康で
文化的な最低限度の生活」を保障した憲法25条1項に抵触することは明らかで
ある。
3 扶養調査のあり方について
(1)慎重な配慮の必要性
生活保護の利用に際して行われる扶養調査は、疎遠になっている親・兄弟姉
妹に迷惑をかけたくないという思いや、生活保護を利用するほど困窮している
という“恥”を知らせたくないというプライドや意地等から、要保護者に生活
保護の申請をためらわせる大きなハードルとなっている。
そこで、要保護者が、扶養義務者に対する連絡を恐れて生活保護を利用する
ことができないという事態が生じないよう、扶養調査に当たっては慎重な配慮
が求められる。しかし、現実には、要保護者からの十分な聞取り調査を行わな
いまま、一律に、照会文書(扶養照会)を送付するといった運用が依然として
行われており、このような事態は一刻も早く改善される必要がある。
(2)厚生労働省通知徹底の必要性
この点につき、扶養調査の手順に関する厚生労働省の通知においても、要保
護者からの聞取りの結果[局長通知第5-2(1)]、当該扶養義務者について、
明らかに扶養義務の履行が期待できない場合(扶養義務者が生活保護利用者・
施設入所者・長期入院患者・主たる生計維持者でない非稼働者・未成年者・概
ね70歳以上の高齢者である場合、20年以上音信不通等要保護者の生活歴等
から特別な事情があり明らかに扶養ができない場合、要保護者が夫の暴力から
逃れてきた母子等の場合。課長通知問第5の2、問答集問5-1)には、当該
扶養義務者に対する直接の照会を行う必要はないものとされており、かかる通
知の内容を実務上周知徹底させる必要がある。
(3)厚生労働省通知是正の必要性
ア 一方、生活保護法による保護の実施要領について(昭和36年4月1日厚
生省発社第123号。以下「次官通知」という。)第5は、「要保護者に扶養
義務者がある場合には、扶養義務者に扶養及びその他の支援を求めるよう、
要保護者を指導すること」と規定している。しかし、保護適用前の要保護者
に対して生活保護法27条が規定する「指導指示」は行うことができず、同
27条の2に基づく「助言」ができるのみである。また、扶養義務者に扶養
の期待可能性がない場合には、扶養を求めるよう要保護者に助言することも
不適切である。
また、次官通知第5は続けて、「民法上の扶養義務の履行を期待できる扶
養義務者のあるときは、その扶養を保護に優先させること」と規定している。
しかし、扶養義務の履行を期待できる扶養義務者があるとしても、まずは保
護を適用したうえで、その期待可能性の程度を調査確認すべきであり、次官
通知の上記の規定ぶりは、扶養義務者に扶養を求めるよう要保護者を「指導」
することが許され、扶養が保護の要件であるかのごとき誤解を招くものであ
って、速やかに是正されるべきである。
イ 局長通知第5-2(2)アは、扶養義務の履行が期待できない場合であっ
ても、扶養義務者が生活保持義務関係にある者の場合には、「関係機関等に
照会」等をすることを求めている。しかし、扶養義務の履行が期待できない
場合にこうした照会を行うことは労多くして実効性がないため、圧倒的な人
員不足のなか、実施していない実施機関が多い。その他の扶養義務者の場合
(課長通知問第5の2)と同様に、扶養能力がないものとして取り扱って差
し支えないものとすべきである。
ウ 局長通知第5-2(2)アは、扶養義務の履行が期待できると判断された
「重点的扶養能力調査対象者」について、管内に居住している場合には実地
調査を要するものとしているが、実効性・現実性の観点から実施していない
実施機関が多い。原則として書面による照会で足りるとすべきである。また、
同通知は、再度の書面による照会に回答がない場合には、居住地の実施機関
に調査依頼等を行うことを求めている。しかし、2回の扶養照会に対しても
回答がないということは、「扶養義務の履行が期待できる」との見立てその
6
ものに誤りがあった可能性が高い。したがって、かかる場合は、特段の事情
がない限り、その他の扶養義務者の場合(問答集問5-12)と同様に「扶
養の可能性がない」ものとして取り扱って差し支えないものとすべきである。
(4)大阪市の「仕送り額の『めやす』」は廃止が必要である
大阪市は、2013年(平成25年)12月、扶養義務者の年収に応じた仕
送り額の「めやす」を一覧表にして示した「生活保護受給者に対する仕送り額
の『めやす』」(以下単に「めやす」という。)を作成したことを発表した。
しかし、民法879条は、扶養の程度は「扶養義務者の資力」だけでなく、
「その他一切の事情」を考慮して裁判所が定めるものと規定している。したが
って、具体的な扶養義務(仕送り額)の有無・程度は、双方の収入・資産だけ
でなく、権利者・義務者の関係の親疎・濃淡、権利者(要扶養者)の過失の有
無等、もろもろの考慮要素で決まるものであり、収入のみを基準に金額を定め
る「めやす」はそれ自体、民法の規定と相いれないものである。また、大阪市
は、「めやす」を画一的に当てはめるような運用はしない旨説明しているが、
実際に「めやす」が一般に運用されれば、扶養義務者は、単に年収のみを基準
に機械的に一定額の仕送りを求められ、扶養を事実上強制される結果となるこ
とが強く懸念される。仮に、家庭裁判所が判断すれば具体的扶養義務を否定す
るような事案において、実施機関が虚偽の説明をしたため、「めやす」に示さ
れた額の仕送りをする義務があるものと誤信して仕送りを行った場合には、実
施機関の行為が扶養義務者に対する不法行為を構成する可能性もある。したが
って、かかる「めやす」は速やかに廃止されるべきである。仮に利用するので
あれば、扶養の可能性が期待できる場合の扶養照会に対して扶養義務者の側か
ら任意かつ真摯な扶養の申し出があった場合に、あくまでも目安に過ぎないこ
とを十分の説明のうえで示すにとどめるべきである。
4 改正法の運用のあり方について
改正法により、保護開始前の扶養義務者に対する「通知」義務(24条8項)
及び、扶養義務者に対する「報告請求」(28条2項)の規定がそれぞれ新設さ
れた。
これらの規定に対しては、扶養圧力の強化につながり、事実上扶養を保護の要
件化するものであるとして、法案段階において、各方面から批判がなされた。
この点に関し、2013年(平成25年)5月開催の「生活保護関係全国係長
会議資料」(平25.5.20厚生労働省社会・援護局保護課)には、改正法2
4条8項の通知について、「この通知の対象となり得るのは、福祉事務所が家庭
裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明
らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることとし、その旨厚生労働省令で明記する予定で
ある」と記載されている。
また、国会審議のなかで、村木厚子厚生労働省社会・援護局長(当時)は、改
正法28条2項の報告請求についても改正法24条8項と同様に「明らかに扶
養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて
限定的な場合に限ることとして」おり、「扶養は保護の要件とされていないとい
うことも踏まえまして、扶養義務者に対して、回答義務や回答がされない場合
の罰則を科すことはいたしておりません。」と答弁している。
これら国会審議の経過を踏まえ、2013年(平成25年)11月23日参議
院厚生労働委員会付帯決議4項において「扶養義務者に対する調査、通知等に
あたっては、扶養義務の履行が要保護認定の前提や要件とはならないことを明
確にするとともに、事前に要保護者との家族関係、家族の状況等を十分に把握
し、要保護者が申請を躊躇したり、その家族関係の悪化を来したりすることの
ないよう、十分配慮すること。」とされた。
さらに、生活保護法施行規則(2条及び3条)において、扶養義務者に対する
「通知」及び「報告請求」の対象となり得るのは、①保護の実施機関が、当該
扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が
高いこと、②申請者が配偶者からの暴力を受けていない場合であること、及び、
③当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがない
ことのいずれにも該当する場合に限る旨明記されるに至っている。
そこで、これらの説明及び経緯を踏まえ、上記国会答弁及びその旨を明記した
生活保護法施行規則を遵守し、要件を満たさない違法な「通知」「報告請求」が
行われることのないよう徹底される必要がある。
5 扶養義務の履行に対する公権力介入のあり方について
生活保護法は、扶養義務者が真に富裕であるにもかかわらず援助しないケース
では扶養義務者から費用を徴収できるとの規定をおいている(77条)。したが
って、明らかに多額の収入や資産を有しているが扶養を行わない扶養義務者に
対しては、この規定を利用して費用徴収をすることができる。
しかしながら、この規定を一般に広く適用することは、事実上扶養を保護の要
件にするのと類似の効果を招くおそれがある。とくに、諸外国に比べ、扶養義
務者の範囲が広くなっている日本においては、費用徴収権の行使はより慎重に
なされる必要がある。
以上

http://www.kinbenren.jp/declare/2015/2015_03_20.pdf



扶養照会の運用は改善された

 以前にこのコラムにも書いたが、全国から相談が来るのでしつこく書いておきたい。2021年2月26日、そして3月30日の二度にわたり、厚生労働省は生活保護申請に伴う扶養照会の運用を一部改正した事務連絡を各自治体に向けて発出した。
 この事務連絡は、職員たちがマニュアルとして使う「生活保護手帳別冊問答集」にも反映された。その取り扱い改正内容は以下の通りである。照会の対象となる親族が以下に合致する場合、福祉事務所は扶養照会を省いても良いとされた。

■暴力や虐待を受けたことがある場合(これに関しては扶養照会はしてはいけない
■おおむね10年以上音信不通である
■縁が切れていて、著しく関係が悪い
■しばらくは仕送りを受けるなどの援助を受けていたが、これ以上の援助は無理な場合
■親族の年齢がだいたい70歳以上、あるいは未成年である
■親族が生活保護受給中であったり、障害があったり、働いていないこと(家庭の主婦など)
■親族が長期入院している、あるいは社会福祉施設入所者である
■この親族と相続トラブルがある
■経済的援助が見込めないこと
■暴力や虐待はなくても、この親族に扶養を求めることが、明らかに自分によって有害である場合

 また、ここが肝なのだが、「可能性調査における聞き取りの中で、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が『扶養義務履行が期待できない者』に該当するか否かという観点から検討を行うべきである。」とし、生活保護申請者の意思が尊重されるようになった。

 厚生労働省のお達しをすべて落とし込んだ書類(申出書&添付シート)がこちらからダウンロードできるので、必要な人に活用して欲しい。扶養照会をして欲しくないという意思を口頭だけでなく、書面で(←すごく大事)提出するのだ。

繰り返すが、扶養照会実績はほとんど無い!

 「親族に頼れるくらいなら、こんなとこ(福祉事務所)来てないよ」
 生活保護申請に同行した際に相談者がため息交じりに吐いた言葉だが、ほとんどの申請者を代弁した言葉だろう。
 親族に援助の可否を問う扶養照会の実績は都市によって変わってくるものの、全国平均でもたったの1.45%。都市部になると0%なんていうお寒い実績も珍しくない。
 切手代も労力もバカにならないうえに、照会通知を送った親族にも嫌がられ、時には怒鳴り込まれたり、ビリビリに割かれた通知が返送されたりする。
 扶養照会をされたことで壊れる家族関係もある。福祉事務所の職員が私に「扶養照会で壊れる家族なんてありませんよ」と笑ったことがあるが、「( ゚Д゚)ハァ?」である。スティグマの強い地方都市出身の若者が、生活保護を申請したことを親族に知られて大騒ぎになり、挙句に勘当されてしまった例を私は実際に知っている。「小さい村なんです。村八分になる」と、固い顔でうつむいた人を知っている。扶養照会で壊れる家庭がないなんて、一体、何を根拠にそんなことを言えるのか、驚く。
 扶養照会をしたところで結果にはつながらないのに、切手代と、ただでさえ超多忙な職員の労力と人件費がかかる。申請者も、その親族も、また、心ある福祉事務所職員をも苦しめる扶養照会。そこに税金が使われて無駄になっている。何年も、何年も。

「扶養照会を強行される」次々と寄せられる相談

 厚生労働省が事務連絡を出し、運用は変わった。
 扶養照会の高いハードルを前に生活保護申請に踏み切れなかった人たちが助けを求めやすくなったと私達は手放しで喜んだ。ところがどっこいである。
 驚くことに窓口では相変わらず「扶養照会は決まりですので」「原則しなくてはならない」。判で押したような対応が続いていたことを、私達はつくろい東京ファンドに届く問い合わせや悲鳴により知ることになる。
 なぜ?
 なぜ?
 申請者の前に立ちはだかるその高く厚い壁を、「取り除いてもいいよ」とお上からお達しがあったあともなぜ? 無駄と分かっているのになぜ? 超多忙で仕事が回らないと苦しんでいる職員の面倒な作業が一つ減るのになぜ? 明らかに税金の無駄遣いなのになぜ?
 なにより、申請者や親族を苦しめていることを一番知っている立場にいながらなぜ?
 なぜ? なぜ?
 まさか考えたくはないが、扶養照会を必要としていたのは福祉事務所だったのか?!
 まったく意味が分からないのだが、私はあえて努力して福祉事務所がそれでも扶養照会をしたがる理由を想像してみることにした。

「それでもやる」その理由を想像する

1. そもそも知らない

 厚労省から通知が出て運用が変わったことを知らない。多忙につき研修や勉強会が行き届いていない場合もありそうだが、ただの不勉強な人もいるかもしれない。体感としては、東京から離れれば離れるほど、時差が生じているように感じる。それにしても、もう1年4カ月が経過しているのに?

2. 扶養照会の武器利用を継続したい

 扶養照会が水際作戦(追い返し)の最大の武器になることを知っているために、その武器を手放したくない。また、福祉事務所職員が生活保護は「権利」ではなく「恩恵」であり、その「恩恵」を自分たちが施しているのだという歪んだメンタリティの持ち主であれば、申請者が意思を主張することにムッとする。腹立たしいと感じる。扶養照会は申請者にとっては一番痛い泣き所であるため、マウンティングの最強武器として使い続けたいと願っている。「するかしないかを決めるのはこっちだ」を手放せない。圧倒的な力の差異の中で、この公権力の行使は暴力に近い。

3. 緊急連絡先を知るために必要

 「例えば入院した時やお亡くなりになった時に親族に連絡ができないと困る」が、福祉事務所職員が口にする扶養照会の必要性ダントツ一位。
 これで思い出すのは、身寄りのない利用者のご遺体13人を最長で3年4カ月冷凍庫に放置していた名古屋市のケースだが、日本の法律上、親族の許可がないといろいろ手続きが不便なのは事実。
 ですが! で、す、が! あちこちで何度も言っているが、それは「扶養照会」という方法でしかできないものなのだろうか? 思考停止してないですか?
 生活保護申請と同時に扶養照会を迫れば、「要件」と誤解されても仕方がない。
 被保護者が扶養照会を拒んでいる場合、担当職員(ケースワーカー)は被保護者との関係や信頼を構築したあとで、「もしもの時の緊急連絡先はどうしましょう」と話し合っていけばいいのでは? 援助の可否とは別に分けて。援助(特に金銭的援助)はどうせ見込めないのだから、無駄と分かってる作業をすることはない。

4. 精神的援助があった方がいい

 これも3と同様で、保護利用者が必要と思えば自分で連絡を取ればいい。親族との関係性が悪くない場合、アパート設定ができて生活が安定した時点で自分から連絡をする利用者はいる。そこで精神的援助は得られるようになるだろう。役所が本人を飛び越えてやらなくていい。大人だから必要だと思えば自分でできる。

5. 安否が分かって喜ぶ家族もいる

 これも3と4と同様。本人が安否を知らせたいと思ったら本人がすればいいこと。職員は「喜ぶ家族もいる」と言うものの、「どれくらいいるんですか?」と聞くと目を逸らして「たまーに」と答える。「( ゚Д゚)ハァ?」である。
 扶養照会によって家族の安否を知れて喜ぶケースと、照会されることによってネガティブ(それどころか不幸)な結果になるケースの割合は比較にもならない、そのことは福祉事務所の皆さんが一番ご存じのはずだ。

6. 監査で厚労省に怒られる

 一番たちの悪い言い訳がこれ。
 扶養照会をしないと、厚労省や東京都の監査があった時に「なんでやってないんだ!」と怒られるという言い訳をする福祉事務所職員もいるが、いやいや、そんなまさか。
 厚労省が「省いていい」と言っているけれど、実際に省いたら「なんでやっとらんのじゃー!!」と怒るのだとおっしゃっているのだろうか?厚労省が二枚舌だと?
 ウソだねー。厚労省や都・県の監査で怒られるとしたら、それはケース記録に扶養照会を省いた理由がちゃんと書いていないから。そんな時のために、申請者のみならず、福祉事務所の職員にも便利で使える「扶養照会を拒否する申出書&添付シート」を作ってありますので、どうぞご活用ください。そして不要な作業を減らして過労を防いでください。

運用改正の事務連絡はリトマス試験紙

 厚労省発出の事務連絡により、扶養照会の運用は変わった。この運用通りであれば、扶養照会は実質的には誰でも止められると思ったが、私は甘かった。
 その後も全国から「関係の悪い親族に扶養照会されてしまう!」「親族に迷惑をかけられない」などと切迫したメール相談が日本中から寄せられる。
 なぜ、こんなことが起きるかといえば、それは厚労省の事務連絡が扶養照会を「省いてもよい」と書いているのであって、「してはならない」と禁止にしていないからだ。
 暴力・虐待・DVなどがあった場合は「してはならない」であるにもかかわらず、そんなケースにすら「決まりなんで、します」と言われたと切迫した相談を受けて、慌てて遠くの福祉事務所に電話をかけて止めてもらったりもした。

 私達が作成した「扶養照会を拒否するための申出書」も、まともな職員は「むしろ助かります」と受け取り、「照会は省きます」と申請者を安心させてくれる。
 一方で、「そんな事務連絡は出ていない」と虚偽の説明をする職員もいれば、申請者が持参した申出書を受け取り拒否するようなすごい自治体も(知る限りでは東京都の杉並区荻窪福祉事務所オンリー)、出てくるのである。
 そして、厚労省が生活保護手帳別冊問答集に加筆した「要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が『扶養義務履行が期待できない者』に該当するか否かという観点から検討を行うべきである」についても、全く異なる解釈がされるのである。
 要保護者が何度も、何度も、何度も、扶養照会をしないでくれと頼んでいて、その記録も残っていて、加えて親族に援助する見込みもないし、照会を省いていい要件はいくつも当てはまる、そんな例ですら、職員はまったく耳を貸さずに最終的には諦めさせ、それを「丁寧に聞き取りをした結果、了承を得た」ということにしてしまう。よくもここまで捻じ曲げることができるものだと呆れ果てる。

 扶養照会は不要と思う職員が多い自治体の扶養照会実施数は、運用改訂後に確かに減っている。しかし、それでも変わらない自治体、むしろ実施数を増やしている自治体も存在していることが調査で分かっている。どういうことだろうか。

生活保護の手引きや申請書の改訂、様々な動き

 扶養照会をめぐる攻防はあちこちで続いていて、たとえば足立区は小椋修平区議の尽力の賜物だろう、生活保護申請書に扶養照会を拒否する理由を書き込めるようにした。
 また、中野区は「生活保護の手引き」の扶養照会の説明を改訂し、以下のように記述した。

 親子・兄弟などの扶養義務者からの援助は、生活保護法による保護に優先されます。ただし、扶養義務者がいるということで、生活保護を受ける事ができないというものではありません。扶養義務者に援助の可能性について照会を行うことがありますが、それぞれの事情により、「扶養義務の履行が期待できない」と判断される場合などは、基本的に福祉事務所から直接の照会を行わない事とされています。
ほんの3カ月前まで、扶養照会は生活保護の「要件」であるかのような説明をホームページに堂々と上げていた自治体(東京都杉並区)とはえらい違いだ。

扶養照会の根っこにあるもの

 参議院選挙の選挙運動中、ある与党候補者が「家族の在り方」を説いている映像を見た。候補者は「今まで2000年培った家族の形が、だんだんと他の外国からの勢力によって変えられようとしているんです」とマイクで叫んでいた。時代に逆行したこの発言は、現代におけるマイノリティ差別や、ほぼ無意味な扶養照会を支持する福祉事務所職員の意識と重なった。
 「家族は助け合うもの」。家族の形態も変わり、雇用経済状況も大きく変わった今、それができる家族はどれほどいるのだろう。それどころか自分たちの生活でいっぱいいっぱいな人でこの社会は溢れている。だから扶養照会の援助実績は、限りなくゼロに近いのだ。こんな不毛で非合理的なことで人々を制度から遠ざけたり、親族を悲しませたりするのはやめないか。そのためには扶養照会は改善ではなく、廃止してもらうしかない。
 生活困窮した人たちや、扶養照会される親族のためだけでなく、被保護者としっかり信頼関係を築き、その生活や健康を立て直す手伝いをしたいと願う、健全な志を持つ福祉事務所職員たちのためにも、扶養照会は廃止してもらいたい。

《追記》
 この原稿を書いた日から3日後、安倍首相が応援演説中に銃撃されて不慮の死を遂げた。同時に、政治とカルトとの深いつながりが明らかになり始めた。参院選で「2000年培った家族の形」と発言していた候補者は当選したが、旧統一教会の「信者である」と教団側から紹介される動画もアップされた。
 時代や人々の生き方も変わり、現実味を失った「家族主義」がどうしてここまで力を持っているのかというこれまでの疑問の答えが突然立ち現れた形だが、私は途方に暮れている。
 日本会議や神道系宗教団体、加えて旧統一教会。それらの利害が政権と一致して、お互いに利用し合っているのだとしたら、どんなに非合理的であろうと、どんなに理不尽で税金の無駄遣いであろうと、扶養照会はなくならない。
 露見した黒いつながりが、メディアや、利益を受けていた人々によって隠蔽されることなく、追及されていくことを切に願っている。

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第19回:「扶養照会は原則しなければならない」は本当か? 福祉事務所の言い分を検証する(小林美穂子)By小林美穂子2022年7月27日




扶養照会に関する新たな通知



2020年12月に、厚生労働省のサイトに、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。」と掲示されました。国の機関が、生活保護の利用を積極的に呼び掛けるのは、初めてのことだと言われています。

生活保護の申請時に、申請者にとって気にかかることの1つに、扶養義務者に対する扶養照会があります。民法では、配偶者間と、直系血族間・きょうだい間の扶養義務を定めており、扶養義務者による扶養は生活保護に優先するという前提があるため、生活保護の利用に先立ち、扶養照会が実施されているのです。

しかし、扶養照会が、かえって申請者の自立を妨げるような場合には、照会を行わずに生活保護の決定を行うことが可能です。これまでも、DVのケース等は、運用により、加害者に対して扶養照会がなされることはありませんでしたが、厚生労働省は、2021年2月26日に通知を発し(令和3年2月26日付 社援保発0226第1号)、虐待やDVのケースは扶養照会を行わないことや、扶養照会の要否について、生活保護法の実施要領を改正しました。



通知に関する留意点



厚生労働省からは、同時に、この改正に関する留意点が発表され、「改正の趣旨を踏まえ、各実施機関におかれても、要保護者の相談に当たっては、丁寧に生活歴等を聞き取り、個々の要保護者に寄り添った対応がなされるよう、より一層配慮されたい。」と示されました。

ここでは、虐待やDVのケース以外にも、当該扶養義務者が、生活保護の利用者、社会福祉施設入所者、長期入院患者、専業主婦/主夫等、未成年者、概ね70歳以上の高齢者等の場合も、扶養照会を行わないことが明示されています。

他にも、例えば、申請者が、当該扶養義務者に借金を重ねている、当該扶養義務者と相続をめぐり対立している等の事情がある、縁が切られている、概ね10年以上音信不通である等、著しい関係不良の場合が例示され、これらの場合も、「生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない」ものと判断し、扶養照会を行わないと記載されています。

従前は、例示として、20年以上の音信不通が挙げられていましたが、今回、例示が変更・追加されたことに加え、これらは、あくまで例示であり、これらに直接当てはまらない場合も、個別の事情を検討の上、例示と同等のものと判断できる場合には、扶養義務履行が期待できない者に該当するものとして取り扱ってよい、つまり、個別事情によっては、扶養照会を行わないで生活保護の決定を行ってよい、という方針がはっきり示されたのです。

扶養照会は、申請者の承諾なく実施されるため、もう一歩踏み込んで、申請者の承諾なしに扶養照会を行わない等の運用改善が求められますが、ひとまずは、申請者に申請をためらわせ、申請者が無用の葛藤やトラブルにまきこまれる理由となるような扶養照会が行われなくなることが期待されます。



生活保護の利用をためらわないで



コロナ禍では、特に、非正規雇用の女性が、雇止めにあったり就労時間を大幅に減らされたりといった影響を受けていることが、統計でも明らかになっています。また、2019年と2020年を比較すると、女性の自殺者が、6091人から7025人へと1000人近く増加しており、女性への打撃が大きいことが分かります(2021年3月15日付「コロナ下の女性への影響について」/内閣府男女参画局)。

女性や母子世帯の貧困については、これまでも相対的貧困率の高さが指摘されてきましたが、コロナ禍では、そのような状態がより一層顕著になっていると言えます。生活を立て直し、再スタートするために、積極的に生活保護が活用されるべき状況です。

生活保護は、最後のセイフティーネットであり、その役割は、いつ、どのような状況下でも果たされなければなりません。特に、誰も経験したことのないコロナ禍において、みなが、予想できなかった困難や、生活の激変に曝されている中では、その役割の重要性は高まっていると言え、今回の改正により、多少なりとも、申請へのハードルが下がったと言えます。

生活保護申請の同行支援や審査請求についは、法テラスを通じて、弁護士費用の援助を受けられる場合もあり、困難に直面しているのに、ひとりで窓口に行っても申請を受け付けてもらえなかった、というような場合には、あきらめずに、弁護士にご相談ください。

https://www.josei-law.com/newsletter/1064/
2021年08月26日

仕事・労働平和・人権

角崎 恭子

生活保護の利用をためらわないで  【弁護士 角崎恭子】


https://www.mhlw.go.jp/content/000746073.pdf



https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20210629/resume/03-hokoku-yano.pdf#page=6