共同親権をめぐる報道まとめ(2024年4月下旬)ありしん@共同親権反対ですありしん@共同親権反対です2024年6月7日 06:24PDF魚拓


2024年4月21日(日)

「共同親権」導入民法改定案

仁比議員の質問

参院本会議

 日本共産党の仁比聡平議員が19日の参院本会議で行った離婚後「共同親権」を導入する民法改定案に対する質問の要旨は次の通りです。



 本法案は、親子関係と家族のあり方に関する戦後民法の根本に関わる改正であるにもかかわらず、国民的合意のないまま、まるで「波風が激しくなる前に」と言わんばかりに衆議院採決、本院に送付されました。

 とりわけDV(配偶者などからの暴力)や虐待から逃れ、安心・安全な生活を取り戻そうとする方々、行政、弁護士の支援に対し「裁判所の保護命令が出されたもの以外は虚偽DV」などと非難する質問まで行われましたが、そうした非難は誤りではありませんか。

 多くのひとり親家族から悲鳴のような怒りの声が噴き上がっています。衆院法務委員会採決の朝、10万人に達した#STOP共同親権オンライン署名は1週間で23万人を超えようとしています。これまで沈黙を強いられてきた多くの方々がつながり、上げてきた声を正面から受け止め、丁寧な審議が尽くされなければなりません。

 夫婦関係は破綻しても、親権の共同行使が真摯(しんし)に合意され、子の利益にかなう場合には離婚後も共同親権として諸々の規律を定めることはあり得ます。しかし、本法案は、そうした合意がない父母間にも、裁判所が共同親権を定めうるものです。別居親による干渉や支配を復活、継続させる仕掛けとして使われ、子の権利や福祉が損なわれる危険は否定できないのではありませんか。

 日本乳幼児精神保健学会は声明で、家庭裁判所の「原則面会交流」と呼ばれる運用に対し、「健康な発達を害されている事例が増えている」と厳しく指摘しました。法務省、最高裁判所は、面会交流を含む子の監護をめぐる家庭裁判所の運用実態について検証すべきです。改正にあたっても、子どもの意見表明権を明記すべきです。

 戦前の家制度を引きずるかのように「親の子に対する支配権」という認識が色濃く残る「親権」という用語・概念を改め、子どもが安心・安全に暮らせるようにする親の責務であり、社会による子どもの権利と福祉の保障であると明確にするときです。

 法案は、すでに離婚し単独親権となっている親子に対し、別居親が共同親権への親権者変更を申し立て、裁判所が共同親権を定め、約定の養育費が払われないことがあり得ます。親の資力、収入などが要件の各省庁の主な支援策は28件あります(18日時点)。どのような影響を及ぼすか関係省庁と協議し、当該施策の基準と運用、課題と検討の見通しを速やかに示すべきです。

2024年4月21日(日)

「共同親権」導入民法改定案

仁比議員の質問

参院本会議


2024年4月21日 11:08





東スポWEB

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 元フジテレビアナウンサー・平井理央(41)が21日、フジテレビ系「ワイドナショー」に出演した。

 離婚後の父親、母親の双方に親権を認める共同親権制度について盛り込まれた民法改正案が、16日の衆議院本会議で賛成多数で可決された。

 平井アナは2012年に同局の社員と結婚したが、2022年に離婚を発表した。

 平井アナは「私離婚を経験しているんですけど、単独親権であっても、別れた親同士であっても、子供に対する責任だったり、親子であることは変わりないという風に私は認識しているので。単独親権だからもめるとか、共同親権であれば面会交流もいつでもできるっていうことでもなくて。共同親権であっても話し合いが必要で、会える、会えないとかは、家庭によって決まっていくと思う」と意見を述べた。

 民放改正案では、双方の協議で決まらない場合、単独親権、共同親権のどちらになるかを裁判所が判断することになるという。

 こうした内容を受け「間に挟まれた子供の幸せに本当になるのか。共同親権って親の権利みたいに書かれていますけど、本来は子供が、親が別れていたとしても双方になんの障害もなく会える。そういう権利であり、子供が親に対して自分の養育費をもらえる権利を持っている。子供のための権利であってほしい」と話し、「親権の考え方自体が、親じゃなく、子の権利っていう風にもっとなるといいんじゃないかなって思いました」と語った。

離婚を経験の平井理央アナ 子供の共同親権は「子供のための権利であってほしい」

2024年4月21日 11:08



東スポWEB


未成年の子どもに対し、現在の民法では婚姻中は父母が共同で親権を持ち、離婚後は父母の一方を親権者と定めることになっている。この規定を改め、離婚後も共同親権を選べるようにする民法改正案が衆院を通過し、参院での審議が始まっている。

 改正案では、父母の協議で共同親権か単独親権かを決め、合意できない場合は家庭裁判所が判断する。改正法施行前に離婚した人も家裁に申し立てれば共同親権に変更できる。離婚後の家族の在り方を大きく変える法案だ。成立すれば2026年までに施行される。

 共同親権で離婚後も父母が協力して養育の責務を果たすことができるなら、子どもの利益になろう。懸念されるのはドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の恐れがある場合だ。元配偶者と関わりを持つことで、再び安全を脅かされないかという不安の声があるのは当然だ。

 こうした懸念に対し、衆院審議での政府の答弁は不明瞭な部分が多かった。廃案を求めるオンライン署名は審議が進むにつれて急増しており、22万人を超えている。

 DVがある場合は父母が対等な立場で話し合えない懸念があり、衆院では与野党の修正協議で「真意を確認する措置を検討する」と付則に盛り込まれた。「真意」をどのように確認するかは政府が改正法施行までに検討するという。DV被害者らの不安の払拭につながるものになるのか、今後の審議で明らかにしてほしい。

 親権を巡る紛争が増えるとみられ、役割が増す家裁の体制整備は大きな課題となる。現状でも調査官の不足で、DVなどについて適切な判断ができていないとの指摘がある。これまでの審議では、家裁の体制強化の具体策は明らかになっていない。

 さらに、共同親権となった場合、一方の親が単独で判断できるのは「急迫の事情」があるか「日常の行為」に限られる。父母の意見が対立すればその都度、家裁が判断することになる。「急迫」や「日常」の基準について政府の答弁は曖昧だ。政府は今後、具体例を指針で示すとしているが、審議の中でより詰めておくべきだ。

 保護者の収入で受給資格が変わる公的給付について、政府は共同親権なら父母の収入の合算で判定する方針を示している。しかし、養育費が支払われないケースも想定され、制度の精査が必要だ。

 子どもの権利について盛り込まれていないことも改正案の大きな欠陥と言わざるを得ない。日本が批准してきょうで30年となる国連の「子どもの権利条約」には自分の意見を表明する権利が明記されている。家裁などで子どもの意向を丁寧にくみ取る仕組みが要る。昨年施行された「こども基本法」を踏まえ、国会は子どもの権利保障のための議論を尽くすべきである。

(2024年04月22日 08時00分 更新)

共同親権法案 子の権利守る議論尽くせ



離婚後の子どもの親権を父親と母親の双方に認める「共同親権」の導入を柱とした民法改正案の審議が進むなか、離婚前に夫からDVなどを受けたとする人たちなどが法案の廃案を訴えました。



共同親権の導入を盛り込んだ民法改正案は、与野党による修正協議を経て、先週、衆議院本会議で賛成多数で可決され、現在、参議院で審議が行われています。



こうしたなか、法案の廃案を求める団体は、きょう国会内で集会を開き、インターネット上で集めた廃案を求めるおよそ22万の署名を、法案に賛成した立憲民主党などを含む野党議員に手渡しました。



集会では、離婚前に夫からDVの被害を受けたと訴える女性が、「相手に居住場所が常に知られるということは当事者にとって恐怖以外の何物でもない」と、法改正への不安を口にしました。



ビデオメッセージを寄せた立憲の福山哲郎元幹事長は、「皆さんの不安を少しでも払拭できるように、改めて法案の修正を求めていきたい」との考えを示しました。

共同親権への反対署名22万に DV被害者ら民法改正案の廃案訴える


2024年4月23日(火)

主張

離婚後共同親権

高校無償化外しは許されない

 当事者から不安と怒りの声があがるなか、離婚後共同親権を導入する民法改定案が、自民・公明・立民・維新4党の共同提案による修正のうえ衆院を通過し、参院で審議入りしました。法案が新たな人権侵害を生みかねないという懸念に対し、修正の中身は全く不十分です。

 法案は、離婚時に共同親権か単独親権かを両親が協議し、合意できないときは家庭裁判所が判断するとします。

■さまざまな危惧

 法案には、▽離婚協議の際、DVや虐待から早く逃げたいなど不本意でも共同親権を選ばざるを得ないケースがでる▽裁判所がDVを適切に判断できないなど、不本意な共同親権が裁判所によって強制される恐れがある▽子どもの意思を確認する体制が不十分―などの懸念があります。

 共同親権となった場合、子どもの医療・進学・転居などが単独で決められず、そのたびに協議が必要になります。父母間に真の合意がないまま共同親権となった場合、▽重要なことが速やかに決められない▽両親の争いが長期化し子どもにストレスを与える▽DV被害者が加害者から逃げられないなど別居親の干渉・支配を継続させる―など、子どもの福祉、権利を害する危険があります。

 そうした懸念を受け立民は当初、▽父母の合意がない場合、裁判所は共同親権を認めない▽子どもの教育や居所の指定を単独でできる「監護者」に父母の一方を定めることを義務付ける―などの修正案を示しました。当事者の不安に一定応えるものでした。

■新たな問題も判明

 しかし、その後、自民・公明・立民・維新4党が合意した修正案にそれらは入らず、▽監護について定める重要性の啓発▽親権者の決定が父母双方の真意によるものか確認する措置をとる▽施行後5年をめどに必要な見直しをする―などを付則に入れるのにとどまりました。これではあまりに不十分で、DV被害者らの危惧は解消されません。

 審議を通じて新たな問題も明らかになりました。日本共産党の本村伸子衆院議員の質問に、共同親権の場合、高校授業料無償化の所得認定で別居する両親の収入が合算され、無償化の対象から外れる事態が起きることを文科副大臣が認めました。こうした例が児童扶養手当など少なくとも28件あると判明しています。ひとり親支援制度などが使えなくなることがあってはなりません。

 父母が合意に至らず裁判所が共同親権を命じるなら、最低でも監護者の指定を必須とすべきです。

 法案に子どもの意見表明権を明記し、親権・監護者の決定や面会交流などあらゆる場面で子どもの意思・気持ちが尊重されることを明確にすべきです。

 親権という用語や概念を見直し、子どもが安全・安心に暮らせるための親の責務、社会による子どもの権利と福祉の保障を明確にする必要があります。

 立民の石川大我議員は19日の参院本会議で「法案には国民の理解が得られていない」とのべました。そうであれば、安易な修正で法案を通すことがあってはなりません。参院での徹底した審議が必要です。

2024年4月23日(火)

主張

離婚後共同親権

高校無償化外しは許されない


2024年4月24日(水)

「共同親権」

子の利益害する恐れ

本村議員 髪形も父母合意か

衆院法務委






(写真)質問する本村伸子議員=23日、衆院法務委

 日本共産党の本村伸子議員は23日の衆院法務委員会で、離婚後「共同親権」を導入する民法改定案を巡り、同居親などが単独で決定できる「日常の行為」について、範囲が曖昧で、解釈の違いで紛争が多発する懸念があるとし、「適時適切な意思決定ができず、子の利益を害する恐れがある」と追及しました。

 本村氏は、子どもが髪を染めることは「日常の行為」に含まれるかと質問。法務省の竹内努民事局長は「日常の行為に該当する」と述べる一方、「校則違反で退学の対象になるなど子の進路に影響する場合は該当しない」と述べました。

 本村氏は金髪に加え、「パーマ、ポニーテール、ツーブロックなどを校則で禁止する学校もある」と追及。竹内氏が「子に重大な影響を及ぼすかどうかが判断基準だ」と述べ、別居親の合意が必要な場合があるとの考えを示したのに対し、本村氏は「『日常の行為』にも例外があり、明確ではない。子どもの意思や信条の尊重こそ最重要だ」と批判しました。

 また、本村氏は「共同行使、単独行使の判断を間違えたら損害賠償が求められるリスクはあるか」と質問。竹内氏は「個別の事情による」と述べ、元配偶者から訴えられる可能性を否定しませんでした。

2024年4月24日(水)

「共同親権」

子の利益害する恐れ

本村議員 髪形も父母合意か

衆院法務委


共同親権法案 DV排除へ議論深めよ

2024/04/24 05:15

 離婚後も父母が共に子どもの養育に関われるよう共同親権を導入する民法改正案が衆院で可決されて参院に送られ、今国会で成立する見通しとなった。離婚後はどちらか一方による単独親権と定める今の民法を改め、離婚の際に双方の話し合いで共同か単独を選べるようにする。折り合えないときは、家庭裁判所が判断する仕組みにする。

 共同親権にすると、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待などの恐れがあり、子の利益を害するとみられる場合、家裁は単独親権にしなくてはならないとも明記する。しかしDV被害から逃れるため、子を連れて家を出た経験を持つ母親たちを中心に懸念と不安の声は尽きない。

 衆院審議で野党は、父母の十分な合意を共同親権の条件とするよう与党に修正を迫った。DVなどで父母の力関係に差があり、対等に話し合えないことも考えられるからだ。付則に「真意を確認する措置を検討する」との文言が盛り込まれることになったが、課題を先送りしたに過ぎず、実際に何らかの対策が講じられるかは見通せない。

 共同親権からDVを排除できるかが問われている。さらに子の医療や教育を巡り、どこまでなら父母双方の同意は必要なく、一方の親だけで決められるかという線引きも曖昧なままだ。混乱を招かないよう、参院で議論を深め、詰めなくてはならない点が多々ある。

 改正案が成立すれば2026年までに施行され、それ以前に離婚した父母も共同親権への変更を申し立てることができる。共同親権の下では子の進学や長期的治療など重要事項は父母が話し合って決める。それが元夫のDVに苦しめられ、別居して子と一緒に暮らす母親に重くのしかかる。

 住所を秘して生活する人もいる中で「DVが継続しかねない」「元夫に共同親権への変更を申し立てられないか」と悲痛な声が後を絶たない。

 DVの恐れがあるなら家裁は共同親権を認めないとはいえ、そもそも密室の出来事で証拠が残りにくい。精神的DVなどをどう証明すればいいのかと戸惑いも広がる。

 また子のために一方の親が単独で決められるのは身の回りの世話など「日常の行為」か「急迫の事情」がある場合に限られる。両者の意見が対立した場合、どちらが決めるか家裁が判断する。

 野党は緊急手術など具体例をいくつか挙げ、日常か急迫かをただしたが、政府側は「適切な手続きを定める」と曖昧な答弁に終始した。政府はできるだけ早く、具体的に日常と急迫のケースを例示する必要がある。

 保護者の収入で受給資格が決まる高等学校等就学支援金にも影響してくる。文部科学省は「共同親権なら、親権者2人分の所得で判定する」と説明した。ひとり親家庭が養育費をまともに受け取れていないのに収入が基準額を上回って支援金を受けられず、困窮する事態も懸念されている。

 改正案に「法定養育費」が盛り込まれ、法令で定める最低限の支払いを相手に義務付けるが、手続きに時間がかかるのは避けられそうにない。

 父母が離婚した未成年の子は近年、年間20万人近くに上る。共同親権が導入されれば、多くの争いが家裁に持ち込まれることになるだろう。それをさばき、信頼を得るのに十分な体制を早急に整えなくてはならない。(共同通信・堤秀司)

ほかにもこんな記事【離婚後共同親権】「生煮え法案」批判噴出
DV被害者「怖い法案」
「離婚しづらい社会健全」

共同親権法案 DV排除へ議論深めよ


離婚後も父と母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案は、25日から参議院法務委員会で審議が始まりました。小泉法務大臣は国民への周知や広報に努めるとともに関係省庁と連携して必要な環境整備に取り組む考えを示し、今の国会での成立に向け理解を求めました。

民法などの改正案は、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ、今の「単独親権」に加え、父と母双方に親権を認める「共同親権」を導入するとしています。

そして、父母の協議によって共同親権か単独親権かを決め、合意できない場合は家庭裁判所が判断します。

裁判所がDV=ドメスティック・バイオレンスや、子どもへの虐待があると認めた場合は単独親権となります。

改正案は、共同親権を選択する際に父母双方の真意によるものか確認する措置を検討することなどを付則に盛り込む修正をしたうえで、先週、衆議院を通過し、25日から参議院法務委員会で審議が始まりました。

委員会では、改正案の趣旨説明のあと質疑が行われ、小泉法務大臣は「子の利益を確保するにはDVなどを防止することが重要で改正案は適切に対応する内容となっている。正しく理解されるように十分な周知や広報に努めるとともに関係省庁などと連携して必要な環境整備に取り組んでいく」と述べ、今の国会での成立に向け理解を求めました。

「共同親権」導入を柱 民法などの改正案 参院法務委で審議入り

2024年4月25日 14時29分


「共同親権」導入の改正案 反対する団体が廃案求める集会

2024年4月24日 0時16分

離婚したあとも父と母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入を柱とした民法などの改正案について、反対する団体は23日、廃案を求める集会を開きました。

民法などの改正案は、離婚後に父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ今の「単独親権」に加え、父と母の双方に親権を認める「共同親権」を導入するなどとしていて、今月16日に衆議院を通過し、参議院で審議が行われています。

こうした中、「共同親権」の導入に反対する団体が23日、都内で集会を開きました。

夫からDV被害を受けて離婚したという女性は、改正案で「子どもへの虐待やDVのおそれがある場合、家庭裁判所が判断して単独親権にしなければならない」とされていることについて、「家庭内の被害の状況は外から見えにくい。子どもなどへの不利益につながるおそれがある」などとして廃案を訴えました。

また、共同親権のもとでも、片方の親だけで子どもに関する判断ができるとされている「急迫の事情がある時」について、どのような状況か明確でないという声も上がっていました。

「共同親権」の導入をめぐっては、賛成する人から、離婚後も両親が子どもの養育に責任を持つことができるという意見や、離婚前に配偶者に無断で子どもを連れ去られるといった事案を一定程度抑えられるなどとする意見も出ています。

「共同親権」導入の改正案 反対する団体が廃案求める集会

2024年4月24日 0時16分


離婚後の父母による共同親権を導入する民法改正案が16日、一部修正の末、衆議院本会議で賛成多数により可決した。与野党協議の結果、協議離婚で親権者を決める際、父母の力関係の差で不適切な合意とならないよう「政府は施行日までに、父母双方の真意を確認する措置を検討する」との規定を加えた。改正の影響を見通すのが難しいため、施行後5年をめどとした見直し規定も付則に盛り込んだ。



参議院での審議を経て成立すれば公布後2年以内に施行される。現在婚姻中の人、すでに離婚した人も含め、未成年のこどもを持つすべての人に関係する大きな改正だが、あいまいな点が少なくない。

税や福祉にも影響か

民法以外のさまざまな法律にも関わるため、12項目の付帯決議も採択した。その一つに「改正法の施行に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度への影響がある場合は、関係府省庁が連携して対応すること」が入った。



改正案は父母の協議で共同親権か単独親権かを決めるとした上で、合意できない場合は家庭裁判所が「子の利益」の観点で決める。



修正事項の一つ「父母の真意を確認する措置を検討する」は、共同親権の意味を熟知せず、不本意な形で共同親権を選ぶケースを減らすのが狙い。



裏を返せば、法改正の意味を理解するのが難しいという判断がこの修正の背景にある。

単独行使の範囲不明

もう一つのポイントは、婚姻中や離婚後に共同親権を選んだ場合、親権は共同行使を原則とした点だ。その影響は多方面に及ぶため、法案審議で最も大きな論点になった。



改正案は、例外的に単独行使できる場合を「急迫の事情があるとき」「監護および教育に関する日常の行為」と規定。しかし、何が急迫や日常の行為かは不明瞭だ。



こうした例外に当たらなければ、共同行使が必須になる。そのため、例えば配偶者による心身の暴力から逃れようと子連れ別居したい親は、単独でこどもの居所を指定できず逃げにくくなる。



こどものパスポート取得、医療受診、携帯電話の契約といった場面で、一方の親が単独行使できるかという疑問も浮上。政府答弁は「法案成立後、検討する」といったものにとどまった。



そのため、与野党は修正事項として、「政府は急迫の事情の意義、監護および教育に関する日常の行為の意義を国民に周知する」を付則に加えた。

監護の分掌も認める

改正案は離婚後の子育てを担う監護者を誰にするか決めず、監護を分掌(分担)することも認める。単独行使できる「例外」の判断と同様、この点は第三者からみて分かりにくいという批判がある。



現在、保育所の入退所の手続きや児童扶養手当の支給は、親権の有無ではなく、監護の実態に着目して行われているが、改正後に監護者を決めないケースで、どのように判断するかは判然としない。



親のサインで契約が成立した後、もう一方の親が取り消したり、訴訟を起こしたりする懸念も第三者側にはある。そのため、第三者を保護する規定が必要だとの指摘もあったが、法務省は「現時点では必要ない」と退けた。

〈共同親権〉父母の真意確認を検討 法案修正し衆院通過

2024年04月24日


離婚などを経て別居する親子の「面会交流」の調停申し立てが増えている。全国の家裁が2022年に受けた新規の申し立ては1万2876件。面会交流が民法で位置づけられる前年の11年と比べ、約1・5倍になっている。

 元夫婦間で連絡をとることの精神的負担や家庭内暴力(DV)への懸念などの課題もあるが、今国会に祖父母やきょうだいが申し立てられるようにする民法改正案が出ており、成立すれば申し立ての件数はさらに増える可能性がある。

 元夫婦の仲介をし、子どもの心情に配慮した交流の場を設けるための支援団体がある。ただ、法務省がホームページで公開する団体は全国で57にとどまっている。

増える別居親子の「面会交流」 調停申し立ては10年余りで1.5倍

2024年4月24日 11時00分


NHK連続テレビ小説「虎に翼」第18話が24日に放送された。主人公・寅子(伊藤沙莉)とともに法を学ぶ主婦の梅子(平岩紙)のエピソードに注目が集まった。

 以下、内容に触れます。




平岩紙


 寅子たちは法学部の男子学生たちとハイキングへ出掛ける。梅子の三男に、男子学生が「君の父上は立派だよ。仕事もできて家庭も支えて、その上たいそうご婦人におもてになる。めかけを囲ってな」と話したことで、もめ事に発展…。

 梅子は、義母に育てられた長男が夫と同じ冷徹な性格になったことを悔い、夫と離婚し、子供の親権を勝ち取るために法を学んでいると明かす。次男と三男は「絶対に夫のような人間にしたくない」と主張する。

 このエピソードでネット上で話題にあがったのが「共同親権」だ。離婚後も父母双方が子の親権を持つもので、2026年までに施行される見込み。

 ネット上ではこの制度を不安視する声も多く、今回の話をみて「泣く。共同親権で世間がざわついているこのタイミングで」「再び梅子さんたちが立ち向かった日本に戻ってしまいそう」「これって後退ですよね?」「共同親権で逆戻りしそうなのが今の現実」「日本に於ける共同親権の法制化が、如何に歴史を逆行させることになりかねないことを示している」など持論を展開する姿が目立った。

『虎に翼』梅子のエピソードで『共同親権』が話題に 「泣く」「タイムリー」「歴史を逆行」 ネットざわつく

2024年4月24日 10時34分





子どもの幸せを最優先に、慎重かつ丁寧な議論が重ねられていると言えるだろうか。

 離婚後の共同親権を導入する民法改正案が衆院で可決された。今後、参院で審議され、早ければ2026年の実施を目指すという。

 日本では婚姻中は共同親権、離婚後は両親のいずれかが親権を持つ。離婚した後も両親が協力して、未成年の子の世話や教育、財産管理に責任を負うことが望ましいのはその通りだ。意に反して一方の親とつながりを断たれることは、子どもにとっても不幸である。国際社会は大半が共同親権であり、法案の趣旨自体はうなずける。

 最大の課題は、ドメスティックバイオレンス(DV)や子への虐待で離婚に至ったような場合の対応だろう。共同親権にすることで、接触や被害が断ち切れなくなるのでは本末転倒になる。そもそも離婚に至った両親が、良好な関係を維持しているケースの方がまれだろう。

 共同親権か単独親権かで父母が対立した場合は、家庭裁判所が決める。だが、少ない人員で実態をどこまでつかめるか。DVの証拠がない場合や、逆に虚偽のDV申告も考えられる。与野党は「父母双方の真意によるものか確認する措置を検討する」という付則を設けることで折り合ったが、それで対策が十分とはとても言えまい。

 緊急手術といった「急迫時の事情」や「日常の行為」は共同親権の場合でも一方の親の判断だけで対応は可能とされている。だが、その範囲は極めて曖昧だ。

 衆院の審議では子どもが海外に修学旅行をする際のパスポート取得も議論になった。日常の教育の一環と判断するのが自然なのに、政府は共同親権の場合は両親の同意が要るとした。父母の関係がこじれてパスポートが取得できなければ、子どもは修学旅行にさえ行けないことになる。

 課題は家庭内だけに収まらない。緊急とまではいえない慢性疾患の手術はどうなのか。共同親権の場合は両親の同意が必要で、一方の親だけの同意で手術をすれば後々トラブルになる恐れがある。

 第三者からすれば、目の前の子の親が婚姻中なのか、共同親権なのか、単独親権なのかは分からない。医師がトラブルを恐れ、子への医療行為に及び腰になられても困る。

 授業料などを軽減する就学支援金の対応にも首をひねりたくなる。盛山正仁文科相は「保護者の収入に応じて受給資格を確定する。共同親権なら父母の収入で判定する」とした。これでは経済的に厳しいケースが多いひとり親家庭が、共同親権を選択することで支援金を受けられなくなってしまわないか。

 衆院は「急迫時の事情」「日常の行為」が何かを示すガイドライン制定を求めた付帯決議もした。議論が生煮えだったことの証左と言えよう。これでは法案が子どもの利益最優先をうたったところで、不安を拡大するだけになりかねない。参院でも踏み込んだ議論が進まなければ、今国会成立にこだわるべきではない。

共同親権法案 生煮え議論では不安残る

社説

2024/4/26




離婚後も父母が共に子どもの養育に関われるよう共同親権を導入する民法改正案が衆院で可決されて参院に送られ、今国会で成立する見通しとなった。離婚後はどちらか一方による単独親権と定める今の民法を改め、離婚の際に双方の話し合いで共同か単独を選べるようにする。折り合えないときは、家庭裁判所が判断する仕組みにする。

 共同親権にすると、ドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待などの恐れがあり、子の利益を害するとみられる場合、家裁は単独親権にしなくてはならないとも明記する。しかしDV被害から逃れるため、子を連れて家を出た経験を持つ母親たちを中心に懸念と不安の声は尽きない。

 衆院審議で野党は、父母の十分な合意を共同親権の条件とするよう与党に修正を迫った。DVなどで父母の力関係に差があり、対等に話し合えないことも考えられるからだ。付則に「真意を確認する措置を検討する」との文言が盛り込まれることになったが、課題を先送りしたに過ぎず、実際に何らかの対策が講じられるかは見通せない。

 共同親権からDVを排除できるかが問われている。さらに子の医療や教育を巡り、どこまでなら父母双方の同意は必要なく、一方の親だけで決められるかという線引きも曖昧なままだ。混乱を招かないよう、参院で議論を深め、詰めなくてはならない点が多々ある。

 改正案が成立すれば2026年までに施行され、それ以前に離婚した父母も共同親権への変更を申し立てることができる。共同親権の下では子の進学や長期的治療など重要事項は父母が話し合って決める。それが元夫のDVに苦しめられ、別居して子と一緒に暮らす母親に重くのしかかる。

 住所を秘して生活する人もいる中で「DVが継続しかねない」「元夫に共同親権への変更を申し立てられないか」と悲痛な声が後を絶たない。

 DVの恐れがあるなら家裁は共同親権を認めないとはいえ、そもそも密室の出来事で証拠が残りにくい。精神的DVなどをどう証明すればいいのかと戸惑いも広がる。また子のために一方の親が単独で決められるのは身の回りの世話など「日常の行為」か「急迫の事情」がある場合に限られる。両者の意見が対立した場合、どちらが決めるか家裁が判断する。

 野党は緊急手術など具体例をいくつか挙げ、日常か急迫かをただしたが、政府側は「適切な手続きを定める」と曖昧な答弁に終始した。政府はできるだけ早く、具体的に日常と急迫のケースを例示する必要がある。

 保護者の収入で受給資格が決まる高等学校等就学支援金にも影響してくる。文部科学省は「共同親権なら、親権者2人分の所得で判定する」と説明した。ひとり親家庭が養育費をまともに受け取れていないのに収入が基準額を上回って支援金を受けられず、困窮する事態も懸念されている。

 改正案に「法定養育費」が盛り込まれ、法令で定める最低限の支払いを相手に義務付けるが、手続きに時間がかかるのは避けられそうにない。父母が離婚した未成年の子は近年、年間20万人近くに上る。共同親権が導入されれば、多くの争いが家裁に持ち込まれることになるだろう。それをさばき、信頼を得るのに十分な体制を早急に整えなくてはならない。

論説・共同親権法案 DV排除へ議論深めよ

山陰

2024/4/26 04:00


合意なき「共同親権」

仁比氏 「子の利益」置き去り批判

参院法務委






(写真)質問する仁比聡平議員=25日、参院法務委

 日本共産党の仁比聡平議員は25日の参院法務委員会で、離婚後「共同親権」を導入する民法改定案を巡り、父母の協議が調わなくても、非合意型「共同親権」を裁判所が定めうると批判し、「何が『子の利益』なのかが親子関係のあらゆる場面で規範になる。国民的合意のないまま絶対に押し切ってはならない」と主張しました。

 仁比氏は、日本乳幼児精神保健学会が声明で、法制審議会家族法制部会の審議について「子どもの育ちにおける重要な科学的事実が礎とされているであろうか」「(子どもにとって養育者と)幸せなやり取りができることは、生存と発達の重要な要素」と指摘していることを正面から受け止める必要があると強調。何が「子の利益」なのか法務省の答弁は「極めて抽象的だ」として、「『共同親権』が子の利益になる『適切な形での関与』とは何か」とただしました。

 「法律用語にはできないが、子どもの幸せのことだ。子どもの利益が分からない親はいない」と述べた小泉龍司法相に対して仁比氏は「子どもの利益が分からない親はいる」と厳しく批判しました。

 仁比氏は、児童精神科医から寄せられた「加害親との面会交流の継続を裁判所から指示され、児童の具合が悪くなっている」との声を紹介。「裁判所がどのように判断するのか批判が噴き上がる中で強行は許されない」と主張しました。

2024年4月26日(金)

合意なき「共同親権」

仁比氏 「子の利益」置き去り批判

参院法務委


離婚後も父母双方が子どもの親権者となる「共同親権」を導入する民法改定案に反対するスタンディングアピールが4月23日、京都市下京区の四条烏丸交差点で行われました。「京都の男女共同参画を考える会」が呼びかけたもので、約20人が廃案を求めてプラカードを掲げ、マイクで訴えました。

 同法案は4月16日に衆議院を通過し、参議院で審議が行われています。共同親権となることでDV(ドメスティックバイオレンス)、虐待が続くことや経済的問題が生じることなどが懸念されています。

 同会の大脇美保弁護士は、共同親権の問題点として、子どもにDVや虐待があっても子連れでの避難が難しくなることなどをあげ、「もっと国会での慎重な審議が必要。ぜひ内容を知ってほしい。オンライン署名などでご意見を国会に届けてください」と呼びかけました。

 子どもの頃に両親が離婚したという男性は、「父親は借金をつくっていなくなった。共同親権になってしまったら子どもの病気の検査や手術もできないおそれがある。こんな法改悪は許してはならない」と訴えました。

 日本共産党の堀川あきこ衆院近畿比例候補(京都2区重複)が参加し、高校授業料の無償化や児童手当などの制度を受けている単独親権の家庭が、共同親権になることで制度の対象外となるおそれを指摘し、「こんな法案を短すぎる審議で強行採決させてはなりません。みなさんに心から連帯の気持ちを示したい。私たちも廃案を求めて国会内外で行動していきます」と訴えました。

 日本共産党の穀田恵二衆院議員、倉林明子、井上哲士の両参院議員、立憲民主党の福山哲郎参院議員が連帯のメッセージを寄せました。

DV虐待続く恐れも「共同親権」反対でスタンディングアピール 

2024年4月27日


 大手求人サイト「バイトル」の求人広告に何者かに無断で応募され、対応に追われて業務を妨害されたのは、運営会社が適切な措置を取らなかったためとして、共同親権導入反対などを訴えている弁護士5人が26日、サイトの運営会社に計500万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

◆共同親権反対の5人が被害



記者会見する岡村晴美弁護士(左)ら=26日、東京・霞が関の司法記者クラブで

 訴えたのは、岡村晴美弁護士(愛知県弁護士会)、太田啓子弁護士(神奈川県弁護士会)、渡辺輝人(てるひと)弁護士(京都弁護士会)ら。共同親権の問題点をSNSで発信したり、女性支援団体「Colabo(コラボ)」の代理人を務めたりしている。東京都内で開かれた記者会見で岡村弁護士は「共同親権反対、女性支援に関わる弁護士が狙い撃ちにされている。これでは萎縮する」と話した。

 訴状によると、1月下旬、何者かが5人の氏名や事務所の電話番号を使い、バイトルで求人広告に応募。5人は面接の日程調整を求める企業などから700件以上の電話と2200件以上のメールを受けた。

◆「防ぐ方法もあった…あまりに無責任」

 2000件以上のメールを送られた渡辺弁護士は「加害行為は予測でき、防ぐ方法もあったのに行わなかったのはあまりに無責任」と運営会社を非難した。警察に相談した原告もいるが登録した人物は特定できていないという。

 運営会社は東京新聞の取材に「訴状の送達を受け次第、内容を精査の上、適切に対応したい」と答えた。(太田理英子)

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「女性支援に関わる弁護士狙い撃ち」バイトルに勝手に応募され着信700件メール2000件…運営会社を提訴

2024年4月26日 22時22分


ジェンダーを巡る問題への関心が高まる一方、困難にある女性や支援者への不当な攻撃や差別は根強く残る。家庭内暴力(DV)の被害を訴える女性が子連れで逃げることを「連れ去り」「虚偽DV」などの過激な言葉で表現する風潮や、女性支援団体へのバッシングもその一つだ。これらは当事者など女性たちだけで対応する課題ではなく、男性を含む全ての政治家が向き合わなければならない人権問題だと考える男性議員に聞いた。(大野暢子)

◆「弱者を攻撃したい狙いが透けて見える」 維新・足立康史氏

 行き場をなくした若年女性を支援している一般社団法人「コラボ」(東京都)に昨年、都からの委託費を不正使用しているという疑惑が持ち上がった。住民監査請求を受けて都が公表した監査結果によると、経費報告に不適切な点があり改善を求めるという。公金が使われている以上、厳正に対処するのは当然だ。

【関連記事】「『貧困ビジネス』と虚偽記述された」 少女支援の団体Colaboの仁藤夢乃代表が男性を提訴

 一般社団法人「コラボ」 繁華街での巡回や相談、居場所の提供を通じ、虐待や性被害に遭った10〜20代の女性らを支援する団体。東京都の「若年被害女性等支援事業」を受託している。昨年、都内の男性が委託料の不正受給が疑われるとして都に住民監査請求した。請求を機にネット上でのデマ・中傷、支援現場の無断撮影やスタッフへの罵倒など嫌がらせが相次いでいる。都は3日、返還請求しないと結論づけた。

 違和感を抱くのは、公金使用の適正化を求めるという本来の目的を超えた攻撃や活動の妨害が起き、コラボと近い活動をする団体にも影響が及んでいる点だ。



女性支援団体への過剰な反応やバッシングについて話す日本維新の会の足立康史衆院議員

 例えば、政治活動は国民の権利なのに、コラボ代表が過去に野党を支援したことを非難する人がいる。彼女らが政府の有識者会議に参加したことを「国との癒着」「利益相反」と断じる人もいる。こうした人は、自民党と密接な関係を持ち、政策決定に影響力を持つ企業や団体のことは、なぜ問題視しないのだろうか。

 コラボなどの団体は、最初から政治や行政に影響力を持っていたわけではない。政治・行政側が、団体から若年女性の過酷な実態を聞き、支援が必要だと判断したという順序が正確だ。

 一連の騒動からは、気に入らない主張をする弱者を攻撃したいという狙いが透けて見える。自由な言論は保障されるべきだが、罪のない人への攻撃で福祉や女性政策が後退するのは看過できない。政治家には議論をまっとうなものに戻し、弱い人を守る責任がある。

 あだち・やすし 衆院大阪9区(4期)。京大院修了。通商産業省(現経済産業省)をへて、2012年衆院選で初当選。党国会議員団政調会長などを歴任。1965年生まれ。大阪府出身。

◆「女性に従属や忍耐を強いるのは伝統の曲解」 自民・大岡敏孝氏



共同親権について話す自民党の大岡敏孝衆院議員

 DVの背景には、夫婦関係の圧倒的な非対称性がある。特に私たち男性の体格・体力は女性を上回る。言葉や動作で威圧される側が抱く恐怖は、男性からは想像できないほど大きい。

 社会構造として、女性は男性より経済力や社会的地位が低いことが多く、育児で身動きが取れないこともある。地方議員時代に被害者側の相談を受けた経験から、外部への相談や避難のハードルは、女性側が圧倒的に高いことを痛感した。

 離婚後も父母がともに子の親権を持つ「共同親権」の導入が議論されているが、私は反対だ。一見、改革的で良さそうに思えるが、メリットがあるのは父母の関係が良好な場合に限られる。DV・虐待があるケースでは、離婚後も加害や支配が続くおそれがあり、自殺を考えるほど追い詰められる人も出るだろう。特定層のメリットの最大化より、リスクの最小化を重視した法整備をするべきだ。

 離婚後の共同親権 現行民法は、婚姻中は父母が親権を持つ「共同親権」で、離婚後は一方のみが持つ「単独親権」を規定する。2011年、国会の付帯決議に検討が盛り込まれたことを機に、法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会が導入の是非を議論している。別居親が養育に関わりやすくなるとされる一方、子の重要事項を同居親だけで決められなくなり、子の不利益になるとの指摘もある。

 推進派の中には「伝統的な家族観」を取り違えている人もいる。女性が家から勝手に逃げることを嫌悪しているのだろうが、家族を安心させるという役割を果たせていない男性が、女性に従属や忍耐を強いるのは伝統の曲解だ。

 男性を家のあるじとする価値観は、男性のことも追い詰めてきた。一家を一人で養うべきだというプレッシャーは暴力性と結び付きやすい面もある。こうした価値観は既に時代遅れだ。

 おおおか・としたか 滋賀1区(4期)。早稲田大卒。スズキ社員、浜松市議、静岡県議をへて2012年衆院選で初当選。財務政務官、環境副大臣などを歴任。1972年生まれ。滋賀県出身。

Colaboへのバッシング、離婚後の共同親権…女性の人権問題について男性議員に聞いた

2023年3月8日 06時00分

https://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2024/04/30/antena-1452/#google_vignette